第四十四話 ある女の話し 3
----
わかってるわ、今日も聞きたいのね?
じゃあ昨日の続きから話すわよ。
----
ザイートの前まで行った私は、彼に聞いたの。
「私が欲しい?」ってね。
あはは。思い出してもゾクゾクしちゃう。
彼、子供みたいに欲しい欲しいってずっと繰り返すのよ。
彼を蹴飛ばして転がしてから、彼の上に乗っかったの。
彼のズボンをずり下ろして少しだけ受け入れてあげたわ。
彼は少しだけなのに、とても恍惚とした顔をしていたの。
でも、まだ堕ちきってない気がしたわ。
まだ目の奥に理性がいたのよ、頑張るわよね。
堕ちてしまえば楽なのに。くすくす。
だから、少しだけ受け入れたまま動いてあげなかったわ。
簡単に楽にしちゃったら意味がないもの。
動かない私に、彼は涙を流して頼んできたわよ。
必死に腰を振ろうともしてたわね。
でもだめ。
私に狂って、私に堕ちきるまで。
そんな事をどのくらい続けたかしらね。
彼の目の奥から完全に理性が消えた時、彼は彼を縛る枷を壊したの。
そして貪るように私に覆いかぶさったわ。
彼は一瞬で果てたわ。
だけどすぐに復活して私を求めたの。
そう、完全に彼は堕ちた。私に溺れた。
タガイも、ザイートも、私のモノ。
それからはタガイもザイートも障害ではなくなったわ。
私は自由にスラム街へ出るようになったの。
私はとってもか弱いの、だから護衛で連れて行っていたけどね。
スラム街でかわいい子を見かけたら二人に命じて路地裏に連れ込んだわ。
怯えた表情が、私の体に蕩けていく様を見るのはとても好きだったわ。
人間でも闇の住人でもそれは同じよ。
でも、人間の方がかわいかったわね。
ガタガタ震えていたのに、ちょっとかわいがってあげたらすぐに堕ちるんだもの。
中にはプライドの高いモノもいて、快楽を必死に我慢するのもいたわ。
そんな相手をじっくりと堕とした時はとても楽しかったのよ。
最後には私に縋って私の愛を懇願するのよ。うふふ。
そんな生活を1年も続けたかしら。
楽しかった生活は終わってしまったの、とても悲しかったわ。
ある日彼女が帰ってきて、私を問い詰めてきたのよ。
街で何をしているんだ、全部知ってるんだぞって。
それはもう、ヒステリックにね。
タガイとザイートにもどう言う事だって突っかかっていたわ。
二人共、俯いてるだけだったわね。
私は意味がわからないから首を傾げるしかなかったの。
彼女、切れちゃって、あたりのものをぶちまけて自分の寝室に行っちゃったの。
そのまま寝ちゃうのかしらって思ったら、彼女どうしたと思う?
剣を持ち出してきたのよ!
私すごくびっくりして思わず2階に逃げてしまったの。
彼女、私に向かって剣を向けて、愛していたのに!裏切った!とか言うのよ。
意味不明よね?
だって私は彼女に行為をしないで欲しいなんて言われてないのよ?
それに彼女の事はちゃんと好きだったわ。
当然死にたくない私はタガイとザイートに助けを求めたわ。
二人共、体をはって守ってくれたわよ。
だけど、彼女は強かったの、それはもうとても。
最初にタガイが切られたわ、肩から斜めにバッサリと。
ザイートも必死に守ってくれてたけど、勝てるわけがなかったの。
彼女の剣を腹に突き刺したまま、その剣を強く握って止めていたザイートは私に逃げろって叫んでいたの。
そう、2階にいる私に、逃げろって。
どうやって?無理よね。
だからね、私、階段の上で死んだタガイの剣を持って、階段の中ほどで私に背を向けてる彼女に、全体重をかけて剣を突き刺したの。
刺した剣は彼女を貫いて、そのままザイートも貫いたわ。
ザイートったら私を見て信じられないモノでも見てるみたいに、大きく目を見開いて見るのよ。
なぜかしらね?だってもう彼助からないんだから、私が助かる為に彼ごと刺し貫いても問題ないでしょう?
彼女は私の一撃で死んだわよ。ザイートと一緒に。
そういえば、ザイートの最後の言葉、なんだったかしら?
確か、君の甘い香りは毒だ。だったかしら、失礼よね。
彼女を殺した私は街を出る事にしたの。
だって、彼女意外とスラムでは人望があったんだもの。
普通は強い者同士は戦う習性があるらしいの、だけど彼女は誰よりも強かった。
だから、誰よりも強い彼女は自分より弱いモノは守ろうとする。
そうすると、彼女は弱いモノからとても慕われるの。
だけど、私はそんな弱いモノよりも弱いのよ。
もし殺したのがばれたら私、殺されちゃう。
だから、こっそり街を出たのよ。
私の右目、この花さえ隠してしまえば人間とはまったく変わりがないから、案外人間にはばれなかったのよ。
まぁ、それでもすぐ捕まって奴隷にされてしまったのだけど。
うふふ。
だけど、そうね。
一つ反省するとしたら、先に彼女を堕とすべきだったかもしれないわね。
彼女女同士なのに、私の裸体を見たら頬を染めていたもの。
くすくす。
----
え?なぜ捕まったか?
そうね、教えてあげてもいいわよ。
だけど、今日はもうおしまいよ。
もうすぐ貴方のお父様が来る時間だわ。
ええ、好きよ。大丈夫。
----
お読み頂きありがとうございます。
もし宜しければ励みになりますので、評価・ブクマ・感想を宜しくお願いします。




