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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

水平思考クイズ

作者: HORA

「太陽と月がお金によって止まってしまうってな~んだ?」

「え…?」

俺は気が付くと見知らぬ場所にいた。


確か昨夜キャバクラでしこたま飲んでいて、その後にタクシーに乗って帰っ…え?記憶が無い。自宅に着いた記憶が無い。憶えていないだけなのか、それとも…?

「ねぇ。クイズ出してるよ。答えてよ。」

「はぁ?何言ってんだこのガキ…、、え?」

俺の体は拘束されていた。両手は後ろ手に縛られ、足首もロープでぐるぐる巻きにされている。しかも高い。高さ2m程の台に寝ころばされている。天井高が10m程あるのでどこかの工場だか、倉庫だかのだだっぴろい空間にいる。顔を声の方に向けると脚立に座った13,14歳?中学生ぐらいの少女が話しかけてきていた。

「おい!これはどういう事だ?このロープを解け!あぶねーじゃねーか。落ちたら怪我じゃすまねーぞ。」

「怪我で済んだらラッキーじゃん。これからデスゲームするんだから、私の機嫌を損ねずにちゃんと言う事聞いた方が良いよ。」

「は…??」

「私の自作のクイズに答えてもらいま~す。もし答えられなかったら『死』ね。」

「くっ、てめぇ。どこのモンじゃ?誰に依頼された?過去の被害者の関係者か!?」


俺はここ10年程を老人に対しての詐欺や恐喝、強盗などの犯罪に費やしてきた。すぐにその被害者からの復讐のために襲われていると結びつけた。


「ん?別に関係者じゃないよ。お兄さんの事はたまたま見つけて(さら)っただけ。解放してもお兄さんだったら通報しなさそうだしね。まぁ確かにお兄さんが詐欺をしているところを偶然見かけたから興味が湧いたってのもあるよ。誰かを騙そうとして視野が狭くなってるところを襲うのは狩りの基本じゃん。」

「く…。」

「じゃもっかいクイズ出すよ。これは練習問題ね。太陽と月がお金によって止まってしまうってな~んだ?」

「馬鹿馬鹿しい!何でこんなのに答えなきゃいけねーんだ?」

「お兄さん。ここまで大がかりな装置を準備して話している事の意味がまだ分かってないよーだね。お兄さんたちは犯罪と分かりつつ、拠点となる場所を契約して借りて、顧客名簿を買って、人を色々雇ってからの段階でその辺の大学生に『犯罪だから辞めなよ』って言われて辞めるの?答えなきゃ本当に殺しちゃうよ。」

「…うっ、、分かった分かった。考える。お前を舐めることもしねぇー。すまなかった。」

「うん。頑張ってね。」

「太陽と月がお金によって止まる…だったか。なーんだって言われてもな…。地球…は止まらないしな。」

「うふふ。やっと考え始めてくれたね。その調子その調子!」

「…ちょっと待て、これ解答権は何回あるんだ。1回間違えたら死ぬとかじゃないよな?」

「もう!せっかく考えが進んだと思ったのに。…まぁしょうがないか。まぁ最初は練習問題だから何回間違えても良いよ。まぁ本番の方も何回間違えても良いけどね。解答権は無限にあるのです!どちらかと言えば制限時間かな。1問あたり凄い時間がかかったら死んじゃうんじゃない?」

「くっ、、餓死か…。だがクイズは俺は得意な方だ。だてに頭を使って金を稼いでる訳じゃねーよ。キャバクラでもよくクイズをやってたしな。」

「うふふふ。餓死…ねぇ。まぁ自信があるなら良いよ。クイズは5問くらいしかないし。案外1時間もかからずに脱出できるんじゃないかな?」

「よし。じゃクイズ全部解いたら条件とかつけずに解放してくれるんだな?死体で…なんて変な事言うんじゃねーぞ。」

「大丈夫大丈夫。私もスポンサーにはそこをしっかり釘を刺されているから。」

「へっ。やっぱり別の組織が関わってやがったか、、、」

「まぁ、お兄さんが思ってるような組織ではないだろうからそこは大丈夫だよ。個人的に恨みがあっての事じゃないから。」

「OK!じゃ練習させてもらうぜ。」

「うんうん。楽しくなってきた!」

「太陽と月なんて、どんだけ金があってもどうしようも無いよな。望遠鏡で覗いて止まって見えるとか、録画した映像で静止させたとかではないのか?」

「方向性が全然違うから答え出ないと思うよ。」

「お…。案外ヒントくれるんだな。水平思考クイズってやつか?」

「そう!それ!私それをやってみたいって事でこの場を用意したんだよ。」

「そうか、、、じゃやっかいだな。答えが無数に存在する中で、出題者側が用意した答えに辿り着かないといけないんだからな。」

「そうなの?」

「いやいや、、水平思考クイズだろ?お前は少なくともルール分かってないとダメじゃないか!」

「へー。何か言葉の響きで水平で考えるクイズかと思ってたよ。」

「……、、水平ってこの縛られて寝かされている状態か?」

「んー……、まぁそうだね?」

「水平思考クイズって言ったら『ある1組の男女が同時に体の同じ部位を切断された』っていうこの状況が分かるまでをYES/NOの質問のみで辿り着くみたいなクイズ形式だろう?」

「へー。そうなんだー。はい!分かった!首ちょんぱだ!首!首!」

「いやいや、違うよ。首じゃないし、質問をするんだよ。」

「分かった!アキレス腱!逃げられないように。そっか、繁殖のために生殖可能な男女を監禁して同じ部屋に入れておくんだね。」

「……質問しないのか?違うよ。お前こそそのペースじゃ答え出ないだろう。ある意味水平思考クイズとして間違ってはないけどな。」

「答え出ないのかなぁ?私は一発逆転ホームランタイプだから、突然答えが降ってくると思ってるけど?

んー、じゃ性器だ!性交中だったら同時に切断できるよね。」

「いやいや、、お前そのものが怖すぎる。俺は生きて出られるのか?こんなやつに捕まって…」

「で、性器は合ってる?」

「いや、、違う。」

「もういいや、答える側は飽きちゃった。正解は?」

「………っ、、……へ、…へその緒だよ。母と男児を繋ぐへその緒をお医者さんがはさみで切った様子だ。」

「へー。まぁまぁ面白いね。でもへその緒を切るとこなんて見た事ないや。」

「俺も見た事は無いけど…」

「はい!じゃ次はこっちのクイズに答える番だね?分かった?」

「も、もう辞めてくれ!!帰してくれ。用意したものが水平思考クイズじゃないと分かったなら、俺を解放して、問題を(そろ)えてから別のやつを(さら)ってくれ!」

「ダメダメ。次の人までに問題揃えることは確かにするよ。するけど、あなたにはあなたの義務と私の権利があるから。」

「な、何だよ。義務って。」

「ふふ。クイズに答える義務と、どんな死に様を見せてくれるかなって間近で私が見られる権利。」

「く、、、変態が…」

「さぁどうぞ。まだ練習問題も終わってないよ~」

「…こ、これは答えを聞いても良いのか?お前が作ったんだろ?傾向を掴むために最初は答えを聞いておきたい。ここで消耗したくないからな。本番で頑張るから答えを教えてくれ。」

「え~~~?しょうもない。消耗したくない?うわ!変なダジャレみたいになった!…ふん。まぁいいや。答えはねぇ。明鏡止水だよ。明るいという漢字は太陽と月。鏡という漢字は金と(きょう)(きょう)という漢字には終わるとかいう意味があるからね。心をクリアーにして本番に臨んでねって意味の練習問題だったのさ。」

「水の説明が無いってことはまさか…、ここで()平思考クイズだと明かすつもりだったのか?」

「ぴんぽんぴんぽ~ん!大正解。お兄さんやっぱり頭イイネ。」

「いや!水平思考クイズ知らないやつが出しても伏線になってないだろ!しかも鏡の右側の“つくり”か?(きょう)の意味なんて知らないからな!難しすぎるだろう!?」

「うふふふ。そこはもう勉強してなかった自分を恨んでね。キャバクラではそんな(はなし)しないのかな?私まだ子供だから知らないけど。」

「…く、、、」

「じゃここから本番行くよ。時間も質問も無制限だけど、当然正解するまで、拘束を解かないから、水もトイレも食事もなしだからね。えい!スイッチおーーん!」

「え…、、、スイッチ?」

女の子がポケットからスマホを取り出してタップする。すると俺が寝ている板がゆっくりと角度を下げていく。俺もそれにつられて頭が下がり、とうとう逆さ吊りの状態に。脚に捲かれたロープで宙に浮いているような状態だ。

「くっ、、頭に血が昇る。この状態で答えろって事か?」

「ううん。まだあるよ。」

女の子がそう言った直後に足に繋がれたロープが固定してある真ん中の支柱が回り始め、俺もそれにつられて回り出す。遠心力で体が浮きジャイアントスイングをされているような状況に。その速度は上がり、最終的に体が水平となるほどの高速で体がぶんぶんと振り回されている。これは逆さ吊りの時より頭に血が集まる。健康や体調を考慮して作ったマシンでは絶対にない。

「では本番第一問!月は出ているのに軍隊は南を向いていて見えない。どのような状況?」

「ちょ、、ちょっと……ま……」

「あれ?ねぇ、、さっきまでの威勢はどうしたの?ドンドン質問をしてくれても良いよ。」

「お、、おえ”え”ぇっ!」

「もう!汚いな!ゲロを撒き散らかさないでよ。世界一汚いスプリンクラーだよ!」

「つ、、月…、、ぐ、、軍、、、、」


1分程すると男の顔は真っ赤とも紫とも言える色に。頭部がみるからに大きくなり腫れているように見える。両目、両鼻、両耳、口の七穴から血と体液が混じったものが漏れ始めた。


「分かった分かった。簡単な問題に切り替えるよ!太陽と月が12あるものな~んだ?」

「……げ…っ…ぁ…」


「どれから解いても良いよ。下が七+シのものな~んだ?」

「………」





「あ~あ、やっぱり回転が速すぎたかな?でも水平にするためにはこの速度がいるって顧問に言われたしなぁ。まぁ次の標的からで色々試せればいいかな。次はこいつに騙されて1200万円盗られたっていう老人がターゲットだよね?回転速度下げないともっと早く死んじゃうよね~。ただでさえ老人なんて頭の回転が遅いのに。」


彼女の属する集団は優生保護法の過激派。人を騙して利益を得たり、それに騙される人は全て国力を下げると考えている。思考力を鍛えるための水平思考クイズは新時代の訓練となるであろう。日本の未来の可能性は無限にあれど、彼女達の属する集団の思い描く日本の形はどのようなものなのだろうか?そこに至るための手法や犠牲を考える水平へと思考の旅に出てみようか。


水平思考クイズ自体は誘拐された男性が出した1問だけでした。

1問目…月は北に出ている。軍隊。から背水の陣。

2問目…12が答えとなる九九は三四となります。山紫水明。

3問目…唐突な普通のクイズ。数、電卓と五十音の下を考える。答え ウエハース

七→ハ +→- シ→ス 死す

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