名探偵なんて認めない【挿絵アリ】
前回までのあらすじ
柊が指名手配され、慌てて探すが柊の消息がつかめないカイザ、そして熊先生が襲撃に遭い…あるものを奪われた。そこで二つの事件を解決するためにある場所に向かった。以上。
お久しぶりです。久々の投稿のお時間です。ではどうぞ
………
ハァ…
とあるオリエンタルな風味のある建物の前でカイザは長い走行の疲れからか溜息を吐いてからこれから来るであろう災いに身構える。
コンコンコン…と丁寧にノックして待つ事、10数秒。
ドタドタドタドタ…騒がしく誰かが階段を下りる音がする…。
「きゃ!?」ドッタンバッタンゴロゴロ
何かが転がる音がする…。
ゴロゴロゴロゴロ…転がった何かが近寄って来る…。
スッとカイザの【避ける】スキルが発動しドアから離れる。
バァン
カイザが離れると同時にドアが通常では予想できない衝撃を受け、通常では考えられない方向に開き、通常ではありえない威力でドアに固定されていた木製の看板プレートがぶっ飛ぶ……。
ヒュ~……ガッ!
「あぐ!?」
ぶっ飛んだプレートは、たまたま前を通りかかった通行人…Aさんと名付けよう。
Aさんの頭部に直撃して砕ける…砕けるような威力を喰らったAさんは、額から血を流して地面に突っ伏す。
まるで殺人事件の現場のような演出…。
(すみません、見ず知らずのAさん。教えてあげればよかったですね)
眼を瞑り、胸の前で十字きってアーメンと冥福を祈りながら本題に取りかかるため。足元に転がっている元扉、現在板の上で目をアニメのようにくるくる回す人物を見下ろすカイザ。
「は~うぅ~」
その人物…、背が柊より低く…頭に茶色チェックのベレー、インバネスコートに身を包んだ10歳前後の金髪ツインテールの少女が何やら唸りながらも意識を取り戻す。
「ん?」
急にあたりを見渡すベレー帽の少女…。
少女は辺りを見渡すうちに、ある存在を…その鋭い観察眼が捉える。
「こ、これは……ズバリ殺人事件ですね!」
何やら状況を頭で勝手に整理し顎に指を当てながら出した答えと言うのが、見当違いな内容だったようだ。
「あなたとあなたとあなた!動かないでください!重要参考人ですので!今すぐに犯人を見つけます…ワタシは名探偵ですから…」
「え、あの?」
「お、おい」
「……僕も犯人になってるのかな?」
急にその場にいただけで呼びとめられ、その場に留まってしまったカイザと通行人Bと通行人C。
三者三様で反応は様々だが…困るという行動だけは共通の意識である。
「ふむふむ、なるほど」
何がなるほどなのか誰にも理解出来ないが、とりあえずそのパイプ型の吹き口からシャボン玉をそれっぽく出すなとカイザは無表情の裏側で考えていた。
「そこのオジさんを殺した犯人が今わかりました……」
(犯人は少なくとも通行人さんたちじゃないんだけどな…)
「あにゃたです…あなたです」
ビシッと小さいおててで指を刺しながら決めようとするが…思いきり噛んで言い直す。
(やはり呂律が回り難いのか?それとも頭が回らないだろうか?)どちらでもいいとカイザは指が自分に向けられる前に回避する。
すると、再び「あなたです」ヒョイ「あなたです!」ヒョイ「あなただって言ってんでしょうが!?」ヒョイ「うら~!!」ヒョイ
何度もめげずに指を刺し、避けられ、指さし、避けられ。最終的には怒りに身を任せて腕をぶんぶん回しながら特攻するも避けられる。
「なぜです?なぜなんです?なぜ私の【探偵の謎解き】の中で自由奔放に動けるですか?」
少女は大変不服そうにカイザに向かってシャボン玉で牽制する。
「その【探偵の謎解き】とやらで解き明かしたらどうですか?」
「ムキー!!」
カイザのからかう様な物言いに少女は顔を真っ赤にして怒りだす。
「こら!馬鹿シャーロット!!犯人はあなたでしょうが!ほんとうにもう!」
「いた!」
急に後ろから少女の後頭部を誰かが殴る。
「い、いたい…馬鹿になったらどうするつもりだね…?ワトソン…」
殴られた頭を両手で抑え潤んだ瞳で後ろの人物を見る少女。
「あのね、僕はワトソンじゃないとシャーロットは何度言えば判るのかな~?」
「いひゃいですいひゃいです」
探偵風の少女の頬を左右から引っ張る新たな少女…青い長髪、黒目にワンピース、そしてその手には何やら可愛らしい杖がにぎられている。
「あの、お取り込み中のところ悪いんですが…通行人Aさんを何とかしませんか?」
こらえきれなくなったカイザが話を遮るとハッと我に返ったのかすぐさま頬を引っ張るのをやめ…長らく道に放置されている通行人Aもとい被害者Aさんに駆け寄る。
そして、何やら杖を頭から血を流して気絶しているAさんの頭の上で掲げる。
キラキラキラと杖の先から優しげな光を浴びせる。
「うぐぐ…」
光を少し浴びたかと思うとAさんは、急に眼を覚まし…何が起こったのかわからない表情をする。
「あの、もうお怪我はないのはわかってるんですが…大丈夫ですか?」
「あ、あぁ…大丈夫。……やっば!俺行かなきゃ!」
杖を持った少女がAさんに謝るとAさんは、何かを思い出したようにすぐに立ち去った…頭に血が付いたままだったのですぐに誰かに捕まる可能性大だが誰も気にしなかった。
「あ、あの我々ももう行っていいのかな?」
「ちょいと仕事があってな」
BさんとCさんが困り口調でオドオドとたずねると、杖を持った少女はニッコリほほ笑みで返す。
微笑んでいるがその真意は恐らく「これ以上は、もう突っ込まないでください!」と考えているのだろう…B&Cさんは、その後すぐにその場から消える。
残ったカイザと少女二人。
3人は、お互いに見合った結果…。
「あぁ、誰かと思ったらカイザちん」
「そうですカイザさんだ」
「ようやく思い出したんですね…お久しぶりですシャーロットさんに竜華さん…」
二人のちびっ子は、カイザの顔を指さしてほぼ同時に叫ぶ。
指を刺されたカイザは、疲れた表情のまま、2人の名を呼びその後、竜華に引っ張られながら探偵事務所に入る。
………
…………
………
探偵事務所に入るなり、機嫌悪そうに椅子に座りながらプクプクとシャボンをパイプ状の吹き口から作り出している少女。
彼女の名は本難シャーロット、年齢は9歳。ドタバタ系探偵タイプのHEROであり、この探偵事務所の所長兼正真正銘の探偵である。
推理力は低いものの閃きやヒントを引き寄せる才能に特化していて、逆に事件や犯罪者を招き寄せる副作用を合わせ持つ。
主人公補正は【探偵の謎解き(クエッションアンサー)】という容疑者を特定して謎解きする場合において…周りの人間の動きを制限し自らの言葉や推理を聞かせイメージさせる一種の空間支配スキルの持ち主でファーストセクション。
もう一人の杖を持った少女、名を荒川 竜華、年齢は10歳。ピュア系天然タイプのHEROでシャーロットの相棒&専属医師。
主人公補正は、【回復】、あらゆる生命体を回復させ自分だけは死んでも生き返るという生存フラグを立てまくる補正。
『悪』に対しては何故か味方する事が多く傷ついている人などを見たら放っておけない性質なので意外とHEROたちから白い目で見られている少女。
このシャーロットと竜華の二人が経営する場所こそが【シャーロット探偵事務所】。
人探しや落し物、そして殺人事件の推理など幅広く行う意外と真面目な興信所だったりする。
「さて、今日はどうしたんです?2年ぶりくらいですけど…僕達というよりシャーロットにご用ですか?」
「はい、再開を懐かしんでいる時間はあまりありませんがね…実は…」
会話が進まない気不味い状況を打開したのは、竜華であった。
沈黙を打破してくれたことに感謝しつつカイザは、ソファーに腰掛けながら2人に二つの事柄を話す。
「………」
「…つまり、人探しと犯人探し両方同時の依頼ですか…高いですよ?」
「まぁ元々それは覚悟していたので構いません」
カイザの依頼を聞いてシャーロットは未だにシャボン玉を出し竜華は、カイザに報酬の話をする。天然キャラのはずなのだがそれ以上に我が強いシャーロットの前では…天然キャラですらもまともに見えるのだから世の不思議である。
カイザとギャラの交渉を終えた竜華…途中で100万を100円と書き間違えた契約書を出しかけたためにカイザに止められたりなど天然キャラを発揮しつつも何とか交渉を扱ぎ付けシャーロットに首をかしげながら所長に声をかける…。
「シャーロット…仕事だよ?」
「………」プクプクプク
「ねぇ?」
「………わかったよ…あなたのお悩みこのシャーロット本難の名にかけて解決いたしましょう……これでいい?」
「うん、百点」
先ほど、大失敗を犯しすねていたシャーロット。優しい笑みを浮かべる竜華の視線を真正面に受けていたたまれなくなりようやく仕事をする気になる。
ようやく動いてくれる様子にカイザの眼は、保護者的な視線から信頼できるものを見る目に変わる。
「ありがとうございます。ちなみに今回は少しでも戦える僕が同行するべきですか?しなくて大丈夫ですか?」
カイザのその質問、それは常人が聞けば意味不明な内容だろう…だがしかし、シャーロットと言うHEROを知っている人物や本人にはこれはもっとも重要な内容なのである。
事件の危険性と言うべきだろうか…シャーロット一人で解決できる事件とシャーロット一人では解決できない事件と言う物があり後者の場合。
シャーロットの命にかかわる可能性がありどうしても誰かの援助が必要なのだ。
「どうなのシャーロット?僕だけじゃ無理?」
「うーん、無理だと思う…最大限にヤバい感じがする…カイザちん。動向よろしく~竜華!旅行の準備するよ」
「えぇ旅行!?なんで?」
シャーロットのいきなりの言葉に竜華は、テンパりながら尋ねる。
すると得意そうに両腕を組んで「フフン」とよくぞ聞いてくれたと言わんばかりの笑みで竜華に告げる。
「事件が私を呼んでいる…日本から!」
シャーロットのセリフはビシっと決まった。
竜華は、驚きと同時に故郷に変えられると喜んだ。
カイザはへこたれた。
「……二日もかけてこっちに来たのにすぐにまた帰るのか…覚悟していたが改めて現実を叩きつけられると気力がやばいです…」
本来、主人公とうのはこう言う場面では皆を引っ張って行くのだろう…。
だがしかし…現実で考えてみよう、日本から英国までバイクで二日かかる旅を終えてすぐさま日本に帰るという現実は覚悟していても人間一度は挫けるくらいには面倒くさいのである。
へこたれているカイザを無視しながらトランクに荷物を詰め込む二人。
(柊さん…どうかご無事で、僕はしばらく子守に付き合わされそうです…でも絶対に見つけて見せますからね!)
カイザはその日、英国の月に拳を握りながらそう誓った。
★☆キャラ紹介☆★
名前:本難・シャーロット
性別:女
年齢:9
悪or正:正
ジャンルor種族:ドタバタ系探偵タイプ
クラス:ファーストセクション
主人公補正or悪のスキル:【探偵の謎解き(クエッションアンサー)】
補正内容:容疑者を特定して謎解きする場合において周りの人間の動きを制限し自らの言葉や推理を聞かせイメージさせる一種の空間支配スキル。また事件直後に警察を呼ぶと通常より早い時間で来る。などの効果も持つ。
★副作用として事件や犯罪を呼びよせるなどのデメリットも存在する。
容姿:身長138cm。頭に茶色チェックのベレー、インバネスコートに身を包んだ10歳前後の金髪ツインテールの少女
性格:子供なため無邪気で好奇心旺盛。怒られたり上手くいかなかったりすると子供らしく拗ねる性格。
武装:シャボンキセル。アダムズ1872年型マークIII。
備考:日本人の父とイギリス人の母との間に生まれたハーフ。生まれも暮らしもずっとイギリス。
名前:荒川 竜華
性別:女
年齢:10歳
悪or正:正
ジャンルor種族:純白な心を持った天然系HERO
クラス:セカンドクラス
主人公補正or悪の能力:【回復】
補正内容:あらゆる生命体を回復させる。自分のみ死んでも生き返る。ある意味呪い。
容姿:青い長髪に黒目。服はその時その時で変わる。
武装:杖オンリー
完璧補助タイプ。名前から強気なイメージを思い浮かべるが実は天然(らき☆すたの柊つかさが一番近い)。
『悪』に対しては何故か味方する方。回復したり回復したり。
一人称は僕。傷ついている人などを見たら放っておけない(種族関係なし)
これのため、近所の動物に懐かれている。
以上です。次の投稿は来週を予定しております。
感想などよろしければお願いいたします。それではまたノシ




