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ああ。また幻覚か。
一体何回この始まり方をする気なのだろうか作者は。
俺に幻覚を見せて楽しいか?
俺は楽しくねえよ畜生。
何が悲しくて人のことを死ねとかクズとか言ってくる顔だけはいい天使を見なきゃいかんのよ。
毎朝毎朝俺のベッドに侵入してくるしよぉ。
しかも一緒の布団に寝ているって言うのに何も起きない。
どうなっとるんだまったく。
あ、俺フラグ立たない人間だった。
「んー・・・おはようゴミクズ。よく寝れたか?あと私は幻覚じゃねえ。死ね」
ほら。
こんなこといってくるんだよ。
もう嫌よこんな生活!
元に戻して!
結局フラグを盗む能力とかあれから一回も使ってないし。
未だに幻覚は見えるし。
はぁ。
「てめえフラグを盗む能力は信じてんのに私の野存在は信じてねえのかよ」
「あたりまえだろう。フラグを盗む能力(笑)とかいかにも厨二っぽくて最高じゃないかこんな能力ほしかったんだ~」
「てめぇ能力も信じてねえな?何だよフラグを盗む能力(笑)って。なめてんだろ」
「なめないよ汚い」
前まではこの幻覚に反抗とかしなかったけど、せっかく見えている幻覚だからおちょくってみようとか思ってみたりしている。
まぁ、幻覚じゃないことくらいわかるけどさ。
だって周りの人にも見えてるもんこいつ。
ちなみにこの天使が空を飛ぶときは俺と二人でいるときだけだった。
「さて。今日は学校の日じゃないかクズ。せっかくだから私も行こう。面白そうだ」
「いや。いいです。遠慮しときます。というか無理だろこれないだろ」
「ふっ。天使をなめるなよ?ご都合主義化することなんてたやすいんだよ。今日から私はお前の通っている高校に転校してくる天使のような美少女転校生だ。どうだ。ワクワクしてきただろう?」
天使のようなというより天使だよな。
美少女もあってるけど。
というか
「今日から転校とかいきなりすぎだろ。無理に決まってんだろ」
「だから言っただろ。ご都合主義だって」
ああ。はいそうでしたね。
もうなんでもありなんですね。
「そういうことだから。お前はパンでも咥えて遅刻ぎりぎりで走って登校するがいい。道角で私とぶつかれるかもしれんぞ?あ。お前フラグ立たなかったんだっけ!ざぁーんねん!」
わざとらしいなぁ。
ウザイなぁ。
なんでこんな奴が天使やってんのか不思議だわぁ。
学校に到着。
1-2と書かれたプレートが上にぶら下がっている教室のドアを開ける。
「おはよう」
「おお。おはよう」
席に着き、隣の男子生徒に声をかける。
「なぁ、もしかして今日転校生が来るとか言う話って聞いてない?」
もしもだ。
もしものことがあるかもしれないし。
あいつがうちに転校してくるなんて信じてないけど。
とりあえず確認しといてもいいだろう。
「え?転校生?しらねえなぁ。くるの?」
知らないようだった。
つまり転校してくるって言うのはあいつの冗談だったわけで、実際にうちに転校してくるわけではないよう。
あいつも冗談言うんだなぁ。
「いや、そんな気がしただけ」
はははっとかるくはにかみ、前を向く。
もうすぐホームルームが始まる。
キーンコーンカーンコーン
ガラガラと音を立ててクラスの扉が開き、先生が入る。
それにあわせて生徒もそそくさと自分の席に着く。
「はい。おはようございます。えー実は今日、みさなんにお知らせしたいことがあります」
お知らせしたいこと?
・・・・まさか
「どうぞ。入って」
先生はどあの向こう側を向いてそう言った。
「おじゃまします」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
天使だった。
「今日転入してきた、天野天子さんです。みなさん、仲良くしてあげてくださいね」
一気にクラスがざわつく。
「なにあの子、めちゃくちゃ可愛い!」
とか
「やべえ!!可愛すぎるやべえ!!うおおおおおお!」
とか
「天野さんって言うんだって!私後で話しかけに行こうかな!」
とか。
みんな興味津々だ。
まあたしかにみてくれだけはいいからなぁ。
でもあいつの本性を知ったらきっと今のような反応の仕方はしなくなるのだろう。
「えーっと、じゃあ天野さんは富良梨君の隣の席ね」
え・・・・・。
なんで?
なんで俺の隣?
俺の隣はすでに二人いて入るスペースなんかねえよ!?
あ。ちなみに富良梨って俺のことね。
三話でやっと名前入ったよ。
「じゃあ俺がどきますね」
おぃぃ!!
今日朝ほんの少しだけ会話したこれから一切登場するこのない名前すらついてない男キャラ(モブ)なにやってんだよ!
別にどく必要なんてないんだよ!!
後ろに空いてる席があるじゃねえか!!
「ありがとうございます。宜しくね、富良梨くん」
天使はニコっと天使のような笑顔で微笑んだ。
こんな笑顔今までに見たことねえよ。
休み時間になると質問タイムだった。
「天野さんはどうして転校してきたの?」
「ちょっとうちの事情で・・・」
「天野さん彼氏とかいた!?」
「いいえ?彼氏はいませんよ(ニコッ」
「天野さん・・・」
なんだこいつ。
俺といるときとはまるでキャラ違うじゃねえか。
詐欺だ!こんなの詐欺だぁ!!
昼休みになると、天使に昼食に誘われた。
もちろんOKした。
色々と聞きたいこともあるし。
ちなみになんでお前みたいな奴が天野さんと!
という展開にはならなかった。
フラグが立たないからだ。
「で、お前どうやったんだ?」
「どうやったって何がだクズ?」
ほら。
さっきと全然キャラ違うじゃん。
俺の呼ばれ方なんかクズだからね?もう何なの本当。
「だから、どうやって今日転校なんてしたんだよ。ご都合主義すぎるだろ。たった数時間で転校の手続きとか全部済ませたってのかよ」
「まぁそうなるわねぇ。そんなもんでしょ。ご都合主義なんだから」
適当だなぁ
「適当でいいのよ。ご都合主義使ってる奴なんてたいていが適当なんだから」
さいですか・・・。
そりゃよかったです。
ってことはこの作者も適当ってことだよな。
知りたくなかったなその事実。
「あ、あとなんであのキャラなんだ?俺といるときとかなり違うじゃねえか」
「え?そんなの決まってんじゃん。モテるためよ」
・・・・・・。
あ、はい。
了解です。
「まぁ、別にあんたといるときみたいに素でいるのもいいんだけどさぁ。なんかそれじゃあ詰まんないじゃん?それに私素でいたってモテるし」
ようするに楽しんでんのね。
今のキャラを
「でも素でいたらモテないだろ。お前性格最悪じゃん」
「残念。私、私たち天使は特殊なホルモンを放っているのよ。だからどんな男でもその気になればイチコロよ。バキューンよ。一目ぼれよデレデレよ」
「うん。わかった。流石天使だな。あとホルモンじゃなくてフェロモンな」
「!!!う、うるさい!今のはわざとに決まってんでしょ!!て、天使の間で流行ってんのよホルモン!!」
顔を真っ赤にして何か言ってる。
意外と可愛い一面を見たものだ。
「でもそのフェロモン?かなんか出てるらしいけど俺別になんともねえぞ?」
「そりゃそうだろ。言ったじゃん。お前は不良品だって。そういう人間の本能に訴えかけるようなものとか一切効果がないんだよ。だからお前にホルモ・・・・フェロモンは通用しない。本当人間として、動物として終わってるよなぁ。あとおまえ自身に本能もないのかもな」
そうだったのか。
俺にはフェロモンが通用しなかったのか。
知らなかった。
あと俺に本能がない?
それは結構困るかも。
「まぁ大丈夫だろ。第一お前には何のフラグも立たないんだし」
まぁそうだけどよ。
ところで
「いつ弁当食うの?」
「あ。そうだな、屋上で食うか」
「いや無理だろ。うちは屋上立ち入り禁止だぞ」
「ノープログレムだ。そこんとこもいじった。入れるようになってるぞ」
「マジ!?」
天使本当チートだな。
屋上に上がるとどうやら先客がいた。
同じクラスの女子、咲井華名前があるということはこれからも結構登場するかもしれないキャラだな。
屋上のフェンスの向こう側で涙を流している。
あれ?これって死ぬの?やばくね?
自殺しようとしてんの?でも死亡フラグ立ってないよ?