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異世界の味わい深さ

 レヴェちゃんの名前を仮決定し、コアさんにダンジョンを拡張してもらった。


『マスター、作業が完了しました。150P程残っておりますが如何致しますか?』


 もう少し余裕があればレヴェちゃんを正式にネームド化したり、新たな魔物を生成したい所だがいつ必要になるかも知れないので現状は様子見をしておくべきだろう。


 行動範囲も広がり、出来る事も順調に増えている。

 急いては事を仕損じる。今は雌伏の時だ。


「温存しよう」


『畏まりました』


「それと、ちょっと気になったんだけど念話だっけ?あれって範囲や使用に条件があるの?」


『あります。使用出来るのはダンジョンに属する対象に限定されており、有効範囲は障害物が無い状態で一キロ程度になります。今後ダンジョンが成長し、マスターのランクが上がれば性能が向上する可能性もありますが社会へのダンジョンコアによるスキル詳細等へのカーディナルアクセスは不可となっておりますのでマスターの鑑定スキルを強化する方がいいでしょう。しっかり使用されておりますか?』


「忘れてたよ」


『スキルは使えば使うだけ成長していきます。それはきっとマスターの助けになるはずですのでお使いになった方が宜しいかと』


「ご尤も」


 ぐうの音も出ない正論。


 まだ異世界に来て一日しか経っていないので科学世界とのカルチャーギャップに、なんてのは言い訳だろう。


 これではいけない。


 コアさんの言う通り、これからは頻繁に鑑定を使っていこう。

 俺が怠ければいざと言うときに出来たかも知れない事が出来なかったなど、悔やんでも悔やみきれないのだから。


 気持ちを新たにし、手始めにコアさんを鑑定してみる。

 決して疚しい気持ちがあるわけじゃない事を明言しておこう!


名称:――

種族:――

ランク:――


その結果、殆どが表示されていなかった。


 スキルと言うものに故障があるとは思えない。

 ともすれば恐らく何かしら他の要因があるはずだと考えていると、その答えは本人の口から語られた。


『勝手に鑑定しないで下さい』


「えっ? 何でバレた?!」


『マスターの鑑定はLvが低いようですので鑑定相手が特定のスキルを持っている場合は抵抗(レジスト)されます。その場合、抵抗者(レジスター)は感覚的にそれを察知します』


「マジか」


『マジです。ですのでこれからはお気を付け下さい。相手によっては敵対行動と取られる可能性もあるかも知れません』


「肝に銘じます」


 これはコアさんなりの優しい手解きは身に染みる。

 実践を交えながらも失敗を教え、回答をしながらも展開を述べる理想的なお方だ。


 あの時、女神に無理矢理詰め込まれた知識はダンジョンの概要だけであり、出来る事やこの世界の常識等々に関しては殆どなかったのでこうして度々コアさんの手を煩わせている。

 あの激痛は俺の頭が残念だったが故にすぐ限界を迎えてしまい概要しか入らなかったのか、それとも女神の擦り込みが凄まじく下手糞だったせいなのか…きっと俺はこの優秀なコアさんが居なければ既に野垂れ死んでいたことだろう。


 コアさんの優しさに甘える事無く同じ失敗をしないようにしなければならない。


 それにしても、スキルは使う程Lvが上昇していき性能が良くなると言う。では、ユニークと言うものはどうなのだろうか?

 鑑定や耐性にLv表記はあったが、ユニークにはそれがなかったのが少し気になった。


「俺のユニークスキルって奴にはLv表記が無いんだけど、これは?」


『ユニークスキルに限らずスキルは成長する物としない物が存在します。マスターのスキルは成長しない物か、或いはユニークスキルを鑑定する為のLvが足らないのかと推測されます』


「なるほど、勉強になったよ。ありがとう!」


 中々スキルって物は奥が深いようだ。


 レヴェちゃんにはスキル項目自体が表示されていなかったが取り合えずLvを上げて自ら確認する事にした。


 その為にもまずはWP確保に出かけるのがいいだろう。そうすれば自ずと鑑定対象も増えるし、一石二鳥だ。


「よし、それじゃあ今日もWP稼ぎと行きますか」





 昨晩と同じようにレヴェちゃんには穴の中で待機してもらい、コアさんには念話範囲に入れば誘導してもらえるように頼むと俺は意気揚々と獲物探しに出た。


 目に付いた物は片っ端から鑑定するのだが、表示されたのは木と草ばかり。

 見ればわかるだろっ! と突っ込みたくなるが、同じ轍を踏まぬように衝動を抑えて森を進む。


 どれくらい経ったか。既にコアさんとの念話が切れており、孤独と森の脅威に汗が頬を伝う。

 精神的にも疲労し始めた頃、自分の足音しか聞こえなかった森の中にブヒッと豚のような鳴き声が響いた。


「豚……いや、猪か何かか?」


 音の聞こえた方へと足を向けた。


 柔らかな森の土はシャクリと音を立てるが、相手がそれに気付いた様子はない。


名称:無し

種族:オーク

ランク:D


 鑑定相手はピンクの表皮をした二足歩行の豚が3匹。

 どうやらオークと言う種族らしい。

 手には木製と思われる大きな棍棒を握り、遠目にでもわかる程の巨体。歩く度にでっぷりとした腹を揺らし、会話をしているようだがそれを理解する事は出来なかった。


 しかし、今重要なのはそこじゃない。

 レヴェちゃんの時もそうだったのだが、何故俺のランクに(雑魚)と銘打たれ、他には付いていないのか。


「なんでだ……」

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