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第二十八話 潜入?

 アイルに向かうまでの一本道。

 行き交う人々の中、一際目立つ存在があった。


 並の人よりは大きい背丈。

 ズシンズシンとその女性?が歩くたびに地面と共に大きな、それは大きな胸が上下に激しく揺れる。


「おい見ろよあれ」

「でっかいな⋯⋯」


 道行く人がすれ違うたびに二度見してしまうのは巨体なのか、それとも厚すぎる胸板なのか。

 どっちの大きいを言っているのか、もはや判別がつかない。


 そんな異様な光景にすれ違う人々の視線は当然グラジオに集められる。


「でも今の所バレてないようですね」

 この言葉通り、通行人の殆どは妖精族(エルフ)なのだがどれだけ見られてもこの設定上は女性が一番隊隊長のグラジオだとは気づいてない様子だ。

 まあ、お国を守る軍の隊長が女装してくるとは思うはずないよな。


「このまま行ければ良いのですが⋯⋯」

 恥ずかしそうに少し下を向くグラジオ。

 もじもじとする姿。

 普段のグラジオからは想像できない姿だ。


 これをもしミリアがしていたなら可愛いと思える行為なのだが、簡易女装グラジオがしたらなんかこう、違うのだ。

 変質者度がますます上がってしまっている気がする。

 果たしてこれが凶と出るか吉と出るか。


「そろそろですよ、皆さん」

 とうとう門のすぐ近くまで来てしまった。

 一番は何事もなく通ることができれば良いのだが⋯⋯


「おいそこの怪しい者達!止まれ!」

 衛兵は門を何食わぬ顔でくぐろうとした俺たちを呼び止める。


 まあ、当然だよな。

 怪しさしかないからな。


 さすがに想定はしていたが、いざこうなるとどう抜け出そうか。

 衛兵だとグラジオの顔をよく覚えている者もきっといるはずだ。


「お前たちここに何しに来たんだ!」

「僕たちは冒険者で、ここで活動しようと考えていまして」

 ミリアとグラジオから少しでも視線を外させるために俺が返事をしなくては。

 そう言ってすかさず冒険者証を見せる。


「確かに冒険者のようだな」

 衛兵はそれを確認した後、俺とツバキの顔をじっと見つめる。

 なんだ?俺たちは問題ないはずだが⋯⋯


「お前ら二人、『人族』だな」

「何だと⋯⋯!」

 片方の衛兵がそう言った途端、それを聞いたもうひとりの衛兵が警戒態勢に入った。


「なっ」

 武器を突きつけられ、とっさに両手を上げる。


 どういうことだ⋯⋯?

 ツバキはもちろんそうだが、俺もハーフエルフのルミアと人族のダインの子だから人族の血のほうが多く流れているから人族に分類されるし、見た目も変わりない。

 だから俺とツバキは人族であるという点に間違いはない。

 ないのだが、問題はそこじゃない。

 なぜ人族とわかった瞬間警戒されたのかだ。


 俺たちはマークされてないはずだ。

 一体何で⋯⋯


「怪しい後ろの二人は⋯⋯」

 くそ、そんなことより警戒されている状態で二人を凝視されるのはまずい。

 いくら変装をしているとはミリアとグラジオだと気づかれてしまう。


 なんとか気を逸らさないと!

「あの⋯⋯!」

 だめだ、遅かった。

 既にじっくりと顔を見られている。

 これは、万事休すか⋯⋯


 すぐに剣を抜けるように柄に手を乗せる。

 いざとなったらこの二人を⋯⋯


 だが衛兵の反応は想像とは全く違った。


「なんだ、我々と同じ妖精族(エルフ)じゃないか」

「それなら問題ないな」


 そう言って向けられていた矛先はすぐに解除された。


「⋯⋯え?」

 意外な反応に思わず声が漏れてしまった。

 二人の正体がバレることなく、さらにさっきまでの警戒も嘘のように無くなっていく。


 ますます分からなくなってきた。

 ミリアとグラジオを探しているんじゃないのか?


「しかも「『人族』と言っても子供と女が増えたところでなにか起こせるわけもあるまい」

「それもそうだな」

 衛兵は俺とツバキをあざ笑うように見下す。


 そしてそのまま「通ってよし」と通行の許可が出されてしまった。

 願ったり叶ったりではあるが衛兵の反応に幾ばくかの疑問が残る。


 が、今はいくら考えても答えは出ない気がする。

 まずはそれよりも、切り替えて次の作戦に移るのが得策だ。


「色々ありましたが、入ったからにはこっちのもんです。一刻も早くシオンのもとに行きましょう」

「はい!」


 今度は街の構造をよく知るグラジオを先頭に俺たちは、協力者のシオンの元へ向かったのだった。

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