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プロローグ

タッタッタッタッ・・・・

「ハァハァハァ・・・・」

(ヤバイ!電車で寝過ごすとか最悪やん。)

オレは走った。残暑の厳しく日光がサンサン照らす中、人目も気にせず全力で。

長い夏休みも終わり秋学期が始まった。夏休みは最悪だった。オレの中では最も大事でがんばっていたバンドが無くなってしまったのだ。みんな自分達の実力に限界感じての解散だった。ずっと続けたかった。オレは大げさだが生きがいを失った。そのせいか夏休みは、何もやる気が起きず過ごした。しかし腐っていても仕方ないので、今までだらけていた学業に精を出そうと誓った。そう誓った秋学期最初の講義に遅刻しそうだった。

(クソー、もう9月半ばなのになんて暑さだ)

やっとオレは学校前の長い坂までたどり着いていた。

(ふぅー、ここが勝負所だな)

気を引き締め大きく息を吸った。そしてアスファルトを思い切り蹴り、駆け上った。しかし徐々にペースが落ちる。ろくに運動していないオレにはこの坂を一気に駆け上るのは相当きつい。しかしオレは止まらなかった。今まで腐っていた自分を少しでも変えたかったからだ。そうすれば退屈だった日々を変える何かが起きるのではないかと思っていた。

だが息が苦しい。足が重い。汗が滴り落ちてきた。しかしあと少しだった。オレは一気に学校の正門を駆け抜けた。

(よっしゃー、オレはやりきった!ってか今何時だ)

達成感に浸っていたかったが、そんな暇はなかった。時計の針は講義開始時間を指していた。

(ヤバイ!)

最後の力を振り絞って教室に駆け出した。教室に着き勢いよくドアを開けた。

(あれ?)

違和感に戸惑った。教室の中が冷たいのだ。エアコンで温度が下がって寒いのとは違う。空気が重たく、張り詰めていのだ。悲しさ、不安、絶望にも似た空気。その中に一人の女の子が座っていた。髪が黒く長くきれいなストレートだった。しかしその黒さはすべてを飲み込む闇に見えた。すると、彼女が振り返ったので目が合ってしまった。

(あっ・・・・)

綺麗な顔立ちにドキっとした。しかし次の瞬間寒気を感じた。冷たく深く、オレを拒絶するような眼差し。これがオレと彼女の出会いだった。新たな人生の歯車がゆっくりと回り始めた。


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