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村長さんちの次男坊です。  作者: 小さい飲兵衛
第2章 奴隷大国ホフタ
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情報は武器です


アジュ達が集めてくれた情報とポールとサラがギルドで集めた情報。更に、居てもたってもいられなくなっていたアクアが、動物達と会話をして知り得た情報。そして、奴隷商人の元にいる間に知ったダッセルからの情報を俺がまとめることになった。

夕飯は机に向かいながら一人でサンドイッチです。

明確に分かっていることは、貴族の目的と幹部の目的が違う事。

幹部たちは、俺を探しているのだという。

あのスタンピードの事件から計算して、数日前辺りから俺がこの国に入国しているであろうと計算している。

この大陸に写真のようなものはないので、ぼんやりとした容姿の特徴しか伝わっていない。

考えた幹部たちは、奴隷趣味にかまけている貴族たちに噂を流して、協力させるように仕向けた。


”特殊な力がある美しい人間の子供が、ホフタに入国した。”

”国王に献上すれば、望むものが必ず手に入る。”


子供の奴隷を片っ端から集め終わった貴族たちは、今度は攫ったり、難癖をつけて奴隷落ちにさせているのだという。

つまり、俺一人の為に沢山の子供たちが攫われている。

それも亜人種ではなく、人間だ。

んー…手っ取り早く捕まるか!

奴隷落ちすれば、子供たちの集まる場所も分かる。

俺は、解放術が…副作用バリバリ出るけど使えるから自力で解術できる。

あ…忘れてた!俺、ご主人様だから他の奴隷たちが路頭に迷ってしまう!

んー…アジュ達を使って居場所を調べさせるか。

今まで集めた情報で、数か所目星は付けているからそこを先に潰して…


「貴族でも協力していない奴はいないだろうか。奴隷趣味のないまともな奴。この町の人たちは比較的まともだし、優しくて人情味あふれている。」


貴族について調べてみる必要大だな。早速、ストラトスとリブラに探りを入れさせるか。

俺は手に持ったままでパサパサになったサンドイッチをお茶で胃に流し込み、一息ついてから何気なく天井へ目を向けた。

うん。

怖いよ!ストラトス!!!蝙蝠みたいに天井にくっ付いてないでください!!

あまりのことに、俺が無言でプルプル震え出しているのを見て、ストラトスが逆さになりながら無表情でオロオロしている。


「ストラトス…怖いから俺の側にいるときは視界に入っててくれる?」

「貴方がそれを望むなら…」

「ところで、貴族について知りたいんだが、ストラトスは詳しいか?」

「先ほど、エルグラン様が呟いていたような方がいらしたとしても、私には伺い知ることができません。知っているのは、悪名高いものやろくでもない貴族ばかりです。」

「そうか…そのろくでもない貴族で気を付けなくてはならないのは誰だ?」

「ここから町3つ離れた場所の領主です。名前は、ゴルゴタ。強欲の塊で、自分の欲望の為なら手段は選びません。また、幹部にも通じている顔の広い奴です。」

「ふむ…気が良さそうで、正義感ありそうな貴族は、あの奴隷商人が知っていそうだな…ダッセルを引き取ってやったんだから協力しろと言いに行ってくれ。それと、お前たちとの奴隷契約が仮契約のままでは、この先拙いだろうから、正式に契約を結べる手はずを。」

「かしこまりました。ギルド側にも協力者が出来そうだとポール様とサラ様がおっしゃっていましたので、そちらにも協力を要請した方がよろしいかと…」

「例の子供を攫われた冒険者たちか…全員ではなく1名に絞って協力を仰ぐように…その1名は本当に信用できるものかどうかリブラとフィアットに調べさせろ。」

「お心のままに。」


いつものように俺の前からストラトスが消えると、椅子の背もたれに体重を預けて目を閉じた。

原因が俺か…子供たちを解放するのは、正義でもなんでもなくて罪滅ぼしだな…

子供たちが酷い扱いを受けていないことを願おう。

明日は、朝食を食べて食料を調達したら出発しようかな。

アジュが調べてくれた奴隷商人達が、子供たちを護送馬車に乗せて移動している地点に着くのは…飛んでいけば半日もかからないだろ。

絨毯でも買ってそれに全員乗せて魔法掛けた方が、魔力の消費が少なくて済みそうだな。

俺が大々的に奴隷商人達に知られれば、俺の危険が上がるけど関係ない人たちを巻き込まずに済む。

危険なんてクソ食らえだ。

他人の幸せをぶち壊してまで、のうのうと旅をしたいだなんて思わない。

危険上等!

明日から顔を出して行動してやる…俺だけ。

全員面出したら行動出来なくなっちまうもんなー。


「エル、大丈夫か?」

「ポールか…まぁな…今決まっていることといえば、俺たち全員が乗れそうな絨毯購入とギルドに協力者一人用意と明日から俺は変装なしで歩く。」

「お前が責任を感じることはないだろ。」

「いや、俺のことを奴らが狙っている。理由が分かっているのに隠れて行動しているなんて胸糞悪い。」

「ならば俺も顔を出そう。」

「いや、皆は面出し無しの方向で頼む。そうじゃないと行動しづらくなる。最悪、町に立ち寄ることが出来なくなるだろ。」

「色々考えているんだな。」

「お前は、考えなさすぎ。」


ドアをカリカリと爪で掻く音がしたので、険しかった表情を和らげてドアに向かい、愛しのわんこと新顔ペットを迎え入れた。


「おかえり、ブルーノ、アクア。」

《ただいまー。》

《ポールのやつ先に行っちまうんだもんなー。》

「俺は声をかけたぞ。」


この部屋割り、緊張感無くて癒されるな。また、町に行ったらこの部屋割りにしてもらおっと。



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