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「なぁ。天使?」
「なんだゴミ」
あれから天使とはすっかり仲良くなり、今では毎日一緒に昼飯を屋上で食べる仲だ。
あだ名で呼び合う仲だし、俺のことをゴミとか言うのは距離が縮まった証拠だ。と、思いたい。
そして今日、とあることを天使に相談しようと思う。
「俺ってフラグ一切立たないんだよな?」
「ん?まぁ、そうだろ」
何いまさら当たり前のこと聞いてんの死ねよみたいな顔をされた。
一般に言うどうでもいいわ~みたいなときの顔。
「じゃあさ・・・なんで俺日曜日に咲井さんにデートに誘われてんの」
「ブッ」
勢いよく口の中に含んでいたお茶を吹き出す天使。
やめろよきちゃない。
「なななななな、なんだと!?どういうことだ!?なぜだ!?お前には一切のフラグは立たないはず!そしてフラグが立たないからつまり女の子にデートに誘われるようなフラグを立てることはできない!確かにお前は前回咲井を助けて普通だった惚れるフラグを立てるはずだが・・・。お前に限っては何をしてもそういうことはないはずなのに・・・なぜ!?」
えらい驚きようだな。
さっきまでの無関心はどうした。
なぜ!?
って俺が聞きたいよ。
どうなっているのだろう。
今まで女子に誘われたこととか一度もないし。
天使が言ったように普通だったら惚れるようなフラグは確かに立てたが・・・俺はフラグを立てることはできない身。つまり本来ならあのままさようならってことになるのだが・・・。
「にしても咲井は積極的だな・・・前回もいきなりだっこしてとか急に甘え始めたし・・・」
天使がフラグとは関係ないところでなにかを悩みだした。
おい。
戻ってこーい。
「とにかく、これは何かがおかしい。ちょっと天に戻って咲井のことについて調べてくる」
そういうと天使は背中から1メートルほどあるふわふわした白い羽を広げ、空高く舞い上がっていった。
とかいうのではなく、ふつうにそのまま飛んで行った。
羽は生やしてない。
羽は人間が作った勝手なイメージらしく、本当は羽などないらしい。
うん。
実にどうでもいいね。
よりいっそう非科学的な存在だと認識が深まる以外に何もないね。
さて、天使もどっかいったことだし、昼飯でも食べるかな~とか思ってると屋上の扉を勢いよく開けて突入してくる奴がいた。
言うまでもなく、咲井さんだ。
なぜ言うまでないのかはわからないけど
「やっぱり、ここにいたんだ富良梨くん・・・」
やったぜ!
ついにみつけたぜ!おっしゃぁぁぁ!!
といった顔。
俺何かしたっけ?
「富良梨くん、もうご飯とか食べた?」
「どうみても食ってないだろう・・・」
「あはは、それもそうだね!じゃあ・・・その、よかったら一緒に食べない?」
あれ?
フラグ?
フラグたってね?
これ恋愛フラグ!?
おかしいな!!おかしいよ!なんでフラグ立ってんのさ!俺はフラグ立たない体質じゃなかったのか!?
いや。これはあれだ。
俺はフラグは立たないから恋愛フラグも立たない=ただの友達だと思われている。
これだ!
キタコレ!
これしかねえよ。うん。
そりゃそこらのゲームに登場してくるフラグが一切立たないようなモブキャラだって友達と一緒にご飯食べてんだもんね!
ということは別に不思議なことではないよな!はい。これで大丈夫。もうわかった。
「ああ、別にいいよ」
さりげなくもう一人分くらい座れるようにベンチから体をずらす。
咲井さんは少し照れながらも俺の隣に座った。
そりゃそうか。
いくら友達とはいえ男の隣に座るのは周りの目とか気になるしな。
でもここ屋上だし誰もいないから気にすることないと思うんだけど・・・。
「そういえば天野さんはどうしたの?いつも一緒にいるのに」
「え?ああ、あいつは今天・・・家にでも帰ったんじゃねえの?なんか具合悪そうだったし」
「ふぅん・・・」
なぜか少し嬉しそうな咲井さん。
そんなにあいつのことが嫌いなのだろうか・・・。
たしかに前回さんざん言われたとは思うけど。
まあいいや。今はそんなことより腹減った。
「じゃ、いただきまーす」
「わかったぞクズ」
家に帰ると天使がいた。
「わかったって何が?」
「なぜあいつに対してフラグが立つのかがだ」
「ふーん。で、なんでなの?」
「お前がフラグを。死亡フラグを奪ったからだ」
・・・・え?
「え?どいうこと?」
「はぁ、たく、本当物分り悪いな貴様は。仕方ないから二回説明してやる。二回説明してやるから一回で覚えろよ」
はい。
もうつっこまないからね。
何前回と同じセリフ言ってんだよ。
それ決めゼリフにでもするつもりか。
「どうやら貴様のフラグを奪う能力。あれは一見万能に見えたが実はそうでもないことが判明した」
あんまり判明して欲しくなかったなぁ。
「貴様はどんなフラグでも奪うことができる、いわゆる超能力的なものを手に入れ、その能力で貴様単体だけでは絶対に立たないフラグを奪い、それを使うことができるのだが・・・」
だが?
「死亡フラグを奪ってしまうと、その奪った相手だけは貴様にフラグを立たせることが可能になってしまう。まあつまるところ、あの咲井とかいうアホな女の死亡フラグをクズなお前が奪ったがために貴様とアホ女の間でだけならフラグが立つというわけだ。ちなみにその条件が発生するのは死亡フラグだけらしいがな。よかったなクズ」
うん。
まああれだよね。
要するに俺と咲井はこれからバンバンフラグ立つってことね。
うん。わかった。
あと良くはないよね。
「死亡フラグを奪ってしまうと、その奪った相手だけは貴様にフラグを立たせることが可能になってしまう。まあつまるところ、あの咲井とかいうアホな女の死亡フラグをクズなお前が奪ったがために貴様とアホ女の間でだけならフラグが立つというわけだ。ちなみにその条件が発生するのは死亡フラグだけらしいがな。よかったなクズ」
二回言われた。
よかったなクズまで言わなくていいのに・・・。
「そういうことだから、貴様にデートの誘いが来たのはあれだろう。もう恋愛フラグだろ。はっはっはーよかったなぁ~ゴミクズヤリチン女たらし」
規制!!
規制かかるようなこと言うな!!!
あといつもより怒っているように見えるのだけど気のせいだろうか・・・。
「気のせいだ。私は心が広いからな。寛大だぞ。米粒くらいに広い心だ。尊敬するがいい」
「小せえよ」
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