プロローグ
4月15日は最悪の一日だ。
遅刻防止週間だからといって早く起きたはいいが、長年の持病である腹痛を伴う激しい下痢に襲われ遅刻を余儀なくされたし、学校に行ったら行ったで体育の時間に財布を盗まれるし、財布の中に一緒に入れていた鍵が無いおかげで帰ってきても家に入れない。
ここまででも今年最悪の一日ぐらいには余裕で相当する不幸さではあったものの今年の4月15日ってやつはこんなことで許してくれるほど生易しい一日ではなかった。
まさに災厄の一日だ。
家に入れない以上、どこかで時間を潰すしかない。
俺はいつものように今となっては8という文字がかすれて見えないエレベーターのボタンを押してそこからは階段を使って荒川団地の一角に在る築30年の武居マンションの屋上に向かっていた。
・・・そう。
この行いこそが人生最大の間違いだった。
時間を潰したいのならいつものようにコンビニで立ち読みにでも興ずるべきだった。
屋上で寝そべりながら今日一日の自らの不幸を嘆こうなんて二ヒルを気取るような行動をしようとしたのがそもそも間違っていた。
………そうすれば彼女を死なせてしまうことなんて無かったかもしれないのに……。