魔王との特訓 初
さて、かくして魔力を持つ一族の長になったわけだが落ちこぼれというのには変わらない。
それに加えおれが長になるまでは仲が良かったはずの海翔さえもおれを敵視しているようにみえる。
さてさて、どうしたものか。
そのようなくだらないことを考えていると少し気になることがあった。前魔王ことレインースライオはなぜかおれのしもべになり現在は俺の隣をのこのこ歩いている。
おれは少し気になることがあり、それを聞いては自分が傷つくだけと知っておりながらもきいてしまった。
「なあ、前魔王おまえのことをなんてよべばいいのだ?」
ちがうそうじゃないおれはそんなことを聞きたいのではない。
「そうですねぇ、基本的にはなんでもいいですか。まあして言うならおと」
「じゃあ、レインで」
前魔王のレインは何かを言いたげだったがおれはさえぎってしまった。
「それよりわが主そんなことよりも何かを聞きたかったのではないですか?」
この悪魔はおれのどこまでを知っているのかで少し怖くなった。
「ああ、そうだおれが聞きたいのはこんなことではない。お前がなぜおれについてくるのかを聞きたいのだ」
少しためらう気持ちがあったが言ってしまった。実際それは聞いてはいけなかったのかもしれない。
「そうですね」
珍しくレインがためらったように聞こえたおれは、
「まあ、どうせお前のことだから気まぐれなんだろうがな」
「そ、そうですね気まぐれだよ。祐・也・くん」
なぜおれはそこで止めてしまったかがわからない。一番知りたいのはそれのはずなのに。
まあいい親父風に言えば「時が来たら教える」かな。
翌週
「さて、特訓をしましょうか。」
家でごろごろしていたおれはレインに呼び出された。それに加えなにをやるかといえば特訓とは、子供だましでもあるまいし、それにおれは落ちこぼれだ。今更なにをやったてしょうがない気が
「お、今何をやってもしょうがないと思いましたね。そんなことないんですよ。あなたは私を呼び出すほどの魔力を持っている。それに私の世界征服の手伝いをしてもらうのですから。」
しかし、魔王の力があれば世界征服など楽な気がするのだが
「さて、まずは魔法の基礎の練習をしてみましょうか。」
「基礎?なんてとっくの昔におわってる。そんなのやる必要などない気が」
「いやいや、そんなことは承知の上ですよ。そのためあなたには習ったことのない基礎をお教えしましょう。」
そういうと、にやりと笑い甲高い声で
「さあ、今回する商品はこれ!魔界用基礎セットー。これはとてもいい商品で魔界にいる鬼や魔族たちが習うものですよ。」
「ええ。これは大魔法使いが喉から手が出るほど欲しいものですからねえ。」
さて前魔王が分裂しだしたかと思えば急にこんな茶番を始めたのだ。
よほど俺にそれをやらせたいようだ。まあ、面倒だがそれをやるしかないようだ。
「まあ、一回やってみるからそんな茶番はさておいてそれを教えてくれよ」
「ちぇー、主様のことだから絶対にやらないというとおもってここから十時間はねばるために昨日一晩考えていたのに」
「そんなことのために一晩も使うなよ!」
「まあ、いいさっさと教えてくれよ。」
すこし残念な顔をしながらもしぶしぶ始めた。
「では、はじめます。この魔法は先ほども言った通り魔界の魔法学校で最初に基礎として教わるものです」
「し、、、しかしこの世界ではそれを使えるものは見たこともないし聞いたこともないぞ」
「この魔法を使うにはセンスがいります。」
「え?それじゃあ魔族の者たちはみんなこの魔法を持っているのか?」
「いえいえ、基礎といっても魔法学校に行ったものが教わる基礎だしいくら魔族といえどもすべてのものにあるわけでもないので」
「で、でも基礎として覚えさせるんだろ。じゃあなぜ」
それを聞くとレインはいつもの笑った顔でわなくなり鋭い眼光でこちらを見ながらこう言った。
「殺すよ、できないやつは」