第四十九話 ある女の話し 8
サブストーリー最終話です。
次回からは本編に戻ります。
あの子が寂しそうな顔をしながらも手を振りながら自分の家へ帰って行く。
私も小さく手を振り返してあげる。
昔の話しをするのは少し疲れるわね。
あの出来損ないもいなくなって、やっと面倒がなくなったのに。
あの子は今、私の過去を知りたがっている。
それも理由は分かってはいるの。
後1年すればあの子は貴族の学校に行かないといけない。
私と少なくとも5年も離れなければいけないわ。
だから、私との繋がりをしっかりしたくて私のすべてを知りたがっている。
あの子は跡取りだから、いずれあの子の父親がいなくなった後、あの子が私を幸せにするの。
だから、大事にしたし愛してあげたわ。
私には普通の顔をしていたけれど、あの子貴族の学校に行きたくないって随分両親を困らせていたの。
それも父親の頼みを私が聞いてあげて説得してあげたわ。
私の言う事ならなんだって素直に聞くもの。
あの子は私を抱いている事を、父親にはばれていないと思っているみたいだけど、ばればれだもの。
だからこそ、父親は私に説得を頼んできたのだから。
だから私も私の為にあの子を大事にしたし優しくしたわ。
だけど、それももう終わり。
だってあの子は跡取りじゃないんだもの。
今日あの子から聞いた兄の存在。
長男という事はこの貴族家の跡取りよねぇ。
あの子は適度にあしらうとしても、兄の方は大事だわ。
きっと素敵な人よ。私をとっても大事にしてくれる人。
あの子と入れ替わりで帰って来るらしいわ。
そう、跡取りなら私の事もきちんと紹介してもらわないといけないわね。
今日父親が来たらたっぷりサービスしてあげましょう。
父親が長男の事を黙っていたのはきっと自分が捨てられる恐怖があるからでしょうね。
大丈夫よ、捨てないわ。長男はまだまだ子供だもの。
ああ、来たわ。
いらっしゃい。待っていたわ。
今日も綺麗だなんて、嬉しいわ。ありがとう。
ねぇ、少しバルコニーでお茶しましょうよ。
今日は長く一緒にいてあげるから。
ええ、本当よ。今日は泊まって行くといいわ。
一緒に朝までたっぷり楽しみましょう?
でも、まずはお茶を私と楽しんで?
うふふ、さぁ私をバルコニーまでエスコートして頂戴?
あら、抱き上げて連れていってくれるの?嬉しいわ。
ええ、もちろんよ。あなたが、一番好きよ。うふふ。
あなたの息子よりもあなたが一番よ。当たり前じゃない。
もう、仕方ないわね。いいわ、ベッドへ行きましょう。
いいのよ、だって私もあなたを待っていたんだから。
お茶なんていつでも出来るわ。謝らないで?好きよ。
うふふ、たくさん頑張ったわね。素敵だったわ。
ねぇ、聞きたい事があるの、いいかしら?
今日カールに聞いたのだけど、あなた息子が二人いたの?
あの子、デニス兄様が来年帰って来るって言ってたわよ?
やだ、別に謝らなくていいわよ。
ただ、聞いてなかったから……ね?
そうなの。大丈夫よ、デニスが帰っても私の一番はあなただけ。
だけど、ちゃんとデニスに私を紹介してね?
『ティア、ティア、わしの美しい女神、ちゃんと紹介するからわしを捨てないでくれ。愛している。』
ええ、ありがとう。愛しているわ。いつでもあなたが一番よ。大丈夫。
いい子、いい子ね。さぁいらっしゃい。もっと愛してあげるから……。
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