相方の道具が九十九神になっていた
鉋、鑿、彫刻刀、その他の諸々の工具……
それらが鵬鈴の相方である。
神性の鵬鈴の相方ともなればその工具も只モノではないようで。
「おぉ、主じゃん。半月ぶり?」
――――九十九神になっていることがままあるのだ。
「ついに九十九経ったかえ、小槌[黄金丸]」
「おうよ。もう新米槌とは呼ばせねぇよ!主!」
小槌、黄金丸。鵬鈴のところへつい百年ばかり前に人界で老名工の手によって造られたのをそのあまりの綺羅綺羅しさを厭われ、鵬鈴の管轄の社の奉納品に成ったのを拾われた金無垢に瑠璃の象篏のされた槌である。
……が、さすがというべきか九十九神。
黄金丸は今、人型であった。
その名の通りの金髪に瑠璃の瞳。随分西洋寄りな色彩である。
それなのに着物は朱色の着流しに黒の帯。似合わん!
……今度何か似合う服をくれてやらねば。
鵬鈴は整ったモノが好きだ。
装身具しかり、家具にしかり。そしてそれは周囲のものたちにも適用される。
破壊的な趣向の持ち主が近くに居ると頭かち割りたくなるらしいとは随伴の眷属の式神青駒の談である。
そしてそれに黄金丸で殴りかか…げふんげふん、愛の鞭を振るおうとした前科がある。勿論青駒が全力でお止めした。
腐っても神様、暴力沙汰の物議はご遠慮モノの女神様なのだ(中身は大変残念至極ではあるが)
ところで鵬鈴は仕事の際絶対青駒を作業場にいれない。
仕事中は作業場の戸をしっかりと閉め、閂を掛けつっかえ棒をする。それは何故か。
その理由ー…鵬鈴が仕事をすると相方の九十九神達が御見せできない状態になるためである。
例えば金の釵子一つにノミと鎚がいるとする。
黄金丸をうっかり人形を取らせたまま仕事しようもんなら阿鼻叫喚の地獄絵図の出来上がりである。放送事故待ったなし案件だ。
「あぅっ、あっあっらめぇっ、召されるぅっあああああ」
アッー!!!
「娼婦のようにお啼きなさい」
「鵬鈴様、止めて下さい!(涙)色々哀れです‼」