第3話 王立図書館の司書 アルネ
おりゃ、投稿じゃい。
王立図書館の司書。
それは平民でも王城に入れる数少ない職業であり、筆記試験、実技試験、3回の面接を乗り越えてやっとなれるこの職業は、狭き門を抜けた精鋭にしかなれない職業である。
そんな職業になったアルネは平民にして初めて王立図書館の司書へとなった才女であった。
独学で勉強し、今年18歳になってやっと試験を乗り越え、アルネには様々な試練があった。
貴族の上司からの指導、貴族に対しての接し方、貴族と平民との差別等々ーー…。
アルネにとっては苦痛の連続だった。
(はぁ…こんな為に司書になった訳じゃなかったのに……)
昔から知識欲が多くあったアルネは、近所のおばあちゃんから文字や数学、歴史など様々な事を学んだ。
そこで司書にでもなれば、もっと知識を深められると教えて貰い、司書になったのは良かった。
しかし、現実は厳しいものだった。
目新しい物は何もない。
あるのは罵ってくる貴族の上司や同僚のみ。
「今日もまた仕事を押し付けられちゃったし…私には向いてないのかなぁ?」
ネガティブな考えを繰り返しながら、アルネは図書館の扉を開けた。
「え! で、殿下!?」
するとそこに居たのはこの国の第1王子、カーシュ・アルザ・ファテル殿下だった。
「あ…う、う"ぅんっ! …お邪魔してるよ」
「は、はっ! この寂れた所に何用でしょうか!!」
王子は最近引きこもりがちだったと言うのは耳にしている。
あまり悪い噂は聞かない…だけど上司や同僚と同じ貴族…失礼がない様にしないと。
そんな考えをしていたアルネだったがーー
「実はちょっと知りたい事があって。でも…文字が読めなくて…」
「あ、そう言う事だったんですね」
カーシュは子供らしく何処か恥ずかしそうな表情で言った。
(この子はあまり怖くないかも…)
無意識に頭の中でアルネは考える。
「良かったらだけど、私の質問に答えてくれないだろうか?」
「わ、私がですか!?」
恐れ慄くアルネ。
「うん、まずはーー」
しかしそんなアルネを無視してカーシュは質問を始めるのだった。
それからアルネがカーシュの質問を答えていくと、それと同時にカーシュの顔が厳しくなっていった。
(まさかこの国の残状を理解してる…? いや、まさかね)
5歳にしては鋭い質問を続けるカーシュに、アルネは驚きを隠せなかった。しかし、王子とは言え子供は子供。たった5年しか生きていない者が分かる訳がない。
どうせ雰囲気で分かった様な表情をしているのだろう。
偶々遊びで此処に立ち寄ってみただけ、そう思っていた。
「ーーです」
「……」
カーシュは顎に手をついて目を閉じている。
(最近ではこういう遊びが殿下の中で流行っているのかしら?)
「何か不都合でもありましたでしょうか…」
「いや、何も無いよ」
「そ、そうですか」
何処か不安そうにして、王子を盛り立てる演技をして遊びに付き合ってみるアルネ。
(これで機嫌が取れるなら良いなぁ…上司は目敏く見てくるから…)
「あ、もう1つ聞いても良いだろうか?」
「はっ、はいぃ!」
突然のカーシュの言葉に驚く。
良からぬ事を上司と同じく読まれたのか? そんな事を思ったアルネだったが、カーシュは少し笑みを噛み殺して言った。
「この国は何で"最弱国"と言われてるんだ? 建国して200年はまだ若いとは思うが…」
(……嘘…)
アルネはあまりの驚きに声に出せなかった。
先程までの質問なら、まぁそれなりに頭の良い子供なのかな? と思う程度。
しかし、それに疑問を持つとなるとそれはもう軍事的、客観的な大人の考えをしていると言わざるを得ない。
だが、これを王族である王子に言っても良いのだろうか。
そんな疑問がアルネの頭をよぎる中ーー。
「構わないよ…話してくれ」
アルネの心の中を読み取るかの様に、カーシュは呟いた。
「…このファテル王国がユー大陸の中で最弱国と称されている理由、それは圧倒的な魔法使い不足です」
「魔法使い不足、か。それで何か問題があるのか?」
「問題大アリですよ!! 普通魔法使いは男性の方がなるのですが…」
「ちょっと待て」
カーシュはアルネの話を遮って、真剣な眼差しでアルネを見た。
(あ…私怒鳴っちゃった…?)
アルネが気づいた時には遅かった。
「な、何でしょうか?」
アルネはカーシュの真剣な表情、何処か怒っている様なその表情に声を震わせた。
そして極力平静を装って聞いた。
「今、魔法使いは男がなるって言った?」
「は、はい…」
そしてアルネが頷くと同時にカーシュは、四つん這いになって床を叩いた。
「て事は…この国は男子が少ないって事じゃない!!」
「え、えぇっ!? ど、どうしたんですか殿下!?」
突然泣き出すカーシュ。それを見てアルネは焦りに焦る。
(何で泣いて…私が怒らせちゃったんだじゃ…まさか殿下! …国を思って涙を…?)
「生命維持の危機…! こうしちゃ居られない!!」
「で、殿下! お待ちを!!」
カーシュはアルネの静止の言葉を聞かず、図書館から勢いよく出て行った。
アルネにとって、それはまるで国を思って行動する王に見えた。
「まだ5歳……凄い子……いえ、凄いお方です…」
アルネはキラキラと目を輝かせ、カーシュが出て行った扉の方を見つめていたのだった。
「面白い!」
「続きが気になる!」
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