第四十八話 ある女の話し 7
その次の日、あなたは私に会いにきたわね。
あなたは、昨日見ていた事を必死に隠していたわよね。
でも、ソファーに座ったあなたが我慢してるのを私知っていたのよ。
切なそうで苦しそうだったわね。
だけどほら、私奴隷じゃない?だから私からは誘えなかったの。
本当よ?前の家でそれを学んだわ。行き過ぎるのはダメなの。
私はずっと幸せでいたいんだもの。
またあんな牢屋にはいるのはごめんよ。
だって私は愛されて愛でられるお花なんだから。
だから、あなたが帰り際切なそうに私をみた時とても辛かったわ。
でも、私は奴隷だから、仕方ないわよね。
ねぇ?そうでしょ?私が悪いわけじゃないのよ。仕方ないの。
うふふ、そうよね。仕方ない事よね。
そのすぐ後ね、私が妊娠しているのがわかったのは。
ええ、多分前の時のどちらかか、貴方のお父様でしょうね。
私も初めて知ったの。私達の妊娠期間があれほど短いなんて。
人間なら10ヶ月はかかるでしょう?
でも、私達はその半分、半年だった。
あなたのお父様は私が妊娠中に性交渉する事を禁じられたの。
もし流産でもしたら私の体に危険が及ぶかもしれないからって。
私が大事だから、危険を避けて欲しいってお願いされたわ。
あなたのお父様も私に会う事すら我慢なさっておられたのよ。
なのに、あなたは私に会いに来てしまった。
そして私を強引にベッドへ連れて行ったわね。
そう、私妊娠していたのに、あなたはそれから毎日私に会いに来た。
私ちゃんと、ダメだって言ったのに。ねぇ?
なのにあなたは私を抱き続けた。
ええ、そう。そうよ。ちゃんと反省してくれてるならいいの。
私を大事にしてね?私は愛される為に生きているのだから。
そうしてあなたに抱かれながらも私は無事に産んだわ。
でも生まれた子は出来損ないだった。
私と同じ花なのに、足も動かないし、片手は蔓だった。
とても悲しかったわ。
私から出来損ないが生まれてくるなんて、あなたもそう思うでしょう?
ええ、そうよね。だって私は完璧だもの。
世話は使用人がしていたから、私が煩わされる事はなかったのが救いかしら。
でもあんな出来損ないと4年も暮らさないといけなかったのは辛かったわ。
早くどこかにやって欲しいってあなたのお父様にお願いしたのだけど、赤子のうちは難しいらしかったの。
殺してしまうのは世間体が良くないってあなたのお父様が言うから私はすべての面倒を使用人に任せたの。
たまに乳の出る犬を連れてきていたから、あれを与えていたんじゃないかしら?
私?私は嫌よ。あんな出来損ないになんて。そうでしょ?
うふふ、そうよね。私の体はあなた達の為にあるんだもの。
1年がたったらいつのまにかあの出来損ないは動き出していたわ。
みっともなく足をずるずる引きずって。ほんと嫌だった。
どうやってか知らないけど、あの出来損ない、いつのまにか私の部屋に来るの。
だからいつも見つけたら踏みつけて使用人を呼ぶの。
そして、出来損ないにこう言ってあげるのよ、一番の出来損ない。一番ダメな子。って。
くすくす。
ええ、みんな言ってたわね。だってほんとに一番の出来損ないなんだもの。
一番の出来損ない、一番ダメな子。一番イラナイ子。
ほんとにそう。
出来損ないのくせにしつこく私の部屋に来るから、私の為にあなたが鍵つきの檻を持ってきてくれたのよね。
とても嬉しかったわ。
あの時は本当に感動してしまって、思わずあなたに抱きついてしまったわね。
恥ずかしかったわ。うふふ。
あ、ねぇ。もうあなた帰らないといけない時間よ。
え?帰りたくない?そうね、私も一緒にいたいわ。
でもだめなのよ、分かってるでしょう?
私は前のようになりたくないの。ね?お願いよ。
あなた達を大事に思ってるからこそなのよ?
ええ、そうよ。私も愛しているわ。うふふ。
ええ、また明日ね。
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