第二十八話 薬草採取
家を出たあと、薬屋のおばさんにお願いされていた薬草の採取に向かった。
森というのは大体が危険な肉食獣や、時折、普通の獣が闇堕ちと言われる状態になり、黒い霧を纏わせて積極的に攻撃してくる凶暴な闇獣と呼ばれるモノが出たりする。
この獣は総じて普通の獣よりも力が強く、足も速い。
人間にとってはとても危険な獣なのだ。
サイリールが住んでいる森は彼が生まれるはるか昔からこの闇獣の出没が非常に多く、そして他の森にいる闇獣よりも強く危険なので、人間は基本近づかないのである。
しかし、なぜか有用な薬草や茸がよく生える森で、危険を冒して森に入り、薬草などを採取する人間もいる。
所謂、ハンターと呼ばれる人間だ。
世界各地にハンターギルドがある。
基本的には町の人間からや、ギルドの常時依頼などがボードに貼られている。
個人的に依頼する事も出来るがトラブルが多くなるのでギルドとしては勧めていない。
彼らは武装をし、依頼を受けて、この闇獣を討伐したり、高価な薬草や茸をとりに森に入ってくるのだ。
とはいえ、そんな彼らでも、奥に行けば行くほど対処のできない、危険で凶暴な闇獣が増えるので、浅瀬で討伐や採取をする程度である。
かつて、彼のいた闇のテリトリーに時折人間が入ってきていたのはこの為でもあった。
薬屋の店主は、彼がどこに住んでいるのかはよく知らなかったが、強い事は知っていたのでこうしてたびたび個人依頼をしてくるのである。
もちろんタダではなく、きちんと報酬は払ってはいるのだが。
ギルドとしては推奨していない事ではあるが、この店主はきちんとした人物なのでサイリールも依頼を受けいているのだ。
そうしてしばらくして、このくらいでいいだろうと薬草採取を終えた。
彼が取る薬草は当然家周辺なので森の奥地のものだ。
なので品質がとてもいいといつも薬屋の店主のおばさんにはありがたがられている。
当然のように普通よりも報酬は高い。
最近はそういった依頼の報酬を使うだけになっている。
彼の闇の中には山賊の宝にあった、たくさんの金貨が転がっているのだが、ファニーへの教育だとエルが言うのでなるべく依頼を受けてその金で物を買う事にしている。
当初は意味がわからなかったが、最近はこれでよかったと思うようになっていた。
お金を自らの力で稼ぐという事、人との関わり方、ファニーを育てる上で必要な事だ。
薬草を腰の大きめのポーチにしまう。
本来は入らない量ではあるが、スルリと入ってしまう。
ポーチの中は闇に繋がっているのだ。
なぜこんな風にしてるのかというと、これもアソートからのアドバイスだった。
何もない所から急に物を出すのを見られるのはよくない、との事だったので、腰にポーチを作り、その中を闇へと繋げたのだ。
今回のように薬草の束を何個も取り出すのは不自然ではあるが、こういった物を渡す際はその場ではなく予め出して持っていってるので問題にはなっていなかったのだ。
薬草をしまった彼は本来の目的である、元山賊の住んでいた洞窟へと向かった。
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