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HEROってなんだっけ?  作者: 落胤
マリシャス復活の章
13/30

最後の楽園なんてみとめない

えぇ…まことに調子がノリノリでして、再び不定期投稿のお時間です。


前回までのあらすじ 熊が居酒屋で酒を飲んだ。 以上


ではどうぞお楽しみください。

………

…………

………


ポチャンポチャン


 大きな湖の下…遥か昔に地殻変動によって地形が変わった時に生まれた巨大な鍾乳洞の中、本来なら地下深いこの場所には、太陽の光も届かぬ環境にあるのにもかかわらずその場所は、灯がともり隅々まで明るく空気も澄んでいる場所。


 かつて悪が世界を滅ぼすための拠点とした場所ですでに悪の組織は、消滅しており現在は、このライフラインから何かなら何まで揃ったこの場所を『悪』にされた人々が主人公たちから逃げのびる安全地帯として使用している。


 追われる者、傷ついた者、苦しむ者、ありとあらゆる悪にされた人々が集まり助けあい支え合って生きている自称『ラストフロンティア』他称「悪の巣窟」である。


 ラストフロンティアの中心にある時計塔からチャイムが鳴るとそれは正午をしらせる合図、ゾロゾロとプレハブや建物から老若男女、人型から化け物または、霊体までさまざまな悪にされた物が出てきて大食堂に集まり始めた。


 そこで一斉に席に付き(席に付けないものは、各々食事の前で好きな体制を取る)、全員がそろって「「「「いただきます!」」」」と言い食事が始まる。


 ガヤガヤワイワイと実に和む食卓(1000人規模)…だけではなく途中、口から火を吹く者。おかずを横取りされたため破壊音波で泣く子供、何故か食後の運動とか言って戦いだす馬鹿二人。などなど、とても和むとはいかないのも事実…悪が集まる食卓というのは賑やかを通り越して混沌である。


「柊ちゃんおかわり」

「お姉ちゃん僕も!」

「あたしも~~」

「私も一杯頂けるでしょうか?」

「グウガウガーウ」


(なんでみんな私に茶碗を出すんだ?)


「「「「「一番早いから(ガウガウ)」」」」」


 先に食べ終わり席を立った柊に多くの人間がお代りを要求する。それに頭を抱えながら柊は、遠くにある鎌からご飯を差し出されたお茶碗に均等に転移し皆のオォという反応を無視して与えられた自室に転移して帰る。


………

「まったく…一回だけおかわりを転移でやってやっただけですぐこれだ。…転移を毎回こんなことで使用してたらいざという時に私が死ぬっての…」


 備え付けのベッドにポトンと倒れこみ愚痴る柊。

 その柊の後ろのベッドで本を呼んでいる身長160ちょいのピンクのタートルネックのセーター、エリやソデ、スソにふんわりした白いファーのついたコートを羽織り、頭にもボンボン付きのピンクのニットを被った中学生くらいの肌が柊と真逆の白すぎる肌を持った少女が立ち上がる。


 そして、ポンポンと頭をナデナデしながら柊をなだめる。


「まぁまぁひいらぎの能力って便利なんだし仕方ないって…普通におかわり並んだら10分かかるもん、誰だって頼みたくなるって」


「今度から金取ってやろうかな…」 

「それいいじゃーん!貯まったらあたしにもなんかよろしく~」


 白すぎる肌の少女…早乙女淡雪(15)と褐色肌の柊は、このラストフロンティアの居住施設でルームメイトである。


 性格はなんと言うか前向きの一言に尽きると言うのが柊の2週間以上付き合っての答えである。


「あのな…まぁいいや、私寝る…おやすみ」

「はいは~いおやすみ~…あ、そういえば、食べてすぐに寝ちゃうと美容に悪いって知ってる~太って豚ちゃんになっちゃうとかだって」


 一瞬ベッドで寝に入った柊が淡雪の一言でムクリと起き上りなぜか、ストレッチを無言で始める。

 その様子を見た淡雪は、半ば呆れた顔をしながら…。


「ひいらぎって…乙女なのかそうでないのかわからないよね…化粧とかには興味ないのに胸の大きさとかダイエットとかには反応するし」


 淡雪が柊の3倍はある胸の前で両腕を組んでそれを協調させながらウラヤマシイダロという顔で柊に微笑みかける。それに対して柊は、固まった表情のまま…。


「もげちまえ」

「コワ!!」


 柊の無言の一言に淡雪は胸を隠しながら少し引いく。

 そして…。


「ふふ、あたしひいらぎと知り合えてよかったよ」

「え?」

「あたしってさ、夜中に一人で歩いてたら急に悪にされて、いろんなヒーローに追われてボロボロになった時に此処に来たんだけど…同い年の子がいなくてさ…不謹慎なのはわかってても…ひいらぎが此処に来て私の友達になってくれてよかった。そう思うよ」


 真っすぐにそう告げられ柊は、恥かしさのあまり視線を逸らす。

「ば、ばか…本当に不謹慎だし…そんなこと真顔で言うな…」


 褐色でもハッキリわかるほど顔を赤く染めた柊は、むくれながら柔軟体操をし、そのまましばらくしゃべらなくなったのであった。


………

 その後、いつもどおり、晩飯の時間…そして、ワイワイガヤガヤ言いながら女子の入浴時間などになり淡雪にいじり倒された柊が湯あたりとそれ以外の理由で顔を紅潮させ「ゼェ…ゼェ…」と息切れをし続けてタオルをおでこに当てている姿が其処にはあった。


「もう~あのくらい軽いスキンシップだって言うのに~ひいらぎは初心ウブちゃんだね」

「だまれ…いつも思うが…風呂のたびに私に絡むのやめろ…」


「ふふふ、あんなにかわいい声で鳴いていたっていう」

「うるしゃい!」


 さすがに少ししつこかったために柊がキレると淡雪は少し申し訳なさそうな表情で柊の頭に乗っている水に濡れたタオルに触れる。


「ごめんごめん」 

「………つめた…」


 タオルに手を置いた瞬間に淡雪の周りの空気が急に冷たくなり、スーとタオルから熱が奪われキンキンにタオルが冷える。


 これが『悪』にされた元人間、早乙女 淡雪…雪女の『悪』の力である。

 彼女が操るは、『冷気』…寒気かんき夜気やき ・ 寒さ ・ 秋冷 ・ 冷え込み ・ 冷たい空気 ・ 凛とした(朝の空気)などから、空気中の水素を凍らせたり相手を氷漬けにしたりなど脾臓に強力なスキル。


 この能力を生かし淡雪のラストフロンティアでの役割は冷気を使っての食材の保存と暑苦しい地下の気温を下げて快適に過ごせるようにするという仕事をしている。


 ちなみに、柊の仕事はもっぱら小さいガキンチョたちのお守である。小柄だが怪力があるのでパワフルですばしっこい『悪』にされてしまったガキンチョ達を纏めるには向いていた。以外にも子供好きな面があったので天職ともいえる。


「明日も早いし私ねるね~おやすみ…」

「いくら早いからってまだ、8時だぞ?」


 速効で布団に入り眠りに付いた淡雪に対して柊は時計を見ながらそう呟く。


 チクタクチクタクと進む時計の針。その針が指し示すのは…新たな絶望までの時間でしかない事を…知っている者はほとんどいはしなかった。


………

…………

………ガタンゴトンガタンゴトン


 ぐらぐらと少し揺れる田舎の誰もいない列車の中には、3人ほどの男達が電車に揺られながらとある目的地にむかっていたのである。


 次は~住良木湖前~お出口は左側になります、次は、溝呂木に到着します。男達はゾロゾロと電車からゆっくりと歩いて出る。

 

 そして、電車がガタンゴトンと出発するのを少し眺めながら歩みを進める。


「おや、あんたたちこんなところに珍しいね…降りる駅を間違えたのかい?」

 古びたボロボロの未だに木製の駅に一人だけいるもうすぐ定年前の駅員は、優しく男達に話しかけると男達の一人は、すこし黙ってから…


「僕らはここに悪を葬りの正義を執行しにきたんです」

「おぉそうかい、……?オタクら何しに……あれ?いない…」


 男の返答に納得しかけたがおかしいなと思いかえした時、すでに駅員の前に男達の姿はなく、辺りを見渡しても何処にも男達の影一つなかったのである。


 絶望の始まりである。


なんか、キャハハウフフな楽しい展開から、シリアスにつなぐのって…簡単だったりします。


キャラ紹介


名前:早乙女 淡雪

性別:女

年齢:15

悪or正:悪

ジャンルor種族:雪女

クラス:エンビィクラス

主人公補正or悪のスキル:【冷気】

補正内容:寒気かんき夜気やき ・ 寒さ ・ 秋冷 ・ 冷え込み ・ 冷たい空気 ・ 凛とした(朝の空気)などから、空気中の水素を凍らせたり相手を氷漬けにしたりなど脾臓に強力なスキル。


容姿:身長160ちょいのピンクのタートルネックのセーターに替え、その上にエリやソデ、スソにファーの付いたふんわりした白いコートを羽織り、頭にもボンボン付きのピンクのニット帽を被った中学生くらいの肌が柊と真逆の白すぎる肌を持った少女

性格:可愛いもの好き

武装:無し


以上です。


誠に不定期で申し訳ありませんが…次回もお楽しみにしていただけると光栄です。


では、またノシ


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