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村長さんちの次男坊です。  作者: 小さい飲兵衛
第2章 奴隷大国ホフタ
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凡人の対価


どうも、村長さんちの次男坊のエルグランです。

うん。

ただの村長さんちの子供だったんだけど…兄ちゃん達を助けるために、敵の目を搔い潜りながら地下道を走っていたらとんでもない地響きがして、地下道が埋まってしまったんだな。

だから、崩れた個所から何とか地上に這い出たんだけど、空には何とも恐ろしい情景が広がっていました。

胸に風穴開いてる不吉な飛竜に兄と弟と友人が乗って、禍々しい瘴気の塊と戦っています。

あれ?俺の兄弟は…やっぱり魔王なんですか?

つか、ファンタジーよりも特撮戦隊ものみたいな光景なんですけど!

実体のない煙みたいな奴に、どうやって敵うというのでしょう。

暫く、飛竜戦隊サンニンジャーを見守っていました。

炎もダメ。強風もダメ…兄ちゃん風魔法が使えたんですね。これも初耳です。

沢山の出来事に正直ツッコみが追いつきません。


「なぁ…これって現実だよな?」

「えっ!?ご主人様、心配して見守ってたんじゃないんですか!?」

「…エルグラン様、アレは実体がない化け物で御座います。早急に対処をした方がよろしいかと…」

「あー…ストラトス、それは俺が何とかしろってことかな?」

「ご主人様以外にこの場で何とかできる人がいない気がしますよ。」

「イヴェコまで…」

《エル、神聖魔法の応用でアレを浄化するしかないよ。瘴気が満ちてきてるから町自体が危ない。》


久々の全裸ブルーノを見たらわかるよ。

イヴェコもフィアットも辛そうだからね…それに、兄ちゃん達も心配だ。


「ブルーノ、やれるにはやれると思う。けど…」

《その後は俺達で何とかできるよ。それに、ライル達もいるからね。》

「…頼んだぞ。」


ブルーノの表情が、少し前のサフランを思わせる表情をしていた。

この場で、俺の背中をガッツリ押すのってお前しかいないもんな…今回は控えめながら他の奴隷たちも押してきてるから…


「俺に何が起こっても気に病むな。今この場で俺に誓え。」

『わかりました。』

《大丈夫だよ。》


スーッと息を大きく吸い込んで、両手を瘴気の塊へと向ける。

昨日使ったように体の中にあるスイッチを切り替えると、昨日よりはすんなりと魔力が変化していったが、視界がチカチカと落ち着かない。

あー、体が限界なのかも。

頭の端にそんなことを思いながら、塊へと目を細める。

包んで浄化。包んで浄化。大きな袋に包んで消臭するみたいな…うん、いける。

胃から何か競り上がってきて、口の中が酸っぱい。

魔力は十分。パワー満タン!発射台がちょっとガタが来てる程度…問題ない。

掌の感覚が全くなくなってきていて、視線を少しだけ手に向けると血塗れになっていた。

昨日今日じゃこうなるわな。

何だか体が極限過ぎて笑いが込み上げる。

大丈夫、大丈夫。

俺は、自身が発射台になったイメージで魔法を放った。

そこからは、ブラックアウト。



―---------------------------------




君…そんなに私のことが好きなの?


《んなわけあるか!!!!あっ!しまったーーーーー!ここに来ちまったよ!

まぁ、今回は来るような気はしてたんだけどな。》


あんまりいないよ?この空間に何度も何度も自力で来る人。

〈おや、そんなところで油売ってないで仕事してください。〉

油なんか売ってないよー。見て見て!この魂!!エルグランが、また無茶やってきてんの!!

〈貴方は、本当に忙しいんですから…ええ!?エル君!?〉


《あ、どうも。その節は大変お世話になりました。》


あのさ、私にも何かないわけ?毎回失礼だよねー、君。

〈貴方の態度が原因だと思いますよ?それよりも…エル君、今回はどうしたんですか?〉

プププっ!こいつ二日連続で相性悪い魔法…しかもデカいの二発もかましてやんの!


《おい!今、紙をぺらぺら捲る音聞こえたぞ!俺目線から色々見てんじゃないのかよ!絶対、今書類見ていっただろ!》


あのね、私達忙しいから日常をずっと見れないの。

〈そうなんですよ。ここのところ本当に酷くて。〉


《あ、原因と思しきものが分かったぞ。》


君ね、ポロッとでっかいこと報告してくるよね。

〈何だったんですか?〉


《異世界勇者召喚。》


……そりゃ…由々しき事態だね。

〈ということは、この量だと一か所だけではなく多数で行われている感じですね。〉

それも、世界禁忌指定しているにも関わらず…神の教えに背く行為。

これやられると他の連中に多大なる迷惑をかけたことになるんだよね…ほら、世界って無限って位にあるんだけど、管理してる私達みたいなのは無限じゃないのよ。

〈むしろ、顔馴染みですからね…横繋がりあるのに、こちらにあまり報告がないのは…〉

まだ、うちが原因ってバレてないってことだよね?早く対処したら…どうかな?


《お前ら、手一杯なのにどうやって対処するんだよ。まさか、世界滅亡計画とか安直なこと考えてるんじゃないだろうな…》


いや、それやるとばれるじゃん!すんごい数の魂が流出しちゃうから一撃でバレるし、批難轟々だよ。

下手したらこの仕事クビになっちゃう。

〈エル君に頑張ってもらうしかないんじゃないですか?〉

でも、彼の体ボロボロなんだよね…負荷が大きすぎて成長止まっちゃってるくらいだし。


《おいぃぃぃいいい!!やっぱり、成長止まってたのかよ!》


まぁ、龍の秘薬飲んだ副作用ってのもあるけど…ねー…どうしようか。いっそのこと、新しい体に転生してみる?

〈今ですと魔人に空きがございます。〉

リスタートって感じだけど、その分沢山オプションつけられるよ?チートだよ?今回は、チートじゃないのに無理ばっかりしてるからね…今、目が覚めても日常生活を送れるかも疑問だよ。


《え?眠ってるだけじゃないの!?》


前回よりも悪い仮死状態。今現在どうなってるか知りたい?

〈勿体ぶらずに教えて差し上げてください。そういうところが嫌われるんですよ。〉


現在、瘴気の塊がなくなって、そのまま龍に乗ったライル達が、館で禁術を展開していた領主を討伐。地下からは、沢山の奴隷と生贄にされた者の遺体が出てきた。

緑人族の奴隷の中にカンバーの母親がいたけど、足を怪我していて足を引きずってる状態。でも、他は大丈夫かな。

仮死状態の君は、神聖魔法の効果で自動的に奴隷解除されたストラトスとブルーノの判断でその場から連れ去られている。

他の奴隷も解除されて自由になったが、エルの安否を知られないようにストラトスとブルーノから指示されて暗躍スキルでバラバラに行動。


こんなとこかな。


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