第二十一話 永遠の監獄へ
調理場の隅で震えていた女達にもう安全だ、ここから出ようと声をかけ、檻にいる女達も助け出した。
途中に転がっている山賊の死体に女達が怯えていたが、しっかりと彼について来ていた。
檻にいた服がボロボロの女は衰弱がひどかったので彼が背負って運んでいる。
途中何度も休憩を挟みつつ、彼と女達は町へと辿り着いた。
町の入り口にいた衛兵が驚いていた。
それもそうだろう。若い男がボロボロの女を背負い、背後に憔悴しきった汚い身なりの女達をぞろぞろと率いているのだ。
衛兵が慌ててかけより、何事かと問うた。
「さんぞくにつかまっていたおんなたちだよ。たすけてきた」
彼の言葉に衛兵はびっくりして他の女達を見やった。
女の一人がそれを肯定する。
「本当です。彼に助けてもらいました。彼が背負っている娘とそちらの親子は、最近襲われて連れてこられたようです。私達はその随分前に捕まり、山賊に……いいように……うっ……」
壮年の衛兵はその言葉に鎮痛な表情を浮かべ、もう一人の若い衛兵に本部にいって人手を集めてくるように言った。
言われた若い衛兵が慌てて壮年の衛兵に敬礼し走り出した。
「こちらへ、何もありませんが、少しは休めるでしょう」
壮年の衛兵に案内され彼と女達は詰所へと案内された。
ずっと緊張していたのだろう、詰所に入った途端女達が座り込む。
案内した衛兵が詰所内にいた者たちに次々と指示を出していく。
彼が背負っていた女をどこに下ろせばいいのか困惑していると、指示を出していた壮年の衛兵が詰所の奥の衛兵達の仮眠するベッドへと案内する。
「あまりきれいではありませんが、床に寝かせるよりはマシでしょう。おい、誰か医者を連れてきてくれ」
「ハッ!隊長!行って参ります!」
壮年の衛兵の言葉に一人の衛兵が外へと出て行く。
女をベッドに下ろした彼に隊長と呼ばれた壮年の衛兵が詳しく聞きたいと告げてくる。
彼が了承すると、部屋の隅で聞き取りを始めた。
「それで、山賊は全員殺した……と?」
「うん、みんなころした。いかしておくかちがないから。」
彼の言葉に隊長は軽く息をのむ。
「そ……それで、場所などは教えて頂けますか?その、死体や、盗難品などの調査をせねばならないので」
その言葉を聞いた彼は、やはり死体は回収しなくて正解だったと思い、アソートに感謝する。
「うん。わかった」
そうして彼はわかる範囲で場所を伝えた。
「そんな所に隠れていたのか……森の中とは……くそっ……もっと早く対処できていれば……」
隊長が悔しそうに呟いていた。
今回彼が皆殺しにした山賊達はここらへんで勢力を誇っていたかなり大きい山賊集団だったようだ。
神出鬼没でかなりの被害を出していた山賊集団だったのだ。
まさか、そんな近くで事を起こしていたとは誰も気づかなかった。
「ぼくはもういってもいいかな?まっているこがいるんだ」
「あ、ああ……。ご協力感謝します。有難うございました」
「うん、がんばってね」
隊長は、詰所を出て行く彼を眺めて少し身震いをした。
たった一人で二十人以上の山賊を皆殺しにしたのだ。
物腰は柔らかく、とても優しげな青年なのに。
そうして彼は町をあとにした。
洞窟を出る前、女達を助けたあと、彼は闇の中に匿っているアソートに相談をしていた。
これから助けた女達を町へ連れて行く事で何があるかなど。
アソートは考えうる全ての事を助言していた。
だから、死体も残していたのだ。
町を出た彼は中にいるアソートに声をかけた。
「アソート、ありがとう。したいをのこしておいてせいかいだったよ」
「ああ、よかった!君の役に立ててよかったよ!ボクが出来る事なんてこのくらいだもの!」
「きみがいてくれるだけで、ぼくはたすかっているよ」
そんな彼の言葉にアソートは照れる。
「えへへ。ボクも君といると楽しいよー!」
そうして、人があまりいない所でアソートを闇から出し、再び肩にのせ、楽しく会話しながら帰路についた。
彼の闇の更に深い場所では、数十人の魂が出口を探して彷徨い続けていた。
出口のない永遠の闇の監獄で、魂が劣化し、その存在が消え果るまで。
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