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異端の獣〜守りたいものがあった〜  作者: 金狐銀狼
王国からの訪問者
14/20

第12話 着せ替え狼

短めです

「スカイ様、如何でしょうかぁ?」

「予想以上だ!! 流石、糸使いのプロ、素晴らしい出来だな」



 トルソーに着せた服を前に、ラリアと私は盛り上がっていた。

 軍服に似たそれは私の要望通りの仕上がり。


「布面積が多くとも圧迫感を感じず、動きやすい。なおかつ防御力も高い。久々の作りごたえのある服に、ワクワクしましたわぁ。デザイン画から、大変楽しく作らさせてもらいました」


 ウットリした顔で服を撫でる彼女の顔はやりきったという達成感に満ちていた。

 トルソーは三つ並んでおり、どれも黒を基調とし、所々に白や紺が入っている。ズボンタイプがふたつ、スカートタイプがひとつ。


 ……………後ろからブンブン音が聞こえる。


「すげぇ! 軍服じゃん! かっけぇ!!」

「うわぁ、凄い! 私の好みの型じゃない! 流石、ラリア様ですね!!」


 狼の双子が尻尾を千切れんばかりに振っている。その後ろで兎の双子が「セットのし甲斐がある………っ」と拳を握っていた。

 なんだろう。何故か兎と雌狼、蜘蛛の方から嫌な予感が漂ってくる。


 そろーっとその場から離脱を試みる。が、しかし。


「主様ぁ〜?」

「こんな機会滅多に無いんだから」

「何処にいかれるのです?」

「試着しましょうか?」


 失敗した。四人に囲まれる。ヤバい。助けを求めようとソウガを見る。


「こいつ、着て良いのか? カッコいいな〜」


 駄目だ。助けは絶望的。ジリジリと距離を狭めてくる。逃げ場は上のみ。


「っ!」

「「「逃がしませんよ」」」


 声無き悲鳴が響いた。





「ぁ゙ー、ヒドい目にあった」


 机に突っ伏し唸り声を上げていると、にっこにこの笑顔が四つ、こっちを見た。


「楽しかったですわぁ」

「やり甲斐がありました」

「こんな機会、滅多に無いもの」

「またやりたいですね」

「もう御免だ!!!」


 思わず叫ぶ。

 私としては、服で必要以上に着飾る事は必要無いと思っている。けれど彼女らはそうは思わないようで、たまに服を仕立てると四人の着せ替え人形にされてしまう。


 流石に四人いっきに来られては振り切るのが面倒くさい。出来なくはないが。「あ。逃げれんわ、これ」と悟った瞬間、逃げるのが面倒だな、もう好きにしろという気持ちになり、そのまま捕まるのがお決まりのパターンと化していた。


「まあ、これで〈オリバリス王国〉に行く準備は整ったな」


 服の話から無理矢理に話題を変える。もうこれ以上はその話はしたくない………


「|塵〈ゴミ〉がわらわら居る国になんか行きたく無いんだけどね」

「しゃーねぇよ。これも未来のためだし。やるしかねぇだろ」

「僕たちも潜入予定ですしね」

「人間の貴族の(やしき)のメイドをするのは大変そうですね」

「出来る事ならば私も行きたかったですわぁ」


 ………………振る話題を間違えた。

 殺意と嫌悪感丸出しでお喋りに興じる彼らからそっと目を逸らした。ああ、空が青いなぁ。


 ちなみに、このとき館の前を通った警備担当の狼(憐れな被害者)らは一目散に駆け出して、暫く寝床から出てこなかったらしい。ドンマイ。

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