24時間×60日 ~悪いオトナに嵌められブチ込まれた精神科/そこで見た現実と戦慄の恐怖(仮
老害の狂犬がワザワザ怒りを震わせて戻って来た。
噛み付きに。
食事フロアの出入口で鉢合わせをした。
「キャア!」
少し前を歩いていたサキが悲鳴を上げた。
だぁ君もたじろぐ。高校出たばかりの男の子。
彼らを自分の背中に回し、前に出て矢面に立った。
「お前な!さっきはよくも!」
老害の狂犬は更に荒々しく狂い、語気を強めドスを利かした。
「オレはヤクザだぞ。どこどこ組の組長が知り合いにいてオレはそこの者だからな!」
「ヤクザ?だからどうした?ヤクザの名前語ってしかお前は来れないのか?」
「なら、殴れば?オイ、殴ってみろ。ここだぞ、ここ。ほら、殴ってみろ?殴ってみろ?」
右の頬と左の頬。一歩前に出ながら、それぞれ自分で自分の頬を叩いた。叩きながらまた言った。
「ほら、やってみろ!ここだぞ。」
「チクショウ!この病院の何何先生に電話で言ってやる!」
「電話すれば?この病院の理事長がオレの主治医だよ。次の診察で俺から伝えておくよ。今お前に脅迫されたと」
「何処何処の〇〇と××と△△に言ってやる!」
退散をしながら捨てゼリフ。
子どものケンカの仕返しである。
怒りに任せて荒れ狂う輩が声にドスまで利かしてきた。
実際に彼の言ってる事、やってる事は「脅迫」そのもの。
「高齢者だから。」
「精神科に通っているから」
「〇〇だから」
そんな言い訳は通じない。
人に迷惑を掛けて損害する者は、社会の害悪である。
難儀で厄介で面倒。
まして、立派に脅迫まで。
どうやら、ボクは数日前迄居た17の凶暴なオトコの代わりに今度は、年寄りの面倒なヤカラを「交換」の形で、自分のいるこの2階のフロアに下ろしてしまったようだ。
看護師も取り扱いにだじろぐ取説注意なモンスター級なヤツを。
だぁ君は、ボクの隣の隣の部屋まで送り、サキは女子棟入り口迄その足で送り届け部屋に戻った。
色んな意味で寝られなかった。
昨日から、どんなに遅くても寝られない日々が暫く続く事になっていた。