第8話 視線
「ソウガ、ハイゾラ」
「あ、スカイ! ……大丈夫……?」
皆に追いつき、声を掛けると、ハイゾラに心配そうな顔をされた。……そんなに酷い表情をしていただろうか?
「平気だ。そっちの状況は?」
「全員いるけど……酷い状態よ。劣悪な環境のせいで衰弱しきってしまっているわ」
「それに、例の薬のニオイがする。そのせいで、意識が半分以上ない奴もいるぜ」
ふたりはふっと表情を曇らせ、下を向いた。
奥に目をやれば、狼たちが檻を壊し、吸血鬼たちを出し終えたところだった。
「スカイ様、ハイゾラ様、ソウガ様、全員の救出が完了しました! いつでも脱出可能です!」
代表して報告してくれた狼の背をねぎらいの意味を込めて撫でた。
そのまま、次の指示を出した。
ソウガやハイゾラ、吸血鬼の少年が何と説明したかはわからないが、皆素直に従ってくれた。
有り難い。暴れられると、脱出が遅れる可能性があるからな。
比較的元気な者と、弱っている者。ふたり一組で一匹の狼たちの背に乗ってもらい、万が一のことがないよう、しっかり固定する。そして
「総員、衝撃に注意しろ」
バゴンッと蹴りで壁を砕いた。その先にあったのは、薄暗い通路。
「え、こんなとこに通路あったの?」
「風が微かに吹いていた。恐らく、非常時用の脱出口だろう」
先導して通路を駆けながら、ソウガ、ハイゾラと話す。
程なくして出口に辿り着いた。
「ここ、裏路地か?」
「そうみたいね。行きと同じように、屋根の上を伝って帰りましょう」
軽やかに屋根上へと登ったふたりに続き、狼たちも振動を出さないよう静かに登った。
最後に私も登るが……
「?」
何やら視線を感じた。視線を向けている奴を探して見回すと、案外簡単に見つかった。
ここから少し離れた、人通りの多い道の端。そこに居たのは、フードで顔を隠した人物。
顔ははっきりとはわからないが、緑の目が暗い中、煌めいていた。
「スカイ?」
「……ああ、今行く」
もう一度先程の場所へ目をやるも、その人物はもう居なかった。
「どうかした?」
「……いや、ちょっと気になることがあってな」
首を振って疑念を振り払う。今は目の前のことに集中しなければ。
先頭に出て、王都の外を目指し、屋根の上を滑るように駆ける。王都を囲っている壁は空中に足場を作り、跳び越えた。
そのまま、私たちは夜の闇へ紛れた。
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