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村長さんちの次男坊です。  作者: 小さい飲兵衛
第1章 総ての始まり
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村はやや平常運行


前に遡るけど、言われたじゃない?なんでもチャレンジしたりしないと、後付けのオプションが発現しないって。

だから、周りに言われてチャレンジしてきたけど…今回は無理だー!!

結果、息が出来なくなる等体に被害が出るようなものは発動しなかったけど、解除できなかった。

そら、誰でもホイホイ解除出来たら奴隷制度成り立たないわな。

下手にあれこれやりすぎて奴隷の契約にちょっかい出しても、悪手になりそうだったので、今度は村人の催眠解放から着手することにした。

早く色々解決しないと、心配した村の若者たちが入ってきてしまうかもしれない。

もう、すっかり朝になってしまっているのだから。

時間がもったいないので、俺の近くで大きなイビキをかいてる村人の一人を起こしてみることにした。

皆、騎士コンビに気絶させられていたが、夜だったのもあって熟睡へとモードを変えていたので、催眠が解けている可能性があるし、ブルーノが催眠に使っていたであろう道具を壊しているのもあった。


「おーい。大丈夫か?」

「ん…ん…なんだ?ここは天国か?」

「何言ってんだよ、村のど真ん中だぞ。」


寝ぼけてはいるけど、大丈夫みたいだな。

皆で手分けして村人を起こしていくと共に、今回の事の流れを聞いてみることにした。

すると共通して分かったことがあった。

催眠術を受ける前と受けている間の記憶がないこと。

無理をして思い出してもらおうとすると強い頭痛に襲われて、頭を抱え込んでそれ以上聞けない状態になってしまった。


「村人は大丈夫だとしても…奴隷と隣国の兵士たちが残ってるな…」

「ボスを拷問して、奴隷契約を解除させよう。ある程度自由が利く状態にしてから正式解除の方法を探した方がいいだろ。」

「拷問かぁ…俺、アイツ嫌なんだよなぁ…」

「なんだ?拷問系は喜んでやりそうなもんだが…」

「ポール…お前は、浮きっぱなしのままでいた方がいいんじゃないのか?」

「無駄に魔法を使うなんて効率が悪いな。」

「ぶっ飛ばす!!」

「やめなさい。本当に、すぐにふざけるんだから。」


ぺしぺしっと俺とポールを叩いて苦笑した兄ちゃんが、顔の原型をあまり留めていないボスの居る護送馬車へと歩いていった。


「エルが、嫌がるんだから俺がやるしかないでしょ。」

「兄ちゃん!!殺さない程度にお願いします!あ!あとそいつオカマだから!!気を付けて!俺、背後から抱かれてすっごく気持ちが悪かった…」


思い出しただけでも背筋に嫌なものが這い上がってく感覚に襲われ、ブルッと体を震わせてしまった。

忘れたくて頭を左右に振って、一息ついてから顔を上げると兄ちゃんの隣に黒いオーラを身に纏ったアジュが歩いていた。


「アジュ!兄ちゃんの邪魔になるからこっちに居なさい!」

「は?何言ってんの?兄さんばっかりズルいじゃないか…俺だってこいつをボコボコにしたい。俺のものに…俺のものに…」


嫌だ!怖い!アイツ絶対に子供じゃない!!人殺しの目だよ!親指の爪を噛みながら、なんかブツブツいってるよ!

普段ならとっくに止めに入ってるハズの兄ちゃんを伺ってみると、魔王モードに突入しているのでこれ以上見ることができません。

兄弟なのに怖すぎるよ…あの二人。


「ありゃ、とんでもない拷問を受けることになるな…エルが無意識に追加攻撃したようなもんだ。」

「俺?俺は、気持ち悪い相手だから注意しただけだぞ?」

「きっと死ぬよりもつらい目に合うんですわね…ま、同情なんていたしませんけど。」

「あの二人にかかったら何でも言ってしまうな…私だったら。」

《せっかく、いうとおりにしたのに…》


皆、ボスに同情はしないが、絶望しかないんだなってことを冷静に思っていた。

気を取り直して、次にやるべきことをしなくちゃな。

村の方は落ち着いてきたけど、ユニコーン族がいるから外の人たちが入ってきたら混乱して、また収集つかなくなることが予想される。

先手を打って、先に現状を少し伏せつつも話に行ってくるか。


「ブルーノ、俺と一緒についてきてくれ。俺たちは、外に待機してる人たちに昼まで待ってもらうように話を付けてくる。」

《はーい!》

「サフランとサラは、カンバーの補助と村人たちへのフォローを頼む。ポールはユニコーン族に、ボスを拷問して話を聞いているから、少し待っていてくれるように伝言を頼む。」

『了解!』


各々割り振られた場所へと移動し、俺とブルーノは門の外へと走った。

門の手前で村の若者たちが、行ったり来たりを落ち着くなく繰り返していたのが見える。


「おーい!報告が遅くなってすまない!」

「戻ってきた!!!どうだった?中の奴らは無事か!?」

「ああ、隣国の奴らが乗っ取ってたんだけど、ボスをとっ捕まえた。村人は、怪我をしている人もいるけど、俺の仲間が手分けして手当てしているから大丈夫だ。」

「そうか…それで、もう入ってもいいんだろ?」

「あー…いやー…ちょっとばっかり、まだ立て込んでんだわ。昼過ぎ位になったら呼びに来るからもうちょっと待っててくれ。」

「立て込んでるって…?」

「んー…あんま詳しいことは聞かない方が身の為ってこともあるぜ?」


上手い言い訳が考え付かなかった俺は、誤魔化す様に笑顔を向けて若者たちの肩を叩いて回った。

念押しの意味もある。


「それじゃ、他の人たちにもそう伝えておいてくれ。俺が呼びに来る前に入った奴は…どうなるか知らないぜ?」


これだけ脅しておけば大丈夫だろ!

今回、ユニコーン族ヤバシッて感じだけど…ハーフ系も多いから解放するの悩むなー。デビルハーフは、悪戯好きだから悪いことして捕まった可能性もあるし、ハーフビーストも話が分かる奴と分からない奴がいるからな…何より、何者か全く不明の2名が、未だに怖くて見に行っていない。

これも早く見に行かないとだよね…アジュが、知らないってんだから怖い!

俺じゃわからない可能性の方が高いな。

考えているうちに、村の中心へと戻っていた。


「ブルーノ、ブルーノは多種族に詳しい?」

《ちちうえほどじゃないけど…わかるよ?》

「一緒に、奴隷を見に行こうか。」

《うん!》


これで分からなかったら目を覚ましてもらって、本人に確認取るしかないよな…嘘言われたらどうしよう…

不安で騒がしくなる胸を一撫でして、心強い相棒と共に怪我人や奴隷がいる大きな建物へと向かった。

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