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異端の獣〜守りたいものがあった〜  作者: 金狐銀狼
王国からの訪問者
7/20

第5話 赤い珠

短めです

「……はああああ〜、一気に悩みが増えたな……」


 茂みに消える狼を見送ったあと、思わず額を押さえた。ただでさえ獣人絡みの問題は多い。そこに国が関わる問題が増えてしまい、今よりももっと慎重に動かなければならなくなった。


 社会を形成して生きていれば、大なり小なり関係性があって、それに悩まされる。

 それは人間だけでなく獣人にも言えること。だが、人間の社会において獣人の立場は階級(カースト)の最下位だ。

 私も一応国のトップとはいえ、治めているのは新興国の、獣人が大多数を占める国。対する〈オリバリス王国〉は長くから続く歴史ある国家。

 武力だけで言えばこちらが上だが、他国への影響力ならば相手のほうが強いだろう。


 まあ、あの国とはいずれ向き合う事になっていたし、それが早まっただけか。


「はあ。王国のことは後で考えるか。今は吸血鬼(ヴァンパイア)たちのことだ……」


 呆然としている吸血鬼(ヴァンパイア)の少年の方を向いて、話を再開した。


「少年。まずは疲れを落として休め。焦っても良い結果は生まれない」

「でもっ」


 なお反論しようとする少年をなだめる。


「私を少しでも信じるのなら、言う通りにしてくれ。私たちは約束は(たが)えない。必ず救うと誓った。だから、休め」

「はい…………」

「よし」


 下を向いて静かになった少年の頭を撫でた。

 ……汚れていても分かる綺麗な白髪。まだ華奢な身体つき。

 こんな子が人間の奴隷狩りの被害に遭った。


 ぎり、と歯を噛み締める。……許すものか。


 改めて決意し、側のふたりへ指示をした。


「ソウガは救出に参加する子に声を掛けておけ。今回は人数が多い。そこを考慮するように」

「了解」


「ハイゾラはこの子の案内を頼む。先にお風呂へ。部屋は館の1部屋を貸し出す」


「はーい」


 返事をし、ソウガは町へと戻り、ハイゾラはその場に留まった。


「少年。これを飲み込め」

「え、なんですか? これ」


 私が差し出した()()を不思議そうに見つめる少年。


 ()()は赤い(たま)だった。直径1.5cm程の珠を少年の手に握らせた。

 そして、理由(わけ)を話した。


「町に入るには、これを食べなければならないんだ。変な奴が入って来ないよう結界を張っているから」

「はあ……じゃあ、飲み込めばいいんですか?」

「そうだ」


 質問に答えると、彼は「わかりました」と言い、珠を飲み込んだ。それを確認し、私たちは町へと戻るべく、歩き始めた。

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