#15 2人の戦闘スタイル
「それじゃ、武器を出すわね」
「いざ!」
そう言うと2人の持つオーブが光り、徐々に武器の形を取り始めた。おお、変形していく様子は中々見てて面白い。
そしてついに変形が止まり、2人は纏っている光を振り払うように武器を振った。
「やっぱりこれを持ってないと落ち着かないね!」
「無事に戻って良かったわ」
インは斧…なんだけど刃の反対側に大きなハンマーの頭がついてるね。あ、そういえばスキルに斧槌術ってあったね。あれが斧槌なのかな?斧とハンマーの間に牛のレリーフがついててカッコいい!
スズは杖だね。全体的に黒色で杖の先端に馬車とそれを引く馬の彫刻がついてる。こちらはかっこいいというよりお洒落だね!
「じゃあ2人の武器も準備出来たし、戦闘を見せて貰おうかな」
「はーい、インから行くよ!」
「じゃあ私は次ね」
インから行くみたいだ。お、ちょうど近くの草むらから一角ラビットが出てきたね。
「よっ…と!」
斧槌を肩に担いだまま近づき、両手持ちにして上段から振り下ろした。え!?真正面から行くの!?ドゴーンと音が鳴ると同時に土煙が舞う。すると…アナウンスと共に煙の中から
インがで出来た。
【一角ラビットの皮を入手しました】
「一丁上がり!」
「すごいね」
インが笑顔で帰ってくる。ニコニコだ。
「次は私ね。…うーん、ここからで良いわね」
「ここから…?」
「頑張ってねー!」
この付近には一角ラビットは居ないと思うけど…。近くても30メートルくらい離れt…え?もしかして、アレ狙うの!?
「…サンダーボール」
スズは呪文を詠唱しながら杖を構えて狙いをつける。詠唱が終わって完成した魔法は寸分違わず離れた一角ラビットを直撃した。当たっちゃったね…
「わお……」
「これぐらいの距離は、私も相手も動いてないなら外さないわよ」
「スズちゃん流石ー!」
ドロップのアナウンスが倒した事を教えてくれる。
2人共すごいなぁ、両方とも一撃だし…
「2人の戦闘スタイルも確認出来たし、一旦街に帰ろうか」
そう言って仮面をつけてから歩き出そうとした瞬間、両肩を
掴まれた。え?何!?
「あらー?まだ1人だけ戦闘してない人がいるわね?」
「自分だけ見せないのはフェアじゃないよねー」
「えと、僕もやるの?」
「「うん」」
2人共ニコニコしながら頷いている。さっきの戦闘の音で
結構集まってきてるし、やっちゃいますか。
短剣生成してジャグリングをする。
「いくね」
ジャグリングをしながら射程まで近づいて、最大数まで増えた短剣を投擲!
「1匹目!」
よし!一撃だ。この調子で2匹3匹目と倒していき……ついに最後の一本を投擲して最後の一角ラビットを倒す。短剣を投擲するのも大分慣れたね。エイムもバッチリだ!
その場で片手を上げてお辞儀しながら振り下ろす。所謂ボウアンドスクレープってやつだね。
「おーすごーい!」
「やるじゃないの」
2人とも拍手してくれてる。どうやら楽しんでくれたみたいだ。
「それにしても全部一撃なんて流石、信仰道化師って事かしら?」
「そうだ…ね?あれ…信仰道化師の事話したっけ?」
「私達は召喚される際にある程度召喚主の情報がわかるのよ」
「そういう仕様なんだ。あ、じゃあマイケルさんって知ってる?」
「知ってるよ!英雄の1人だもん!」
英雄!?マイケルさんって狂信者なのに……?すごい人だったんだなぁ。その後3人でマイケルさんの話をしていると、
ドシンドシンと音を立てて何かが近づいてきた。
「ん?何の音だろ?」
「!?…避けなさい!」
「うわっと!」
3人で慌てて飛び退くと、さっきまで座ってた場所に何か大きい物が突っ込んできた。僕らよりでかいよ!?
「グオォォォォ!!」
そこには大きな一角ラビットが居た。でかすぎんだろ!?
とりあえず、鑑定!
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【一角ビッグラビット】Lv10
一角ラビットの進化先の1つ
フィールドでは一角ラビットを一定数倒すと出現する
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Lv10!?僕らまだ1とか2なんだけど!?でも逃げてもすぐ追い付かれるだろうし、ここは3人で連携して戦ってみるしかないよね…




