004
やあ、お久しぶりだね。みんなのヒーロー山根浩牙、改めて、コウガだよ。
と、まあ、おふざけはここまでで、今日から俺は旅に出る。そう、今日でちょうど転生してから1年が経過したのだ。え?魔法を勉強していた5ヶ月間はどうなったて?気がついたら過ぎてたね。やっぱり未知のものに触れるのって面白くて面白くて……。いや、まあ、遊んでたわけじゃないよ。ぶっちゃけチートレベルの実力は身につけてるわけでしてね。うん……一つの魔法で都市を一つ壊滅させることぐらいは余裕でできるね。だがしかしっ!俺はそんな無駄なことはしない!いや。そもそも人殺しをするつもりも一切ないし……目立たずに静かに旅をしますよ。うん。え?チートでハーレムでも作れって?イヤイヤ。そんなことはしませんよ。女の子に興味はありまくりだけど正直ハーレムとかは好きじゃないし幼馴染みとか存在しないしギルドの受付嬢に惚れられたりとかもしないし、フラグをバンバン折って生活していこうと思う。いや、そもそも俺ハーレムとか好きじゃないしさ、やっぱり男なら1人の女に全力で愛を注ぐのが筋ってもんじゃないのかな。まぁ、ただ単に俺が不器用だから何人もの女性の中で過ごす余裕がないだけなのだがね。
と。まあ、そんなことを考えているうちにツリーハウスが端っこの方から少しずつ光の粒になって消えてきた。おお〜こんな風に消えるのか……そして、その数分後俺が座っていた椅子は木のくぼみになっていて、他の場所もただの木になっていた。さてと、木から降りてさっさと街がある方向に向かうとしますかね。
さっさと街に向かう。そんなことを考えていた時期が俺にもありました。はい。迷子です。だいたいの方角を決めて歩いていたはずなんだがね……気がついたらツリーハウスがあった場所と同じところに戻ってきてるんだよ…いや、なんで分かるかって?ツリーハウスがあった木ってのが他の木とだいぶ違うんだよ。どう違うってそもそも大きさからして違うんだよ。幹がとても太くて葉っぱの色も生き生きとしててな。まあとりあえず一目で分かるんだよ。立派な木の事は横に置いておいて、これはあれだな、ダンジョンになってるな。
ダンジョン。まあ、少しぐらい聞いた事もあるだろう。どう捉えるかは人それぞれとしてこの世界においてのダンジョンとは魔力溜まりである。まあ、魔力溜まりの説明をする前に魔力のちゃんとした説明をした方がいいだろう。魔力は生物にとって有害な物質である。魔力が一定以上存在するとそこにいる生物は魔化して魔物になる。それを防ぐために魔法を使い魔力を消費するのである。まあこの世界の全ての人はほぼ全員大なり小なり魔法を使う事ができるため人がいる場所で魔化が発生する事はないと言ってといいだろう。まあここまでの説明で分かったと思うがダンジョンとは人がいない場所に発生した魔力の集まりみたいなものだ。そして、ダンジョンにはランクが存在する。これは冒険者のランクと同じであり下はFから上はAまでが存在している。このダンジョンのランクとはそのランクの冒険者がフルパーティー、つまり5人で挑んで初めてクリアできる可能性があるというレベルである。そしてダンジョンはランクが上がれば上がるほど特殊な能力を持つようになる。わかりやすい例をあげるとランクCダンジョン「生ける屍の迷宮」がある。この迷ダンジョンは文字通り生ける屍が生息しておりダンジョン内で死亡した冒険者が襲ってきたりと内部で死亡した生物を操るという特徴をもつ。
さて、今回俺が何故迷子になったからと言ってダンジョンがあると断言できたのか。それは種を明かせばとても簡単な事なのだが、俺は魔力を見たのである。普通の場所がダンジョンに変化する際、何か一つのものをダンジョンの主にしなくてはならないためにその何かは周囲から魔力を集めるのだ。そしてダンジョンから抜け出す方法は2つある。1つはダンジョンの主を倒すことだ。主を倒すことにより集めらていた魔素が拡散してダンジョンは消滅に向かうのだ。もう1つの方法はダンジョンの入り口から出ることだ。周囲の魔素を集め終わったダンジョンは更なる魔素を求めて外部から敵を呼び込む。これはハエトリグサをイメージしてもらえればいい。ここまで来たら分かる人もいると思うが俺が遭遇したダンジョンはアリアによって強力な人払いの魔法がかけられている。そして本来ならいるはずの主もツリーハウスのあった木に集められているため存在しないのである。まあ、もはや現在に限り聖域と言ってもいいだろう。
まあ、詰んでいるような状況であるが実際はそうでもない。俺には魔法があるのだ。俺の属性は七色、そう、すべての魔術を使えるのだ。まあ、人前で使えるのは限られているが幸いここでは俺はボッチである。なので使い放題!さて、やってまいりましたのはツリーハウスがあった木のてっぺん、使用いたします魔術は橙色の中位の強化魔法、『鷹の目』と藍色の『転移』。転移は現代では使える人はおらず、俺だけのユニークマジックとなっている。転移は自分が行った事のある場所または見えている範囲に転移する能力である。まあ距離に応じて魔力を消費するのだが俺の所持魔力からすれば問題ない量である。さてと、んじゃ冒険を始めますか!