第五十話 決意
お待たせしました。本編再開です。
ついでに50話です。
まだまだストックはあります。このままストックが切れるまでは1日1話で行きますので宜しくお願いします。
サーシャを救い出してから2年の月日が経っていた。
サーシャは6歳となり、ファニーは3歳になっていた。
あれからサーシャは様々な事を学び、普通の子供とそう変わらなくなっていた。
変わった事といえば、サーシャとファニーがアソートの事を「おにーちゃん」「にーに」と呼び、サイリールの事を「ぱぱ」と呼ぶ事だろう。
アソートは兄と呼ばれて大変喜んでいたのだが、サイリールは父親だと呼ばれた事については嬉しくもあったが、後悔をしていた。
というのも、サーシャはともかく、ファニーにはちゃんとした父親がいるからだ。
だから、ファニーがサイリールの事を「ぱぱ」と呼び始めてからサイリールはファニーを本当の家に帰す事を考え始めていた。
いや、考えていなかったわけではない。ずっと考えてはいたのだ。
ただ、ファニーの顔を見るたびにもう少し、もう少し、と延期してしまっていたのだ。
ある日、遂にサイリールは二人に相談する事にした。
「はなしがあるんだ。ファニーについて」
そんなサイリールの言葉にエルとアソートは何か感じたのか、真剣な面持ちで頷いた。
「……というわけで、ファニーにはかえるいえがあるんだ。ちちおやもいる」
「マスターは帰すおつもりがないと思っていましたが……」
「そう……。ファニー、帰しちゃうの……?」
アソートやエルの鎮痛な表情を見て、サイリールも歪みそうになる顔を必死に留め、真剣な目で語った。
「ファニーをあずかってから、かえすことはずっとまいにちかんがえてたんだ。だけど、ファニーのかおをみるたび、もうすこしって、そんなふうにのばしてきた。だけど……、ぼくをぱぱってよぶのをきいて、しょうじきすごくうれしかった、でも、ダメだとおもったんだ。だってファニーにはほんとうのちちおやがいる。にんげんのほんとうのぱぱだ」
そうして、二人の目をしっかり見てサイリールは告げる。
「だから……、だから、ファニーをこんどこそほんとうに……かえそうとおもう」
その言葉にエルは愕然とし、アソートはきつく目を瞑って俯いてしまう。
「マスター……マスター。私、お嬢様について行っても宜しいでしょうか。中身は人間ではありません、しかし、見た目は亡くなった彼女と同じでございます。マスターも見られたでしょう?第一夫人様や第二夫人様の事。心配で……心配でならないのです。いざという時はお連れして逃げて参ります」
「……。いいよ。しょうじきぼくも、ひとりでかえすのはふあんだった。だから、いっしょにいってくれるのは、ありがたい。だけど、エル。きみはとしをとらない。みためがかわらない。だからずっとはいっしょにいれないよ。なにもなければ、ファニーが15さいになるまでにファニーのそばからきえないといけない」
「分かって、おります……」
俯くエルから目を離し、アソートへと目を向ける。
「アソート、きけんもあるたびだとおもう、でもきっとぼくがみんなをまもるから、いっしょにきてくれないか」
サイリールの言葉にアソートは薄っすらと涙を浮かべながら、微笑んだ。
「水臭いな、僕とサイリールは友達……いや、家族だろう?どこへだって一緒に行くさ。それに、あれから僕だって妹達を守る為に剣の訓練をしてるんだ。まだ下手だけどさ。だから、大丈夫だよ。一緒に行こう。ファニーを、おうちに帰してあげよう……」
アソートの言葉にサイリールも涙を堪えて微笑を返した。
「ありがとう、アソート。エルも、すまない、ありがとう。ファニーをたのむよ」
そうして、ファニーを本当の家族の元へ帰す事が決まった。
ファニーとサーシャは何も知らず、幸せそうに二人仲良くひとつのベッドで眠っていた。
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