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不羈奔放なパーティですが、  作者: 西園寺未來
ヴァンパイアの洞窟
4/4

引越し業やってます

暗くジメジメした地下をトロッコ列車に揺られていく。


ちゃんと整備されているみたいで乗り心地は悪くない。



「僕引越し作業とか初めて〜」



「引越しっていってもダンボールを運び出すだけだけどね」



鍵付きの日記帳を見つめるばかりで、こちらには見向きもしない。


仕事ばかりの彼に体を壊さないか心配になる。


…………ここまで仕事が多いって単に出来ないか、相応の役職じゃないか?


気になったことを抱えてもセインにはすぐバレる。


コイツに嘘はつけない。


というかトラウマを掘り返すのは流石に可哀想だ。


フレアに視線を合わせる。



「セインってなんの役職?」



「四天王……企業で言うと副社長あたりだな」



「副社長4人もいんのかよ」



思わずツッコミを入れてしまった。


いやでも、意外と有り得るのか?


青い瞳が僕を捉えてニコリと微笑んだ。



あかの覇者は武力を信じ、あおの皇帝は嘘を嫌い、みどりの王者は防御がお好き、くろの支配者は法律ルールおもんじるってね」



「何だそれ」



「社訓みたいなもんだ。ちなみに、俺達は藍の皇帝を支える騎士だな」



非現実的な事実を目の当たりにして脳がショートする。


絶妙に理解出来そうで出来ないモヤモヤ感に、思わず天井を見上げた。


あまり光らないランプがガタガタと揺れる。



「つまり4つの部署があって、そこの1番偉いやつってことか?」



「そうそう」



ピースを僕の目の前でチョキチョキする。


何となく同じことをしておいた。


セインは気に召さないことがあると、たまに駄々を捏ねてその度にフレアからキツイ視線が飛んでくることは分かりきっている。



「ってかさぁ……副社長がこんなのんびりしてて言い訳?」



「うん。私のクローンがいるから大丈夫だよ」



そう言って手袋を外した。


瞬間、僕は目を見開く。


彼の手は無かった……いや正確に言うと水の泡が浮かんだり沈んだりして弱い光の反射にキラキラと光っている。



「お前っその手」



「2人に会うちょっと前に精霊と契約したんだ。まぁいつか私の手足は使い物になら無くなるって言われてたから悲しくはなかったけど」



クスッと喉の奥で笑う。


フレアは心配そうな表情でセインを見つめている。


それに気づいて彼はまた笑った。



「触ってみる?」



手を伸ばすとヒンヤリとした感覚にぐにゅぐにゅした感触。


近い物で言うならスクイーズなんかだろう。


まぁ自分で決めたことならいいか。


ガタンッと大きな音を立ててトロッコが停車する。



「大丈夫ですかセイン様!?お怪我は」

「フレアの体に収まってるから全然。棗は怪我大丈夫?」



「平気だ」



崩れた前髪を直す。


可能な限り女性らしくしようとしてすっかり癖づいてしまったのだ。


外から声が聞こえる。



「セイン着いたよー!!!」



「ありがとうねロイ。さっここからは私の名前はレイラ・マグレーネでよろしく」



手でOKを作る。


名前を変える理由はただ単に彼が演技にストイックだからだ。


役を演じる時は見た目はもちろん、好みや仕草まで全くの別人になってしまう。


知らない人が見たら同一人物とは思えない。


トロッコから出るとロイが手を差し出す。


彼女はセインと契約している幽霊で、僕らが子供だった頃から知っている。


その時はまだ声が聞こえるだけで見えないし触れなかった。



「足元危ないから気をつけて」



「はいはい」



適当に返事をするとキッとフレアが睨んだ。


それに反抗するようにグッドの手を逆に向けた。



「私の前以外ではやらないでね……もし仲良く出来なかったらフレアは私の写真全部を燃やして棗は減給ね」



「いやー今のは冗談だって!なっ、フレア!!」



「そうですよ〜俺達めちゃくちゃ仲いいですから!」



肩を組み合いハッハッハと笑う。


普段ならば一刻も早く離れたいがそうもいかない……どの程度減給されるか分からないし。


ハリボテの笑みのまま、背を向け「じゃあ行こうか」と明るい口調で言った。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

僕らは今、指定された場所で待機している。


ヴァンパイアの洞窟はジメジメしていて髪がうねったのでポニーテールにしてみる。


セインからは「似合ってる〜」と呑気な言葉が返ってきた。


初めての仕事だと言うのに緊張感が無さすぎる。


辺りは赤い霧が空を覆っており、コウモリがバサバサと音を立てて飛んでいく。



「なんか夢みたい」



「頬でもつねるか?」



「冗談に決まってんだろ保護者面」



瞬間背後に殺気を感じて振り返る。


そこに居たのは白髪の髪に黒いメッシュが5本入ったいかにも高そうな服装をした男とセインが立っていた。



「2人とも、少し場所を変えようか」



ニコニコと笑みを浮かべているがどう考えても笑顔じゃないのは雰囲気で分かる。


何かご機嫌取れそうなやつあるか見てみるか……。


チラリとフレアを見れば同じ考えをしているのだろう、無表情に近いが地味に口を歪めている。


自分より小さな背丈を見つめながら足を進めていく。


足場はあまり良くなく気を抜いたら転びそうだ。


2分ぐらい歩いた先に出てきたのは、緩くカーブした髪に小さな星の飾りをつけた少女だった。


男と同様に高そうなドレスをふわりとなびかせている。



「パパ!と、そちらの方達は……」


一瞬警戒したような瞳でこちらを見る。


やっぱりヴァンパイアの目って赤いんだなぁと吸い込まれそうになりながら、意識を冷静に保つ。



「こんにちは、引越し作業の手伝いに来ました何デも屋のレイラ・マグレーネです。よろしくお願いします」



「あっこちらこそ、今日はよろしくお願いします」



ぺこりと下げた後に見た顔は少しの緊張と年相応のあどけなさが残っていた。


ニコッと笑みを浮かべられ有無を言わさね雰囲気を感じる。


これは自己紹介をしろということだろうか。


果たして本名を話していいのかと脳にグサッと突き刺さる。


そんなことを思っているとフレアが口を開いた。



「俺はアレフ、こっちはメツナです」



甘い王子様ボイスが辺りに木霊する。


勝手に名前が決まってしまったことに助かったのだが、メツナって言いにくくないか?


ちょっと沈黙した後、何か言った方がいいと雰囲気に押されて最大限可愛い声で言ってみた。



「よろしくお願いします〜」



「それじゃあスヴェン、パパはこれから大切な話があるから2人にここを案内してあげなさい」



セインが1歩前に踏み出す。


権力者同士のお話……考えるだけで頭が痛くなりそうだ。


無意識にこめかみを抑えると心配そうにスヴェンが覗き込んでくる。



「大丈夫ですか?」



「あっうん!大丈夫だよ〜」



男にならないように慎重に言葉を発する。


まぁ慣れたっちゃあ慣れたから今更ヘマをする訳がない……と思いたい。



「それじゃあまた後でね、2人とも」



「は〜い」

「はい」


僕らが返事をすると権力者達は奥の暗闇へと消えていった。



「じゃあ行きましょうか」



僕より小さい手でぎゅっと握られる。


ヒンヤリとした体温に少し怖くなったのは隣の彼も同じようだった。

久しぶりすぎて緊張しております。創作活動だけをして生きたい。


良ければ評価やコメント、ブクマをお願いしますm(_ _)


[唐突プロフィール]

名前/セイン=ポドリファ

誕生日/6月1日

好きなこと/楽しいこと探し

嫌いなこと/裏切り

趣味/読書

種族/神様

何を考えているか分からない。つまらなくなったら即終わらせるタイプ。

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