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村長さんちの次男坊です。  作者: 小さい飲兵衛
第1章 総ての始まり
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準備は万端


村に入る作戦上、やむ負えなく美少年から美少女に屈辱的なシフトチェンジした俺は、現実から軽く目を逸らす為に、シルバが持ってきた二つの鎧を見た。

2つ共男性用の鎧か。イイね!!

俺だけ性別偽るなんて嫌だったからザマーミロ!

シルバは、何でも完璧だ。

2つともサイズバッチリだし、二人を知ってるから見立ても申し分ない。

少々2つ共、錆はないにしても傷や色落ちがちらほらあって使用感はあるが、凝ったデザインでは無くどこにでもありそうな無難なものだった。

色は、ポールのがメタリックブラックでサラのがホワイトシルバー。

後は、俺の兄弟とサラか…ふむふむ。

設定をそろそろ固めて探した方がよさそうだな。


俺は、ワンピースってのもあるからお嬢様しかないな。

つか、旅してんのにワンピースで旅に出る世間知らずってそんな設定しかないだろ。

ポールとサラは、文句なしに俺の護衛だな。

お嬢様の旅なんだからお付きのものが必要だ。

サラは侍女で、兄ちゃんは執事かな?

アジュは……アイツも侍女にしてやる!

ひゃーははははははは!俺のケツを狙ってる罰だ!!!確定ではないけど!そんな匂いがするから!


「ブルーノ、シルバ。俺のお付きにふさわしいワンピースドレスを二着。サラとアジュ用に探してくれ。後は…言ってわかるかなぁ…俺みたいな感じの女の世話をする黒っぽい服を着てる役を兄ちゃんに頼もうと思うんだけど、そんな感じの服はないかな?」

《魔国でもいるからわかるよ。侍女と執事の服だよね?》

「ブルーノ…お前はなんて頭のいい賢いやつなんだ!」


また、全裸マッチョのイケメンをワッシャワッシャと撫でまわして褒める美少女。

背徳の香りが再びします。


《侍女と執事か…ああいったものは見かけたことがないな。》

《そもそも、旅をするのにそんな服着ないよね…あれは、屋敷とか城とか主に室内用でしょ?》

「ぐはっ!そういうものなのか!メイド服は戦闘服だと聞いたことがあったのに…もう、君たちに任せます!

俺は、旅に役立ちそうなものとか靴を探す!」


田舎の村長さんちの息子さんは、そういったセレブリティ―な事情は知らないんです!

だって、田舎から出るつもりなかったから、貴族的な知識入れてなかったんだもん!

べ、別に負け惜しみじゃないんだからね!

出ていない涙を拭う振りをしながら、山のように積まれた物の山をかき分けていく。

ワンピースに合う靴は、サンダルとかパンプス?

おいおい、んなもん履いて旅とか確実に無理だろ!

世間知らずも大概にしろよって感じに周りから見られるじゃないか!

初見最悪とか!

何かいい案はないかな…馬車とか?

周りを見渡しても、やはりそんな大きなものは置いていない。あるのは絨毯くらい?

空飛ぶジュータン!!

魔道具でも聞いたことがないよ…つか、それがあったとしてもそれで颯爽と村に入っていったら目立つ目立つ!


「お、これならいいかな。」


小さめな白いショートブーツを見つけ、ボロボロの靴を脱ぎ棄てて履き替えてみた。

ちょっとぶかぶかだけどいけそうだな。

白は汚れが目立つから一見汚らしいけど、まぁそこはなんとか………


「ぎゃーーーーーー!!なんじゃこりゃ!!!」

《エル!?どうしたの!?》

《なにか変なものでもあったか!?》

「汚かったブーツが…いきなり真っ白になった!!!このブーツも魔道具なのか!?」

《へ?それはただのブーツだよ?》

《伝説の魔道具とはいえ、ワンピースが中古だから変なところで相乗効果を発揮したんじゃないのか?》


なるほど…ビビったー。

知らないうちに変な魔道具身に着けちゃったかと思ったよ。

ってことは…徐にスカートを捲り上げて中を覗き込んだ。


「すご!パンツも真っ白になってる!!」

《本当だ!身に着けたものが白かったら全部綺麗にしてくれるのかな?》

《エル、一応少女として偽っていくのだから、そんな堂々とスカートを捲るんじゃない。》

「全裸のお前に言われたくないよ!!」


急に恥ずかしくなってスカートを乱暴に降ろしてから物の山に向き直った。

ここ数日恥の上塗りしかしてない気がするな…とほほ。


しばらく山を漁って金になりそうな宝石類や、用途の分からない魔道具を何点か取り分けた。

ブルーノ達の方も質素なワンピースドレスを二着と上質な布で仕立てられた紳士服を持ってきた。


「やっぱり二人に任せて正解だったな…俺じゃわからないから時間かかっちゃってたよ。」

《ふふふ。ね?早速エルの役に立ったでしょ?》

《そうだ、こんなものが奥にあったから持ってきたぞ。》


屈んでるブルーノを撫でながら片手で革製の肩掛けかばんを受け取った。


「随分年季の入ったカバンだな。」

《破れていないから使えると思ってな。エルは鞄を持っていないだろ。これから旅をするのにこれは便利だぞ。》

「確かに、鞄ないと荷物はこぶのポールだけになっちゃうからね…ま、サラにも持たせる予定だけど。」

《これはエルが持て。魔力がかかるだろうが、50個までなら収納できる魔道具だ。》

「ちょ!なにそれ!!そんな凄い魔道具が存在してたの!?」


一見何の変哲もないこの鞄が!?

でも、伝説シリーズでも聞いたことがない…まさに秘密道具!?

鼻息荒く目を輝かせて興奮を隠さずに鞄を眺め、取り分けておいた魔道具や宝石を入れてみる。

何という事でしょう!大きさ関係なくするする入っていって鞄の重さは変わらない!

夢のようなアイテム!

これってチートアイテムじゃないですか!

シルバはやっぱり完璧モンスターですね!

しかしだ…50ってすぐに埋まってしまうんですね。宝石って結構小さいのに個数はあるんです。

もう入らないよ!

仕方がないので、宝石は取り出して普通の布に包んで風呂敷のように背負うことにした。


チートアイテムなはずなのにチートらしく使えない男、エルグランです。

服や鎧を持って三人で巣穴の出入り口へと移動していくうちに、二人は二匹へと変わっていった。

外では不安げに兄ちゃん達が待っていました。

さて、ファッションショーの始まりです!


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