第8話 魔法知識
微妙な時間の投稿ですみません。
_:(´ཀ`」 ∠):
「カーシュ殿下!!」
「うへぇっ!?」
アルドに魔法の指導を放棄された翌日の朝。
寝ていると勢いよくカーシュの部屋の扉が開かれ、カーシュは飛び上がる様に起き上がった。
そこに居たのは泥だらけのラルの姿。
そして、その手元には拳程の大きさほどのものがあった。
「お待たせして申し訳ありません。こちらがカーシュ殿下が御所望のものです」
「これって…」
「はい! 魔物の卵です!!」
お願いしたものは魔物の幼体だった筈だ。それなのに卵って。
「幼体は親から引き離され、凶暴な場合があります。ですがこれなら殿下を親だと思って接する筈です」
(所謂すりつけってやつかな?)
「それで? 何の卵なんだ?」
「…あ……分かりません」
ラルが申し訳なさそうに答える。
思い出したのだろう。
「…私が頼んだのは乗れる魔物の幼体だった筈だが…」
「す、すみません!!」
威厳を出して少し凄むと、ラルはシュンとする。
一生懸命に探してくれたのだろう。ここで受け取らなければ器がら知れるというものだ。
どうせなら良い主人だって思われたい。
そう思ったカーシュは口角を上げる。
「いや、ありがとう」
「も、もったいないお言葉です!!」
お礼を言い卵を受け取ると、それをクッションの上に置き、観察する。
卵の模様には何も浮かんでいない。真っ白で穢れの知らないような、そんな卵だ。
(産まれてくる者は、どんな子だろう? 夜に一緒に寝てれば早く産まれてくるかな?)
カーシュは今日寝る時に抱いて寝る事を決めると、普段着に着替えて部屋から出る。
因みに服は、ラルが着替えさせてくれた。
(断ろうとしたら涙目で訴えかけてくるんだもんなぁ…)
「殿下、今日はどちらに?」
「ん? 今日は魔法訓練場の方に顔を出したいと思っている」
カーシュがそう告げると、ラルは嬉しそうに口角を上げてカーシュに近づく。
「何だ?」
「ラルは嬉しいです! 殿下がこうやって外に出る様になって…」
「大袈裟な奴だ」
カーシュは大人の対応でそれを流して、ラルに気付かれない早足で魔法訓練場へと急ぐ。
(それよりも今は魔法訓練場! もとい、男の人が一杯居る楽園へ!!)
アルドから聞いた話によれば、魔法師団は朝早くの午前中に訓練を行うらしい。
午前は魔物との戦闘を想定した戦闘訓練。午後は魔物の知識や、自主練習に当てているらしい。
つまりーー
(男の人が1番集まるのは午前中の戦闘訓練の時のみ!)
カーシュは弾む心を抑えながら、魔法訓練されてへと向かった。
* * *
魔法訓練場へと着くと、カーシュは早速数人の人だかりを見つける。
「か、カーシュ殿下!?」
「こんな所に何の御用ですか?」
そこには2人の男達。
(おぉ〜!! 1人は黒髪硬派イケメン! もう1人は銀髪ショタイケメン!)
男達にあった途端にカーシュは2人を脳内で絡め合わせる。
が、面はそれどころではなかった。
「あ、いや、その……」
久々の複数の男。
前日にはビクターとアルドと会ったが、ビクターは父、アルドはおじさんという認識で何とか話せていた。
今目の前に居るのは2人のイケメン男子。
コミュ症を発揮しない訳がなかった。
「カーシュ殿下は魔法師団の視察に参りましたのです。いつも通りの訓練を殿下にお見せ下さい」
「よ、よろしく頼む!」
そこでラルが助け舟を出し難を逃れると、勢いよくそれに乗っかる。
「何だ、そう言う事でしたか」
「お任せ下さい」
何処かホッとした様子で、2人は胸を撫で下ろす。
何か無礼があったのではと、心配していたのだろうか。
「それでは、危ないので少し離れて御観覧くださいね」
自分の身長より少し高い銀髪ショタにそう言われて、カーシュは3、4歩後ろに下がる。
それからは凄かった。
炎、水、土等、色々な属性の魔法が飛び交い、2人は訓練場を駆けた。
時には藁人形に攻撃を当て、時には素早い動きで土嚢の壁に隠れる。
本当の戦闘を見ているかの様な雰囲気になり、カーシュは手に汗握る。
(2人しか居ないのにこんなにも凄い……ん?)
「お前らだけなのか? 魔法師団は?」
「いえ、あと師団長と副団長が居ますが、普段は書類仕事などで忙しい様です」
「っ!!!」
「か、カーシュ様!? 大丈夫ですか!?」
「だ、大丈夫だ…」
黒髪硬派イケメンが応えると同時に、カーシュは地面に膝を着く。
男の人が沢山おり、沢山のBL化を行おうと思っていた。
しかしーー
(黒髪×銀髪、銀髪×黒髪のカップリングしか出来ないなんて…!!)
そう。カーシュは嘆いていた。
魔法使いが少なく、最弱国と言われても国は国。もっと居るもんだと思っていた。
(見積もりが甘かった…これだと私のBL力が補充出来ない…!!)
イケメンでなくても、男が居ればBL化は出来る。想像でBL化する事も出来る。
だが、それをやってしまえばどうしても人間味が薄くなってしまい、BL力というカーシュの中にある欲望があまりにも満たされないのだ。
「お、おい…やっぱつまんなかったんじゃないか?」
「うーん…そうは見えなかったけどね……」
嘆いているのを見た魔法師団の2人が、カーシュの機嫌を損ねたのではと狼狽する。
「そうだ! 殿下。殿下も我々と一緒に修行をしてみませんか?」
「…修行?」
そんなカーシュに、銀髪ショタが修行の提案を申し出る。
子供だから修行という言葉に興味を持つと思ったのだろうか。
だが、その言葉は遠からずも当たっていた。
(魔法の修行…悪く無いかもしれない。私も魔法を使えれば、男の人達を身近に観れるかもしれないし!)
「な、何の修行をするんだ?」
カーシュがテンションを上げながら問い掛けると、2人は「よし!」とガッツポーズを見せて話し出す。
「するのは魔力運用の修行です。見ててください」
銀髪ショタは前に手をかざした数秒後、氷の刃を放出する。
「……ただ、魔法を放っただけの様に思えるが?」
それは先程と変わらない、魔法を放った銀髪ショタ。何の変哲もない魔法であった。
銀髪ショタは微笑むと、ゆっくりと口を開く。
「その通りです。ですが……魔法を行使する上で、何個か工程を踏まなければならないのです」
そう言うと、銀髪ショタは説明し出す。
魔力運用とは魔法を行使する上での工程そのものを指し、魔素をどれだけ効率よく変化させ、発動する事が出来るのかがミソになるらしい。
「つまり……魔力運用が上手く行かなければ魔法は不発に終わると言う事…」
「さ、流石王子ですね…」
「マジか…」
「当然です!」
5歳の子供が今の説明を理解するのは難しい、そう思うのが大変だろうが…
(まぁ、一応前世を合わせれば21歳になる訳だからね)
21歳の精神、そして頭、それでなら理解出来る内容であった。
「それで? その魔力運用の修行とは何なんだ?」
「は、はぁ。そうですね…大きな水球を頭の中でイメージして下さい…自分の中の魔素を練って…あ、まだ魔力通しを…」
黒髪硬派イケメンが、カーシュに魔力合わせを行おうと手を伸ばした瞬間。
「こ、こんな感じ?」
「「「…は?」」」
カーシュの目の前には、大人1人を余裕で覆い尽くせる水球が現れたのだった。
「面白い!」
「続きが気になる!」
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