予言者さんとの会話、そしてカードゲーマーとして看過できない事
『獣人の預言者』を召喚し会話が可能な事を確認、色々気になるので質問をしてみる。
「『マナ産みの土人形』の時から気になっていたんですけど召喚という事はあなた方はどこかから転送されてるんですか?それと名前ではなく主かマスターでお願いします、その方が召喚士っぽいので」
「了解しました主様、質問の答えですが私はどこからも転送はされておりません、私達はカードの存在を現実に具現化させているだけなので今生み出されたのです、なので個別の名前などもありません、それと具現化された存在なので食事や睡眠などの生物に必須な行動も必要ありません」
「なるほど」
少し考える・・・召喚ではなく具現化なのはSMWのプレイヤーとして少し残念だがそれはまぁ別にいいか・・・食事や睡眠が必要ない・・・つまり維持に何も必要ない・・・維持コストが必要なカードやターン制限のあるカードはあるけどそれはほんの一部しかないしカードを出した後はそのまま出しっ放しでいいうえに睡眠が必要ないから1日中動き続けられる・・・俺の睡眠中も寝ずの番ができる・・・と・・・
「いや凄くね!?」
思わず声に出てしまいおっと・・・と「獣人の預言者」を見ると少し不思議そうに首をかしげこちらを見ている。
「失敬、ちょっと考え事してたら思わず声に出ました」
予言者さんはフ・・・と柔らかく笑い
「お悩みでしたら占いなどいかがでしょうか?」
と聞いてきた。
「おお!カードキャラの占いとか凄く興味あるな!是非お願いします」
期待で心が弾む。
返事を聞いた予言者さんは目を閉じ深呼吸をした、少しすると予言者さんの胸の前に白い光の球が現れその球を左右からゆっくりと持ち、フ~と柔らかく息を吹きかける、白かった玉が薄く青色に染まった。
「要望を書くといい、と出ましたね」
要望・・・ああ!なるほど!確かに欲しいものあるんだよな。と思いノートを取り出し書き始め・・・ようとした時、突然左手が熱を持ちドローする時以外は基本消えているデッキが現れた。
なんだろ?熱いって程ではないけど・・・とデッキを見てるとデッキの上から3枚のカードが自分の目の前まで浮かび上がり内1枚「聖竜フラムル」が右手の手札に行き残り2枚がデッキに戻った。
・・・
いや今のって・・・
『獣人の預言者』があなたの場に出た時あなたはあなたのデッキからカードを3枚引き、1枚を手札に入れ残り2枚を好きな順番でデッキに戻す。
「いや場に出た時ぃ!!占った時にしちゃあかんだろう!!テキストに書いてない事しちゃあかんだろうカードゲームとしてぇ!!テキスト外効果とかクソゲー化の前兆だよ!!」
「ど・・・どうしたんですか?突然」
俺の慌てっぷりに予言者さんが驚く
・・・深呼吸をする・・・本当に深く深呼吸をする・・・
「いや申し訳ない、起こっちゃいけない事が起こっちゃったのでつい」
「そ・・・そうですか」
俺が落ち着いたのを見て予言者さんも特に追求はしてこない。
正直全然落ち着いてなかったが完全に緊急事態なのでノートを開いて書き始める。
現在地がわかる地図・世界地図・大陸の地図・周辺諸国のおおまかな歴史がわかる資料等があればもらえるでしょうか?
それと『獣人の預言者』の占いでカード効果が出るのを何とかして下さい、占いの結果を預言として話す事があの能力なんだという解釈はまぁわかりますがノーリスク・ノーコストでカードを引き放題とかぶっ壊れにも程があります。
完全に後半が本題である、両手で頭を抱える、いくらでもカードドローできるなら『引き寄せる手』の存在意義よ!あれ1回目は3マナで2回目からは5マナ必要やねんぞ!!2マナで未起動化できるから1ターンに1度きりっていう事も無い!長期戦でマナが余りはじめれば1ターンで大量に引けるのが魅力でデッキに入れたのにあれができるなら『引き寄せる手』というカードには完全に意味が無い!ついでに言うなら今の状況なら3枚目に見えたカードが1番欲しかった!そこまで一気に思考して深呼吸・・・少し落ち着いた。
返事が来た、今更だがノートに字がゆらゆらと浮かび上がってくるというのは面白いな。
地図と資料はカードを送るのでそれを使って下さい、『獣人の預言者』の件は近日中に対応します。
・・・ゲームの運営かな? とりあえず目の前・空中に出現した2枚のカード?に注目する・・・カードというにはなんか真四角だ・・・とにかくSMWとは仕様が違うというのが形でわかる、左が地図、右が歴史。
まず地図のカードに触れる、触れた指先から電流が頭に流れて使い方が頭の中にインプットされるような感覚を覚える、地図カードが左前腕あたりに移動したのでそれに右手の人差し指と中指で触れ目を閉じる。
目を閉じたのに円形に景色が見える、目を開いてみると同じ物が空中に投影されている、周りの景色が入ってわかりにくいのでまた目を閉じる、中心に小さく見えるのが自分の頭頂部で多分半径50メートルはないくらいか?・・・触れた指を開くとズームアウトされる・・・近くにある果樹園さえ1センチもないくらいの大きさになってもはや大体の距離すらわからない・・・指を閉じるとズームイン・・・元の範囲に戻す・・・当てた指を上に動かすと中心点が動く・・・元の位置に戻し目を閉じたまま身体の向きを変えると地図が回転・・・もう一度指を上に動かす・・・どうやら東西南北ではなく自分の向いている方向が地図の上という扱いらしい、この2本でないと使えないというのが少々面倒くさいが確認したので目を開く。
次に歴史のカードに触れる、さっきと同じく電流が流れ、地図カードの隣に移動したのでそれに触れる。
真っ白な画面が現れた、とりあえず一番近い人間の国の名前がわかるかな・・・と思うと画面に『フィナル』と表示され、国の始まりがどうだとかの情報も表示された。知りたい情報を頭に思い浮かべればここに表示されるらしい。
次は結構時間が経っているはずだがまだ太陽が上の方にある理由を知りたいと思い浮かべる・・・この星は1日が地球で言う所の34時間で1年が480日、月は3つで青い月に守護神・黄色の月に調和神・緑の月に破壊神の別荘があるそうだ、公転軌道がほぼ円に近い軌道なため1年を通してほぼ気温の変化はないらしい。
次にここまでこの星の生き物を見ていない理由を知りたいと思い浮かべる・・・126年前に人への加護を阻害し続ける調和神に対していい加減堪忍袋の緒が切れた守護神が調和神と争った土地がここなのだとか、破壊神様が喧嘩両成敗で仲裁するまで争いが続き色んな生物が巻き添えで死んだんだそうだ、それ以来この一帯は『神の怒りを受けた地』として虫ですら近付こうとしない土地になったらしい。
ついでにそれ以来守護神と調和神は心底仲が悪く破壊神の胃は痛くなる一方らしい・・・
月に別荘があるならせめてそっちで争えよwそしてこれ破壊神様が書いたろw
まぁなんにせよ周辺諸国所か星レベルで歴史がわかる便利道具だとわかった。
とりあえずそろそろのはずだから時間がある時に読もう。2枚のカードが消える。『果樹園』にはリンゴが実っていたので採って食べる、やはり地球のカードだからだろうか食べ慣れた味がする。
ターン開始の音が鳴った。