第十七話 ある女の終わりの話し
私が山賊に捕まって3日が立ちました。
奥様は無事お嬢様と逃げれたでしょうか。
奥様とお嬢様さえ無事なら私などどうなってもいいのです。
とはいえ、痛いものは痛いですね。
奥様をお逃がしした時に山賊に切られた右腕がじくじくと痛みます。
私が死なぬように、切れた部分を松明で焼かれた時はあまりの痛みに気を失いましたが、痛みでまた目を覚ますという最悪な経験でした。
よく気が狂わなかったものです。自分を褒めてあげたいですね。
しかし山賊どもは私をどうする気なのでしょう。
どこかへ売るのでしょうか。
もしこの洞窟から出られたらなんとかして逃げ出してやりましょう。
その前に、足枷をなんとかしないといけませんが。
奥様に拾われるまで、散々な生活をしてきたのです。
私は負けませんよ。
それにサイドス家にお嫁に行かされた奥様になんとかついていけたのです。
サイドス家で第一夫人様や第二夫人様からの嫌がらせから奥様を守らないといけないのです。
こんな所で捕まっているわけにはいきません。
奥様の所へ早く行かねば。
痛みを紛らわせる為に奥様の事を考えていましたが、やはり痛いです。
かつておじさんにムチで叩かれた事もありましたが、あんなものとは比べ物になりませんね。
しかし腹立たしいのはあの女ですね。
他の女達と違い、彼女は望んでここにいるようです。
男達とやってきて、私を殴り、男に押さえ込ませて私の髪の毛をナイフで適当に切りながら笑っていたのです。
髪などまた生えてくるからかまいませんが、腹の立つ女です。
そんな事を考え右腕を押さえていると、人がやってきました。
やってきたのは二人の男です。
一人は背が高く、冷たい目をした男で、もう一人はじろじろと私を不躾に眺め回す下品な男でした。
私は精一杯の侮蔑をこめて二人を睨んでやります。
「中々にいい目だ。やりがいがあるな」
「へぇ、副頭領。どうしやす?」
「そうだな、まずは歯でいいだろう。舌を噛まれても困る」
この二人は何を言ってるのでしょう。
私がいぶかしんでいると、下品な男が持っていた箱から何かを取り出し、冷たい目の男に渡しています。
「よし、じゃあとりあえずいつもどおりにやってくれ」
「へい。んじゃま、縛りますかね」
下品な男が手枷を手に私へ近づき、私の無事な左腕に触れようとしてきました。
「やめてっ汚い手で触らないで頂戴!」
逃げようとしましたが、足枷がはまっていてうまく動けません。
必死で抵抗をしましたが、さすがに片腕では何もできません。
私は押さえ込まれ、まだ痛む右腕をぎゅっと握られました。
あまりの痛みに私は声にならない叫びをあげ、気を失ってしまいます。
それからの事はあまり覚えていません。というよりは忘れたいのです。
水をかけられ目が覚めた私を冷たい目の男が薄ら笑いを浮かべ見ていたのだけはとてもよく覚えています。
あの男は……私の口を無理やりこじあけ器具で閉じれないようにしたあと……。
1本1本、私の歯を無理やり抜いていったのです……。
私が泣き叫び許しを請うてもニヤニヤと笑いながら……。
私は左手に手枷を嵌められ、壁に埋め込まれた鉄格子に固定されていたので逃げる事も出来ませんでした。
奥様……お嬢様……会いたいです……。
奥様…………。
いいえ、いいえ!こんな事で負けていられません。
歯がないくらいなんだというのです。
奥様とお嬢様に会うまで私は負けません。
絶対に、負けません。
お読み頂きありがとうございます。
もし宜しければ評価・ブクマを宜しくお願いします。




