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第三十七話 新しい名前

 居間へ入るとアソートの予想通りすでに二人が三人用の広いソファーに腰掛けていた。

 アソートはその隣に置かれている、二人がけのソファーに少女を座らせ、アソートも隣に腰かけた。

「大丈夫だよ。とても優しい人達だから。ご挨拶してごらん」


 ポンポンと少女の頭を撫でて促す。

 少し怯えながらではあるが、アソートの服の裾をきゅっと握りながらかすれた声で挨拶をした。


「えとね、いちばんね、いいこにするからぶたないで」


 とても小さく普通ではほぼ聞こえないだろう声だが、二人には問題なく聞こえた。

 少女は挨拶が正しくは何であるかを知らなかった。

 ただ、商人がよく言ってたのでなんとなく意味はわかっていた。

 だから、とりあえずはぶたれないようにいい子にすると伝えた。


 いちばん?と首を傾げながら二人はアソートを見る。

 あとで説明すると、目線で頷くアソート。

 そんなアソートを見たサイリールはふわりと優しく微笑んで少女に声をかけた。


「うん、いいこじゃなくても、ぶたないからだいじょうぶだよ」

「初めまして、かわいらしいお嬢様。私もぶったりなど致しませんので大丈夫ですよ」


 二人の言葉に少女の頬がうっすら薔薇色になる。

 アソートを見上げて嬉しそうに笑顔を見せた。

 二人とも、アソートが言ったように、とても優しく声をかけてくれたから。

 それがとても嬉しかったのだ。


 最初の挨拶が終わるとエルが少女の前に暖かいミルクを、アソートには紅茶を置いた。

 不思議そうにコップを見ていた少女に、アソートが飲んでもいいよ、と声をかける。

 少女は顔を輝かせるとコップを持ち上げ暖かいミルクを飲み始めた。


「さっきのは?」


 サイリールがアソートに質問をする。


「あまり、言いたくはない言葉なんだけど……」


 そう前置きをしてアソートは朝の会話を話した。


「そう……」

「なんとひどい事を……」


 あまりにもひどい話しに二人共、鎮痛な面持ちになる。


「マスター、あれは名前ではありません。新しい名前を差し上げてはいかがでしょうか?」

「いいね!僕も賛成だよ。ね、君も新しい素敵な名前がいいよね?」


 少女はミルクに夢中だったので、あまり話を理解はしていなかったけれど、新しい素敵な名前と聞いて目を輝かせた。


「うん!あのね!いちばんをうんだひととか、ほかのひとはね、ちゃんとなまえあったの。いちばんだけね、いろいろよばれてたの。でも、たくさんよばれたのが、いちばんってことばだったの。だから、ちゃんとしたなまえほしい!」


 少女のキラキラした目を見たサイリールは少し悩んだ。

 だけど、少女を見つめているとふと頭に思い浮かぶ名前があった。

 特にその浮かんだ名前に何かあるとかはなかった。

 だけど、少女を見ていると浮かんだ名前だった。


「サーシャ……」


 ぽつりとサイリールが溢す。


「サーシャは、どう……かな?」

「サーシャ!いい名前だね!響きもとてもこの子に合うと思うよ。確か……、どこかの国の花の神様の名前だった気がする」


 そう、偶然にもサイリールはここオスティル王国に隣接しているヘティア公国の花の神様の名前を選んだのだ。


「かみさまのなまえ?すてき!さーしゃ、さーしゃ、さーしゃ!」


 少女は嬉しそうに名前を連呼していた。

 そんな少女、サーシャを見つめる三人はとても優しい目だった。


お読み頂きありがとうございます。

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