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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

8月6日

作者: KOMA

原爆のことを知って欲しくて書きました。体験者さんのお話しやノンフィクションの絵本や写真を見て自分なりにあの時のことを再現してみました。至らぬ点がありましたら申し訳ありません。

8月6日

あの日、空は真っ青で、気持ちのいい朝だった。

いつものように小鳥のさえずりを聴きながら

いつものように街を見下ろし、

いつものように人々が行き交う様子を見ていた。

人々はいつものように朝食を食べ、

仕事に向かう人、

学校に行く人、

近所で挨拶を交わす人、

いつもの日常が始まっていた。

人々は日々の生活を、1日1日を大切に過ごしていた。

「ああ。今日もこの街はいつも通りに1日が始まっている。今日も何事もなく過ぎていけばいいなぁ。」

そう思ったときだった。

急に目の前に閃光が走り、ドドドドド…と地響きがした。

それと同時にすごい風が巻き起こった。

「何があったんだ…」

しばらく目をつぶっていたが、なんだか違和感を感じ、恐る恐る目を開けた。

「え……」

目を開けた瞬間、さっきまで…本の数分前まで見ていた景色が…なくなっていた。

いつも見ていた街がなくなっていた。あたりは火が燃え、煙と砂埃が充満していた。

青く綺麗だった空は、灰色の雲に覆われていた。

いや、今見てる景色には色がなかった。

その時、何やらこっちへ向かってきているのが見えた。

よく見ると()()は人の形をしていた。

()()は最初は1人2人だったのが次第にまた1人、また1人と数をふやしていった。

そしてそばに来た時、()()の正体がわかった。

人間だった。

目を凝らさないとわからないくらいの姿形をしていた。

皮膚は焼け爛れて下へ垂れていた。

溶けているといった表現のほうがわかりやすいだろう。

体は赤黒く、髪はボウボウ、ガラスの破片がささっていたり、腕や足がない人、血だらけの人…

服もボロボロで裸の人たちもいた。 

色々な姿の人たちがいた。

「どうしてこんな姿に…?!」

街の方を見た。

よく見ると目の前にいる人たちのような姿をした人たちが歩いている。

その周りには倒れている人たちもいる。もう、生きてはいないのだろう。数分前までキラキラ輝いていた川は、赤黒くなった人々が山のように積み上がっていて、水の色が赤く染まっていた。

人々の泣き喚く声も聞こえた。

「一体なぜ…なぜこんなことが起こったんだろう……」

そのとき、ある1人の女性がそばにきた。そして寄りかかった。その女性は背中に子供を背負っていた。だが…その子はもうすでに息がなかった…

その女の人は息も絶え絶えに言った。

「…ああ……ここは涼しい…水がほしい…水をください」

その女性は体を寄せたまま目をつむり言った。

「水……ごめんなさい…持ってないです……」

女性はうなだれおちた。

「小さいころ……よくここにきたな……懐かしい……またあの時に……戻れればいいのに……」

彼女はそう呟くと、動かなくなった。

「そんな…っ」

目の前が真っ暗になった。

悲しみが湧き起こり涙が出てきた。

「どうしてこんなことが起こったんだろう。いつものように1日の始まりを迎えていつものように次の日を迎えるはずだったのに。どうして…どうして……」

その日の一日は長かった。それからもどんどん人がやってきては亡くなっていった。動物も赤子も子供も女性も男性もお年寄りも……すべての生き物が消えていった。緑で覆われた草や木も焼け落ち無惨な姿になっていた。

その3日後、長崎にも同じようなことが起こった。

それから数日経って、どうしてこのようなことが起こったのかがわかった。

それはある大国が開発した新型爆弾が原因だった。

この新型爆弾がどのような影響を知りたいがために、新型爆弾を落としたらしい。

名目上は早く戦争を終わらせるためだというが…

なんて理不尽なことなんだろう。

どうして実験台にされなくてはいけなかったんだろう。

そもそもどうしてそこまでして新型爆弾を造らなければならなかったのだろう。

すべての…地球上のすべての生命を奪い、自然を壊し、2度と再生できないようにする道具。

そしてその道具は破壊力もあり、一度に大勢の生命を奪うことができるが、生き残ったとしてもその爆弾が落とされた時に放出されるある物件が原因で生命が奪われる。

爆発に巻き込まれなくて良かったと思ってもその物質が体を蝕み、生命を奪っていく。その物質の名は放射線という。放射線を浴びると必ず死ぬ。生き延びたとしても後遺症が残り、子孫にまで影響がでることもある。

はほんとうに愚かでしかない。

そこまでして殺し合うことがそんなに楽しいのだろうか?

大量に殺して何をしたかったのだろうか?

わからない。

本当にわからない。



それから80年の年月が経った。

今ではこの街もあの時のような面影はない。観光客で賑わっている。

だが、あの時のことを忘れないために毎年8月6日に追悼が行われている。

ある日、近くの小学校に通う子供たちが数人やってきた。

その中に1人のご老人がいた。

「おばあちゃん!どうしてこの子だけ生き残ってるの?」

1人の子供がそのご老人に尋ねた。 

するとご老人はこうこたえた。

「この子が生き残ったのは、あの時の惨状を忘れないようにするためなんだと思う。これから先もあのような悲惨な日が来ないように、あなたたちの未来が平和な世界であるようにと願ってここに残っているのかもしれないね。」


新型の爆弾…核兵器はあの惨状があったのにも関わらず、色々な国で保有している。ボタン一つ押せばすぐにでも使用できる状態にある。

核兵器は廃止!

核兵器を作るな!

核兵器を持つな!

この言葉は綺麗事にすぎない。

机上の空論である。

指導者によりその考えも変わってしまう。そして悲劇がまた繰り返される。歴史は繰り返されるもの。

だが、一歩ずつ一歩ずつ、あきらめずに進み続け、最後には必ず核廃絶を実現していがなければならない。


毎年8月6日がやってくると、あの日あの時のことを今でもハッキリと思いだせる。

あの日から80年経った今日の8月6日も空は真っ青で真夏の太陽が街を照らしていた。

本当は昨日の8月6日に投稿しようと思ったのですが、忙しくて間に合わず…

だけれども、

今から80年前に広島長崎で何が起こったか、どんな状態であったか、今一度考えていく必要があると思い書きました。戦争を体験している方々の想いを繋いで、植物や動物や子供たちが安心して生きていけるような未来が訪れてくれるといいなと思います。


この場をお借りして、原爆の犠牲になられた多くの尊い生命のために追悼の誠を捧げます。

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