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あなたへ...2015年10月

おめでとう

作者: あずま

あなたの高校1年のときの同級生の女の子が有名大学に合格したって

あなたが死んだことを知らないその子の身内が教えてくれた


すごいね、おめでとう

静かに答えた


お兄ちゃんの通っていた

自動車学校の先生があなたを勧誘に来た


大学の合格が決まったら

ぜひ来てくださいって

ハイと静かに答えてパンフレットを受け取った


あなたが

亡くなったばかりの頃


送られてくるダイレクトメールに娘はもう亡くなったので

二度と送らないでくださいと泣きながら電話をした


今はかけない


だって

どんどん消えていく


あなたのいた証が消えていく


もう高校の学籍もない


もちろん戸籍もない


あなたは大学を受けることもない

自動車免許を取ることもない


合格通知も不合格通知も受け取ることはない


あなたの大好きだったお友達が大学に合格したって

話しかけても

あなたはおめでとうをいうこともない


お母さんは

お母さんは

なんて答えたら

よかったんだろう


でも

きっと

あなたはおめでとうって言っただろうから


やっぱり

おめでとうと言えて良かった


ねえ

あなただけは褒めてくれるかな

お母さん泣かないで

おめでとうって言ったんだよ


せっかくの嬉しい合格なのに

お母さんが泣き出して

あなたが死んだことを話したら

教えてくれた人が

嬉しい合格を喜べなくなるかもしれない

お母さんを傷つけてしまったって思わないように


静かに

おめでとうって言えたんだよ





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― 新着の感想 ―
[一言] おかあさん、ありがとう。 私はもう元気だよ。 だから、おかあさんも元気だして。 私はおかあさんが会いたい時に、必ず会いにいくからね。 でも、こっちに来るのはずっと後にしてよ? 私…
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