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フラグ泥棒  作者: しせんどう
死亡フラグ
4/5



「・・・!だれ?」


俺たちに気がついたようで振り返る。

誰ってひどいな。

同じクラスなのに・・・。


「あ、富良梨くん・・・」


よかった。覚えててもらえた!

嬉しいわ!


「・・・隣にいる人は・・・」


「ああ、こいつはてn・・・天野っていうんだ。今日転校してきた」


「そう・・・なんだ・・・でももう私には関係ないかもね・・・」


ふっと笑うと咲井さんはまた前を向いた。

おいだめだって。そっちいったら死ぬって!

なんていわない。

死亡フラグは見えない。

とりあえず説得をしよう。

うん。


「なぁ、咲井さん、なんでそこにいんの?」


「え?そ、そんなの・・・富良梨くんにはかんけいないじゃない・・・」


「関係ないことないだろ。そこは危ない。戻ってきて」


「・・・いいのよ。もう・・」


・・・・・なにがいいのだろうか。

というか花井さんが自殺しようとしている理由がよくわからないんだけど。

別に他の女子にはぶられてるとは思えないし。


「・・・なぁ花井さん。もしかして・・・自殺しようと」


「・・・そうよ・・・もううんざりなの!もう耐えられないの!お父さんもお母さんも勉強勉強って!私はみんなと同じように遊んでいたいの!普通にしたいの!なのに・・・お父さんもお母さんも・・・わかってくれない・・・」


あれま。

とてつもなくくだらない理由でした。

そんな理由で死のうとしてるのかこの子は。

まったく、ほ


「まったく。本当にばかばかしいわ」



「え?」


天使。

どうした天使。

というかそれ言葉に出しちゃいけないやつ!!!


「そんなどうでもいい理由であなたは自分の命を投げ捨てようとしているの?ははは。本当にばかね。アホね。くずね。勉強がしたくない?他の子と遊びたい?遊べばいいじゃない。それに、世の中には遊びたくても、勉強したくてもできずに、そして死んでしまう人もたくさんいるのよ。そんなことも知らずに、本当のんきよね」


「な・・・そんこと・・・」


「それにね。あなた死ぬ自信ないでしょ?勇気無いでしょ?わかるわよ。足ガタガタ震えてるし。大体あなた、朝から教室にいなかったってことはずっとここにいたんでしょ?でも飛ばない。ってことは死ぬ勇気がなかったか、構って欲しかったかのどっちかよねぇ。まぁ、あなたのようなタイプは構ってちゃんタイプでしょうけどね」


おふぅ。

天使。

お前何してくれてるんだ。

お前が一言一言しゃべるごとにどんどん飛び降りるフラグ立ってるんですけど!

やめて!もうしゃべるな!

確かに言ってることは正しいけども!!


「っ!ば、ばかにしないで!死ぬ勇気ぐらいあるわよ!いつだって死んでやるわよ!・・はぁ・・・はぁ」


やばいやばいやばい!!!

死のうとしてる!!

飛び降りフラグ立ってきてる!!!

ここで止めないとまずいことに!


「ふん。別に私はあんたが死ぬことなんてどうでもいいのよ。でもね、せっかく神様が与えてくれた命、きちんと良品として作ってもらった命を投げ捨てることが許せないのよ。生まれてくる場所は神様も選べない。作れるのはどういった才能を持っているか、どういった容姿になるか、それ以外は神様も決められないのよ。まあ、決められないというより決めてないだけなんだけど、そのランダムに生まれてくる中、あんたはラッキーなことにこの日本に生まれてくることができた。それはこの上なく運がいいこと。しかもあんたは容姿も良い。才能だっていくつもある。そんなふうに作ってもらっといて簡単に死ぬとかほざく奴、私は許さない。それだけ」


天使さん・・・

かっこいいっす。

最高にかっこいいっす。濡れた。

しかもさっきよりフラグ小さくなってる。

これはいけるかもしれない!


「・・・・・か、神様とか言って・・・何言ってんのよ・・・グスッ・・・そんなのぉっ・・いるわけないじゃない・・・うっく・・あんた・・・変な奴ね・・・」


少し、咲井さんは微笑んだように見えた。

でもなぜか、どんどんフラグがでかくなっていく。

しかもそれは飛び降りフラグじゃない。

飛び降りフラグはもう完全に消えたのだが。

このフラグは・・・・


【事故フラグ】


多分、足を滑らせるとかそういう奴なんだろう・・・。



えええええええええええええええええええええ!!!!

やっべぇぇぇぇぇえええええ!!

どうする!

これはうかつに近づいたら・・・いや、待てよ?これ俺がフラグ取っちゃえば


「無理だ。フラグを奪う能力はフラグが完全にできてからじゃないと奪えない。要するに、あの子の、咲井さんの事故フラグが完全に立たないと奪えないってわけ。おわかり?」


おわかり?っておま!

そんな簡単なもんじゃねえだろ!

っくそう・・・!


「もういい!俺が行く!」


咲井さんの元へと猛ダッシュ。

勢いよく地面を蹴り咲井さんとの距離をどんどん縮める。


「咲井さん!そのフェンスから絶対手離さないで!」


「え?」


俺のこの【咲井さん!そのフェンスから絶対手離さないで!】が死亡フラグにつながったらしい。

咲井さんは落ちた。


「ああああああああああああああああああああああ!!!!しまったぁぁぁぁぁぁぁああ!!!」


何も考えずに咲井さんのフラグと咲井さんの腕を掴んでいた。

というか俺フェンスどうしたんだ?

突き抜けたの?破ったの!?


「・・・・う、助けないとな」


咲井さんを引っ張りあげ、座らせる。

咲井さんの肩が小刻みに震えている。

相当怖かったのだろう。


「咲井さん・・・」


「・・・富良梨くん。私、もう一度頑張ってみる・・・。本当は、勉強のことじゃなくて、自分が嫌になったんだ・・・なんでも人のせいにして。友達と遊べないのも親のせい。テストの点がなかなか上がらないのも友達と遊んでいるせい。あはは、矛盾してるよね。なかなか遊ばせてもらえなくて、それでやっと遊べたときもその遊んだせいでテストの点があがらなくなってるんだって思って。私って、本当なにやってたんだろう」


咲井さんの言ってることはばらばらで、何が言いたいのかよくわからなかったが、よくわかった。

うん。俺が言ってることも意味わかんないね。


「うん。本当馬鹿ね。救いようのないアホだわ」


また天使の奴!!

余計なこと


「でも、そんな救いようのないアホなあんたは、そこの救われようのないクズに救われたのよ。やっと生きようと思ったときに足を滑らせて死にそうになったときに助けてもらえたの。どう?かなりラッキーなことでしょ?だからちゃんと生きなさいよ。くだらないことで死のうとしてんじゃないわよ。人間が死んでいいときは寿命とフラグって決まってんだから」


「・・・うん・・・そうだね。天野さんの言うとおりだよ。私、もう少し頑張ってみる。ありがとう」


なんかよくわからんけど咲井さんはもう自殺なんて考えることはなさそうだな。

うん。よかったよかった。


「富良梨くんも・・・ありがとう・・・」


若干頬が赤らんでいるように見える。

目もとろんとしていてまるで恋に落ちた乙女のような表情だ。

やめて。そんな可愛い顔しないで!

惚れちゃうよ!

惚れないけどね。


「さて。もうすぐ昼休みも終わりだ。戻るとするか」


天使がふと思い出したように。

そういえば今昼だったんだっけ。

もうすっかり放課後の気分だった。


「そうだな。戻るか。咲井さん、立てる?」


「あ、えっと大丈・・・・ああ、やっぱり無理!立てない!だから・・・だっこして・・・?」


・・・全然平気そうに見えるんだけどなぁ。

はぁ・・・。歩くのがめんどくさいのだろうか。

仕方ないのでおんぶ。


「・・・だっこがよかった・・・」


ぼそっとつぶやく咲井さん。

そんなにだっこがすきなのか。

今度は別の人にしてもらってください。


咲井さんを保健室に送った後、天使と教室に戻った。

戻る途中天使に


「お前、あいつからフラグを奪ったはいいがそのフラグどうするつもりだ?」


そうでした。


「それからもう一つ教えてやろう。絶対に奪ってはいけないフラグだ。それが、死亡フラグだ。お前は奪ってしまったな。お前の場合使おうと思わなければ使うことはないけど、ずっと持っとくのもアレだろ?ということで、これに入れたらどうだ?クズ」


そういうと天使はなにか小さいボトルのようなものを取り出した。


「これは?」


「これは奪ったフラグなどを保管しておけるボトルだ。かなり頑丈で例え核ミサイルを落とされようとも壊れることはないだろう。ほれ、入れろ。これに入れておけばなんとかなるだろ?」


なんかやけに親切な天使だなぁ。

たった一話の間にこんなに性格って変わるものなのか?


「いや・・・実は私がフラグを立てたせいであの人間が死ぬことになるとこだったし、もし死んだら私もどうなることか・・・だからそれを防いでくれたお前には少しは感謝してんだよ」


「お、おう」


そうやってあらたまって言われるとなんか照れるなぁ。


結局ボトルの中にフラグを入れて天使が保管することになった。


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