第十二話 闇の住人について
アソートを肩に乗せて道を歩きながら、彼はアソートに質問をしていた。
「やみのじゅうにんについて、おしえてほしいんだ」
「かまわないよ!えっと、ボクらは基本親というのはいないんだ。気づけばそこにいる。とても凶暴なやつもいるし、ボクみたいに戦闘がまったく出来ないのもいる。人間には珍しい生き物が多いんだろうね、ボクみたいな弱くて人型じゃないのは捕まえられて見世物にされる事が多いよ。人型で強いヤツはいいんだけど、首から下がほぼ人間と変わりない姿の弱い子達はもっと悪い状況なんだ。だから隠れ住むか、人のいない所で集落を作ったりしてるけど、弱いからね……」
説明が終わりに近づくにつれ、アソートは悲しそうに俯いてしまう。
「そうか……おしえてくれてありがとう。ぼくみたいなのはめずらしいの?」
「うん、サイリールみたいにどこから見ても人間ってのはボクは見た事がないねぇ。体は人間みたいだけど、顔全体が花だったり、動物の顔だったりとか、顔の一部分が人間と全然違ったり。見た目が人間みたいだけど、20cmくらいの大きさで羽があったりなかったりとかね。」
なるほど、と彼が少し考え込んでいるとアソートが質問をしてきた。
「そういえば、サイリールはどこへ向かっているんだい?」
「あ、いってなかったね。これからさんぞくのねぐらにいくよていなんだ」
「えっ!山賊って、あの山賊?危ないんじゃないかい?」
「どのさんぞくかはわからないけど、あぶなくはないとおもう。きられてもしなないだろう?」
「えっ!!サイリールは死なないのかい?!ボクは切られたら死んでしまうと思うよ……。鞭で叩かれた時とても痛かったし気を失ったもの……」
アソートの言葉に彼は驚いた。
闇の住人は皆死なないものだと思っていたからだ。
「やみのじゅうにんはみんなしなないものだとおもっていた。みんなしんじゃうの?」
「ううーん……。ボクが知ってる範囲では切られても生きてるやつはいないと思う。霧状や粘体に変化できたり、そういうやつはいるけど……。でもそれだって変化に時間がかかるから……。」
「じゃあ、じゅみょうはあるのかい?」
「長生きするやつが多いけど、寿命はどうだろう。ボクが知らないだけで寿命がないヤツもいるのかもしれない……。大体は体が劣化して死んじゃうんだ。ボク自身はどうなんだろう?ボクと同じやつを見た事がないからわからないなぁ。でもきっと僕も同じだと思う。いずれは体が劣化して寿命を迎えるんじゃないかなぁ」
ふぅん。と呟いて彼は自分が闇の住人ではあるが少し特殊なのかなと思い始めた。
「ああ、そうだ。さんぞくのねぐらにいってるあいだ、ふあんならぼくのやみのなかにいるといいよ」
「闇の中?」
アソートの疑問に頷きながら、彼は闇について説明をした。
それを聞いたアソートは彼が山賊の塒に侵入する間、闇の中で待つ事を選択した。
「サイリールはすごい体をしているねぇ。人間と完全に見た目が同じで、だけど切られたりしても死なないなんて。それに闇でなんでも作れるんだろう?」
「うん、にんげんのきおくでぼくがみたものならだいたいは」
「逆に作れない物はないのかい?例えば生き物とかさ」
「ああ、つくれるよ。いえにひとりいる」
「家?というかすごいなぁ!生き物も作れるんだね!」
アソートは彼の能力に驚きっぱなしだった。
ニコニコしていたアソートだったが、ふと考え込む仕草をしはじめた。
「どうしたの?アソート」
「ねぇ、サイリール。もしもだけど、ボクの体を、人間の体を、作れたりしないかな?こう……ボクの体を核として肉を作る感じで……」
アソートの言葉に彼は少し悩んだ。
「うーん……。たましいをそのからだからぬいてもいいなら、かのうかもしれない」
「魂?君は魂も見えるのかい?すごいな……。でも……そうか。この体からはサヨナラしないといけないのか」
「うまくせつめいはできないんだけど、ぼくのやみときみのそのからだのにくをまぜて、かたちをつくって、そこにきみのたましいをていちゃくさせればなじむとおもうし、だいじょうぶじゃないかな?」
彼の説明にアソートはしばし考え、悩んだ。
さらに質問してみたところ、初めてだから成功するかは分からない、だけどなんとなく出きるとは思うとの事だった。
魂自体は彼には感じ取れるし、抜き出したりは以前した事があるので問題ないらしい。ただ、闇の住人のは初めてだからそれも分からないと。
それでも、アソートにとっては擬似的でも人間になれるのは憧れもあったし、何より、人間の見た目になれば捕まえられたり見世物にされたりせずにすむ。
悩んだ末にアソートは彼にお願いをした。
「失敗してもいい、可能性があるならお願いしたい。いいかな?サイリール」
「いいよ。きっとせいこうするさ。でもここではできないから、あとになるけどいい?」
「もちろんさ!ありがとう。楽しみにしているよ!」
そうして山賊の塒近くまで移動する間、アソートと彼は会話を楽しみつつ歩いていった。
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