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第十二話 小人族のモモ2

 ギルドに向かう途中、モモから小人族について色々話を聞くことが出来た。


 小人族は生まれた時は人族と対して変わらない赤子が生まれる。

 しかし変わり始めるのは、七から十才の間。

 その間に姿が確定し、それ以降その姿から成長しなくなる。

 もちろん老化もだ。

 再開するのは、60歳をすぎてから。

 60歳を境に徐々に老化し始めるそう。

 逆に言えばそれまでは見た目は七歳ぐらいの女の子であり続けるのだ。


 しかしそれだといくつか気になる点がある。

「七歳のままってことは筋力とかもそのままってことですか?」

「いえ、変わらないのは見た目だけで筋肉といった中身はちゃんと成長します。骨は伸びない分、逆に丈夫になっていっていくので普通の大人より力が強くなっていく人がほとんどです」


 そうなると小人族は盾役(タンカー)になる者が多いのではと思ったが、モモいわく、理由があってそうはいかないらしい。

 その理由とは⋯⋯


土人族(ドワーフ)がいるからですよ! 正直、そういうタンカーのような役職はあっちの方が上なんです。私たち小人族がタンカーをやる度、土人族と比べられて劣化版のような扱いを受けてきました」

 ワナワナと込み上げる怒りを抑えてモモは続ける。


「ですが私たちは土属性の魔法しか使えない彼らと違い、私たちには他の魔法にも適性がありました。ですので、小人族はタンカーではなく、魔術師を輩出することにしたのです!」


 そう言って天高く自分の杖を高々に掲げる。

 どうやら小人族は土人族をライバル視しているらしい。

 それもすごく。

 俺とツバキはあまりの熱意に苦笑してしまう。


 ん?あれは⋯⋯

 ふと、モモが今も掲げている杖について一つ気になることがあった。


「モモさんその杖の先についてる宝石みたいなのはなんですか」


 これですか?とみせてくれた杖には拳くらいの綺麗な石のようなものが装着されている。


「これはカインくんもよく知っている魔核ですよ」

「これが?!」


 意外なものに驚きを隠せなかった。

 シャドーウルフの魔核と比べても一回りほど大きい。

 それなりに大きい魔物を倒さなくてはこのくらいのサイズは出ないだろう。


「これ相当高かったんじゃ⋯⋯」


 ちっちっち、と人差し指を左右に振る。

「家が一軒、建つくらいですよ⋯⋯」


 ──自慢げに言っているが目が死んでいる。


「でもなんで魔核なんですか?」

「それは私が説明しよう」

 待っていたかのようにツバキが入ってきた。


「魔核は魔力を増幅させる力があるんだ。これがあるから魔物も魔法を使えるようになるんだけど、もちろん大きければ良いという訳ではない。増幅させすぎるとそれこそ術者が魔力暴走を起こしてしまう。そのため、普通の術者はこの拳一個分が最も適していると言われているんだ。ちなみにこのサイズだとだいたい倍近い威力は出るだろうね」


 ツバキの解説を聞いて納得する。

 それほどの効果が得られるならあの値段も納得だ。


 それにあのフォルム。

 眠っていた厨二病心が刺激されて、ちょっと羨ましい。

 後で少しだけ使わせて貰えないか聞いてみよ。


 そんなくだらない事を考えていたら、気づけば目的の場所に到着していた。


 ///


 冒険者ギルドに入ると、少々ギルドが騒がしかった。

 一番人だかりができているところに人の隙間をなんとか通って見に行くと例の逃げ出した二人が騒いでいた。


「新しく入ったメンバーが俺たちを逃がすために一人シャーマンに立ち向かって行ったんだ! 頼む、早く助けに来てくれ!!」


 その内容はモモが自ら犠牲になったというものだった。

 ここに、そのあんたらの中では犠牲になった張本人がいるとは知らずに好き勝手に言ってくれるな。

 まあ、あんたらの中ではもう死んでいる扱いなんだろうが。

 たしかにあの状況は魔術師一人でそうそう対処できるものじゃないからな。


「なにが俺たちを助けるためにですか。魔術師の私を囮にして逃げたくせに」


 モモの声を聞いた瞬間、そんな馬鹿なと二人の顔は青一色に変わった。

 まあ死んだと思っていた人物が現れたんだ。

 当然の反応だな。


「お、おまえ、無事だったのか」

 モモはズカズカと人混みをかき分けて二人の元にいく。


「まて、話せばわかる。反省してるんだ」

 まったく、本当に死にかけたのにそんな言葉で許されると思っているのか。

 一発ぶん殴りたい気分だ。

 そう思っていたらモモが二人の目の前まで接近していっていた。


 男たちは徐々に近づいてくるモモに恐怖して尻もちをつくが、それでもモモは止まらない。


「本当にすまないと思ってる。次は絶対しないから、な!」

「⋯⋯」

 モモは無言で男たちの目の前に立って、見下し、蔑むような目で見る。


「一生くたばってろ」

 モモは両拳を振り上げ、二人の顔面が床にめり込むほど強力な一撃を振り下ろした。


 可愛らしい体型とは反面、表情はまさに鬼の如しだ。

 でも、心底スッキリする程に気持ちのいい一撃だった。


 その後、気を失っている二人をギルド職員に引き渡し、ツバキは経緯を説明した。

 すると二人は元からモラルに反する行動が目立っていたのでギルド側も頭を悩ませていたらしい。

 今回のことは重く受け止め、二人には冒険者章の剥奪、かつ牢屋行きが決まった。


 最初どうなるかと思っていたけど無事解決したことだし、これでようやく気兼ねなく町を出られそうだ。

 そうだ、最後にモモさんに挨拶をしておこう。


「モモさん!」

「あ、カインさんとツバキさん!」

 名前を呼ばれたことに気づいてモモがこちらの方に振り向くと、駆け足で向かってきた。


「どうしたんですか?」

「俺達はもう次の街に行くのでお別れの挨拶をしようと思って」

「そうですか、もう行っちゃうんですね」


 それを聞いたモモは、少しうつむいたまま、

「⋯⋯そのことなんだけど」

 と小さな声でつぶやいた。


「⋯⋯モモさん?」

 様子を伺うように聞き返すと、モモはフーとゆっくり呼吸を吐いた。そして意を決したかのように胸に手を当てて言った。


「私を、君たちのパーティーに入れて欲しい」

「⋯⋯!」


 意外な提案に少し俺は戸惑ってしまった。

 これは、どうすればいいのだろうかと悩んでいるとツバキが代わって返答した。


「カインはこれからとんでもないスピードで成長していく。危険もその分増していく。君にそれについてこれる覚悟はあるのかい?」

 ツバキは少しキツめの言葉で聞き返すが、それにモモは

「もちろんです」

 と即答だった。

 既に心に決めているという顔だ。


「カイン、異論はある?」

「そんなの、ないに決まってるじゃないですか」


 その言葉を聞くとモモの表情は一瞬にして笑顔に包まれた。


「これからよろしくおねがいします!」

「こちらこそ!」


 こうして新しく一緒に旅をする仲間が一人増えたのであった。

ここまで御覧いただきありがとうございます。

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次話もぜひ読んでください。

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