悪の平穏なんて認めない
前回までのあらすじ
弱り果てた悪の巣窟ことラストフロンティアにて生活を始めた柊。そこで新しい友や仲間が出来る。以上
今回も不定期投稿の時間です。
今回はめちゃくちゃ短いです。
ではどうぞ
……数日前、カイザはというと…。
「オイ…君は本当に主人公なのかい?」
「……アハハハー言い返す言葉もありません」
再び病院で包帯巻きにされているカイザと心底呆れている病院の医師のレヴィ
カイザは、獅子雄の部屋を訪れた直後に交通事故に巻き込まれ再び病院に入院しているのであった。
「なんでこれからってときに…トラック三台の玉突き事故に巻き込まれるかな…」
「巻き込まれてません…きちんとダイナミックに交わしましたよ」
「ダイナミックに交わした結果がこの有り様だろうに」
「アハハハ、……すみません…」
玉突き事故に関しては、綺麗に回避する事が出来た。…自己の一部始終を見ていた周りの人間が拍手しそうになるほど完璧に着地まで決めたのだが…。カイザは退院した直後だった。
事故には巻き込まれないがいきなりの激しい運動のせいで傷が開いたのである。
「いつになったら君は、ヒーローらしくなれるんだろうな」
「いつか…近いうちに…たぶん…」
両腕を組みながら椅子に座っているカイザを見下ろし酷く冷たい目で怒りを最大限抑えた声で呟く。するとただでさえ見下ろされ小さくなっているカイザが声とともに小さくなる。
………
後日談ではあるが…カイザの退院の直後、多くの女性たちがもう一度会いたいと願ったタイミングこそがカイザが事故にあったタイミングだったという…。
………
…………
………
…後ろで爆発音がした。
ウワァアアアアアーー!!ギャーーーーー!!!
…後ろでまた、何かが引き裂かれる音がした。
いやだ!!いやだいやだ~!!!
…再び後ろで…誰かが引きずられるような音がした。
----------それらすべてに共通する事は、3つである…。
死…恐怖…それにつられて自然に悪化する悪。
悪化した者が襲撃者に襲いかかり、返り討ちにされ死ぬ、その様を見た者は、また悪化して襲いかかる…悪循環とは、よく言ったものだと第三者視点で見ている余裕のあるものはそう言って笑うであろう状況が現実目の前で起こっていた。
ここは、ラストフロンティア…数分前まで『悪』にされた物たちの憩いの場であった。
現在…ここは、ただのいつ崩れるかもわからない血まみれの洞窟になった、たった3人の主人公たちの容赦ない自己満足の正義のために…。
必死に戦闘タイプの人々は、戦闘向きでない、重傷を負っている、幼ない、などのハンデを負った者たちの盾になりながら死んでいく。
「ハァ…ハァ…お姉ちゃんもう走れない…」
「それでも走って!」
崩れゆく巨大な洞窟の中を柊と柊に手を引っ張られながら走り続けている子供たち。
彼らは、何も理解出来ずただ怖いと言う感情に支配されて涙を流しおお泣きしながらも走った。
すでに子供たちの半数は落盤に巻き込まれ生死すらわからなくなってしまって、残っている子供たちを連れ柊は必死に逃げる。己が死なないため…そして、何の罪もない子供たちの命や未来をこれ以上…ヒーローたちの作った勝手な自己満足なんかに散らせないため…柊は、子供たちを引き摺ってでも逃げる。
以上です。
平穏な日常を脅かすのは、何も悪とは限らない。な回です。
此処から物語は、進み始めます。
ではまたノシ




