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月夜

作者: 桃缶

いつの間に上がったのだろう。夕方から降り続いていたのは簡単には止んでくれない土砂降りの雨。

揺れるカーテンの隙間から青白く淡い月の光が見え隠れして、意味もなく泣きたくなった。


隣で眠る彼は、相変わらず規則的な寝息を立てている。


起こさないようにゆっくりと上半身を起こして、無造作に脱ぎ捨てられていた彼のシャツを羽織る。

冷たい袖に腕を通しながら思った。華奢な身体つきをしていても、やっぱり彼は男なのだと。彼のシャツは、私にとってはワンピースになり得るくらいにぶかぶかだった。


しばらくその寝顔を見つめて、口の端に笑みが浮かぶ。

……可愛い。

下手をしたら女の私よりも綺麗な寝顔かもしれない。

なーんか逆だよなぁと一人ごちて、彼の髪に手を伸ばす。

適度に伸ばした、日本人にしてはほんの少し色素の薄いハニーブラウンの髪。触り心地のいいそれは、掬えど掬えど、指の間から滑り落ちる。軽くウェーブがかかった私の絡まりやすい髪とは大違いだ。

悔しいけれど、彼はきっと、女のあたしよりも女らしい。


「アヤ?」

あら、起こしちゃったみたい。

「……どうした?」

「ううん」

軽く微笑んで、再び彼の隣に潜った。

「ねぇ、ユウ」

「何?」

「……キスして」


ふと、薄暗い闇の中で彼が微笑んだ気配がした。



連載ではありませんが、気が向いたらこの二人の話はまた書きたいですww

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― 新着の感想 ―
[一言] 初めまして。 こんな雰囲気大好きです。 何だか、心が温かくなりました。 文章も透明感があって、読みやすかったです。
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