カイザなんて認めない2
あらすじ→柊の保護した少年が怪しい動き…。カイザを殺そうとする黒金兜&新HERO。以上。
今回も不定期更新のお時間です。
それではどうぞ
「なぜ…こう言うことになるんでしょうね…」
天にかけられた国と国を結ぶ橋、スカイラインの上を愛車のオートバイで走っているのだが…。
「キャー風がキモチーーー」
「本当に空の上ですね僕初めてスカイラインを渡ってますよ!」
(それはこの道が免許証持ってないと来るまで渡れないからだろうな~柊さんより先にちびっ子二人を乗せることになるとは……)
現在、シャーロットを後ろ、竜華を新たにオートバイに装着したサイドカーに載せ初めてのバイクにキャッキャ騒ぐ二人のちびっ子の様子を微笑ましいと思いながらも若干騒がしいから長くは嫌だな~と考えながら安全運転をしていた。
「日本ってなにがある?楽しいものある?」
「うーん、独特の文化はあると思うよ~それにしても久々にご飯が食べられるから僕楽しみだよ」
「観光地色々あるらしいな」
「その観光ガイド何処から出したの?」
「君が私の事務所に来た時から生きたいと思って懐においていたのだよ向こうに付いたら案内したまえワトソンちゃん」
「なるほど~ワトソンじゃないけど案内はしてあげようオススメがあるのさ」
二人がキャッキャ盛り上がる二人を尻目に微妙な表情をしながらカイザが横やりを入れる。
「……僕の依頼のこと忘れてません?」
「大丈夫!」
「…………ボクすっかり忘れてました…ごめんなさい」
カイザの問いに対してシャーロットは胸を張りながら即答し竜華は申し訳なさそうに俯く。ちなみにシャーロットの事態も完全に旅行気分だったことは誰もが言わずとして理解していた。
「……ふぅ…観光は要件が終わってからにしてください……後、もうすぐパーキングエリア通りますけどトイレとか行きますか?」
「いく~」
「恥ずかしい事聞かないでください!」
「はいはい…じゃついでにお昼もあそこで取りましょうね」
カイザの気を使った言葉にシャーロットは大手をあげ、竜華は顔を赤くしながら物申す。
その様子を微笑ましく感じながら要望通りパーキングエリアに向かう。
………
…………
………
「……はぁ…憂鬱だ…こんなことなら朝の占い見とけばよかった…」
のほほんと冷たい鉄板にもたれ、空を見ながらつぶやく。彼がいる場所は、スカイラインから繋がる地上のパーキングエリア。
その片隅の駐車スペース…。
ゴォゴォバチバチと火を噴いて燃え盛る車の残骸から身を守るようにまだ燃えていない白いライトバンの影に身をひそめるように隠れる。
カイザから見たところ、パーキングエリアにて休息している一般市民の方々もすでに火災に気がついているが様子が変なために近寄らず呆然と眺め避難させられているように見えた。
(あのちびっ子たちも上手く逃げてるんでしょうか……おっと)
カイザの体が急に本人の意思を無視しながら走り出す。次の瞬間にカイザの背後がパッと明るくなり、カイザの体が突風の如く早い速度と機敏な動きで別の車体の影に隠れた瞬間に鼓膜に響く爆音と車体を揺らす爆風がようやく追いつき、先ほどまで自分が隠れてたライトバンが火にのまれていた。
「いろいろめんどうくさいですね。居るんなら出てきたらどうです?いつまでも進展ありませんよこれじゃ~」
もうこの動作を数回繰り返しているカイザはさすがに進展の無い現状に嫌気がさしたのか、出来る限り大きな声で自分の意思を伝える。
「そうだね、そうだそうしよう」
「え?」
ブゥン
「およ?」
「およ?じゃないでしょ…いきなり人の首狙ってくるとかどう言う神経してんですかい」
相手の素っ頓狂な態度にカイザは大きな声で突っ込む。
はたから見ればカイザは冷静に見えるが、呼吸は乱れ心臓は痛いほどバクバクと鼓動する。簡潔に言えば隠れていた車のドアを開け普通に出てきた上に喉元を指でえぐり取ろうとした男に恐怖を覚えたのだ。そのせいで口調も少し変化していた。
「ハハハ、まぁそういうなよハハハハ」
「……あなた何者ですか?悪ですかそれともHEROですか?」
「俺?そうだな…うんそうだ…気にしないでよ」
「チッ……?」
抜群の笑顔から放たれる当たれば首が吹っ飛ぶような勢いのある蹴りをカイザは身を低くする事で交わし反撃に拳を男の顔面にむかって伸ばすが…。
男は、カイザが瞬きする瞬間にその場におらず、辺りを見渡すと「やぁ、コッチだよコッチ」といい笑顔で明らか高そうなレッドカラーのポルシェの上に脚を組みながら座っている男が居た。
「ハハハ、ハハハ、本当に君は交わす時以外はトロくなるよね」
「……あなたは僕を知っているようですね…いったいどこで?」
「うーん、忘れてるなら、忘れてて良いと思うから言わない。…ただ、君を殺してほしいという依頼人が居てね、そのために僕は派遣されたのさ」
カイザを指さしながら楽しげな表情を浮かべる…。その瞬間にカイザの背中に赤い光のポイントが向けられていることにカイザは気がつかなかった。
再び火薬が爆発する独特の音が発生する。
100M程離れた森の中からその音が聞こえた…。その音の発信源から放たれた音速のそれは真っすぐにカイザの背中に向かって突き進む。森の木の葉に風穴を開けそれでもぶれることなく進む弾丸は…カイザの背中に当る直前…。
「?」
後数ミリと言ったところでカイザの【回避】が発動し掠る事無く避けられ、見事に外れる。
「ところがどっこい」
「なに?」
カイザの避けた弾丸は、当然止まることなく進み…カイザと男のすぐ隣に駐車されて居たガスボンベを大量に積んだバンに命中し…ピカッと光ったか思えば、一瞬でカイザの視界と男を炎と爆音が包み込んだ。その時の轟音は遠くで何事かと観察していた人々の鼓膜にもよく響き、人の生存本能を激しく刺激し、見物しようとしていた人間たちは悲鳴を上げながら我先にと逃げ出す。
「彼の回避でもさすがに今の不意打ちは喰らったかな…僕でも食らったほどだしね」
ドタドタと騒がしかったそれが聞こえなくなった頃、黙々と上がる黒い煙の中から服の焦げた先ほどの男があくびをしながら出てくる。彼は遠く出ライフルを構えている刺客、黒金兜に自分ごと撃てと…あらかじめ作戦を立てておいたのだ。それが功を奏したのかカイザは爆発に巻き込まれた…………。
かのように見えた。
「……本当にこんな作戦にかかると思いますか?」
黒い煙の中から当然のように出てくる二人目の男…。爆発の中、一切汚れも付けずに出てきたカイザに対して「うわー、あれでも駄目なのか…」と男は、がっくりと肩を落とした状態で…カイザに向かって走る。
「早いですね…目で追えないほど早いなんて…」
「追えてないくせに、キチンと交わすなんて逆に憎たらしいね」
ビュンビュンと風を切る速度で激しく動き回る男の素早い攻撃をカイザの意思の無い所で交わし続けるカイザの体…連続で繰り出される隙の無い脚技も全て交わしていく。
「いくら早くても僕に攻撃は当りません、よ!」
「逆に君の蹴りは遅すぎて僕に当らないね!」
100回蹴られる度に一度の回数でカイザが蹴り返すが、どちらの脚技も相手にかすりもしない、平行線状態が続いていた。
「こういう平行線の戦いって僕は好きじゃないな~」
「なら大人しくやられたらどうですか?さっきから一人称かぶっててイラッとしてるんです!」
「ハハハ、ハハハハ。まぁそのあたりは、もう解決してるから安心しなよ」
「?」
男の謎めいた言葉に一連の争いが中断すると男は「あっちあっち」と指さして見せるのでカイザがその方向を見た瞬間に驚くべき光景を見た。
「たすけてーーー」
「ごめんんざーーい!」
先ほどまでカイザと別行動していた、シャーロットと竜華が街灯に括りつけられバタバタと脚を動かしながら泣きわめいている光景が目に入る。
「まじか…」
「そう、それと気付いたからには……ね?」
目の前の男が嬉しそうに微笑むと、先程カイザを狙っていた赤いレーザーポイントが少しずつずれ始め、街灯に縛られている二人に向けられた…。
「ずいぶんと卑怯な事で……」
「卑怯って言うのはさ、悪がやるから卑怯なんだよ…主人公が卑怯な事をするとそれは全て勝つための作戦なんだ……公平なのがフェアではない。主人公がするからフェアなのさ」
「なんとなく理解はできますね…」
「悪がそれをやれば負けフラグ、正義がそれを行えばそれは勝利フラグ。この世界なんてそんなものだよ…生憎、僕も僕のパートナーも一応は主人公だ…君を倒すための作戦だから君に勝利フラグは立たせない」
男が笑った瞬間にカイザは、脚に力を込め、地面を蹴る事で駆けだしそれに気が付いた男が手を伸ばすも交わしながら括りつけられた二人の前に飛び出した瞬間。
鼓膜に直接響くような音が暗いパーキングエリアから離れた森から発せられ、2人の前に立ったカイザの体から鮮血が少し吹き出す、そしてカイザは膝をつく。
「カ…カハ……」
「カイザさん!!」
「うわぁああんうわぁああんカイチャーーン」
膝をついたカイザが血を吐いてむせると縛られていた二人は大きな声で喚く。膝をついて右手の掌で右腹部を抑えながらも男とレーザーポインターの主を警戒する事に神経を使っていた。
「大丈夫…一応、防弾コートのおかげで致命傷にはなってません…皮膚には少しめり込みましたけど……」
「う…、う」
「ヒック…エグ…」
目の前で人が撃たれるというショッキングな場面を見たせいで二人の少女の精神は完全に不安定になる一方でカイザは冷静に第2射が来る前に二人を何とかしなければと頭を絞る。
しかし、全く解決策が出ない内に第二射が暗闇の森から放たれ…カイザの右肩を今度は防弾コートごと撃ち抜く。
「「キャー!」」
「くっ…二人とも…眼を閉じておいてください…大丈夫です仮にもHEROなんで、負ける気はありません」
「「…うん」」
激痛に苛まれながらも二人に気を使ってギリギリ妥協できるレベルの笑顔を向け、
二人が目を瞑ると安緒した表情を見せる…。
「優しいね、自分の死にざまは見せたくないって感じかな?」
「ごふ……」
ふと安緒した隙に男がカイザの目の前まで一歩で飛んでくる。そして、再び早い蹴りを繰り出してくる…その蹴りは綺麗にカイザの腹部に突き刺さるように入り、カイザの体は後ろに縛られている街灯の横を吹っ飛びコンクリートの壁にぶつかる。
その様子を見た
「ふむ、君のその【回避】の決定的な弱点はやっぱり守る物なんだよね~君は守るものがあるとどうしても回避する事が出来なくなる…それどころか自分から前に出る…守るものがある方が弱いという主人公らしからぬ主人公、カイザ=ガブリエルを倒すのは実に簡単だったって訳さ…この事実を2年前に知っていれば僕もあぁはならなかったのに…」
「2年前……あ…」
男が何処か明後日の方向を見ながら呟いているのでカイザは男の顔を見て…(見覚えがある気はしていたが…あの時の人でしたか……なんとも執念深い…)と苦笑した瞬間に男の蹴りが顔面向かってきたので今度は交わし男の顔面に手を伸ばすも相手も素早い動作でそれを交わす。
交わされたせいで体勢が崩れ、倒れこむようにして、前に進む。
「そんなパンチじゃ蝿が止るよ」
「パンチじゃないんですよ」
男の呆れたような声にカイザは笑みを絶やさずに懐からあるものを竜華とシャーロットの縛られた街灯に向かって投げる。
スパ、カンと何かが切れる音と空洞の鉄パイプに何かが刺さる。
「あ、やば」
「二人とも!走って逃げてください!」
「「う、うん」」
カイザが投げた物は、ナイフで真っすぐに飛んだナイフは、2人の少女がジタバタし続けた拍子に緩んだ部分にクリーンヒット、縄を綺麗に断ち切ったので竜華とシャーロットはバラバラに走り出す。
それを見た男は、アチャーといいつつ今までにない笑みを見せる。
その瞬間に走って逃げた2人の片方、竜華のこめかみに赤死神の目線が死神のマーキングのように向けられた瞬間。
パァンという火薬が爆発する音とともにその場に、真っ赤な鮮血が…月夜に舞う。
以上です。
新HEROに関しての紹介は次回という事でw
はてはて、次回カイザはどうなってしまうのか……。
次回の投稿は未定です。文章力が物凄く欲しい今この頃です。
ではまたノシ




