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『白いウソ』  作者: 言ノ華 ~刀を持たない言ノ葉の侍~
1/1

24時間×60日 ~悪いオトナに嵌められブチ込まれた精神科/そこで見た現実と戦慄の恐怖(仮

老害の狂犬がワザワザ怒りを震わせて戻って来た。

噛み付きに。

食事フロアの出入口で鉢合わせをした。


「キャア!」

少し前を歩いていたサキが悲鳴を上げた。

だぁ君もたじろぐ。高校出たばかりの男の子。

彼らを自分の背中に回し、前に出て矢面に立った。


「お前な!さっきはよくも!」

老害の狂犬は更に荒々しく狂い、語気を強めドスを利かした。

「オレはヤクザだぞ。どこどこ組の組長が知り合いにいてオレはそこの者だからな!」

「ヤクザ?だからどうした?ヤクザの名前語ってしかお前は来れないのか?」

「なら、殴れば?オイ、殴ってみろ。ここだぞ、ここ。ほら、殴ってみろ?殴ってみろ?」

右の頬と左の頬。一歩前に出ながら、それぞれ自分で自分の頬を叩いた。叩きながらまた言った。

「ほら、やってみろ!ここだぞ。」


「チクショウ!この病院の何何先生に電話で言ってやる!」

「電話すれば?この病院の理事長がオレの主治医だよ。次の診察で俺から伝えておくよ。今お前に脅迫されたと」


「何処何処の〇〇と××と△△に言ってやる!」

退散をしながら捨てゼリフ。

子どものケンカの仕返しである。

怒りに任せて荒れ狂う輩が声にドスまで利かしてきた。

実際に彼の言ってる事、やってる事は「脅迫」そのもの。


「高齢者だから。」

「精神科に通っているから」

「〇〇だから」

そんな言い訳は通じない。

人に迷惑を掛けて損害する者は、社会の害悪である。

難儀で厄介で面倒。

まして、立派に脅迫まで。


どうやら、ボクは数日前迄居た17の凶暴なオトコの代わりに今度は、年寄りの面倒なヤカラを「交換」の形で、自分のいるこの2階のフロアに下ろしてしまったようだ。

看護師も取り扱いにだじろぐ取説注意なモンスター級なヤツを。


だぁ君は、ボクの隣の隣の部屋まで送り、サキは女子棟入り口迄その足で送り届け部屋に戻った。


色んな意味で寝られなかった。

昨日から、どんなに遅くても寝られない日々が暫く続く事になっていた。

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