別視点・公園にて
鹿獣人視点
公園まで行き念入りに手を洗ってから兎獣人と一緒に公園にいた子供達を巻き込んでドッヂボールをしている。因みにボールはここに来る途中くすねてきた売上金で買った。伝達の魔術師がいるんだから間違いなくバレているはずだが何も言われないという事は問題無いと認識する。というか正直に報告したところでうちの主は基本雑だから気にしないだろうし。
兎獣人視点
遊んでていいんだろうか?・・・でも何も言われないしな・・・まぁでも休憩時間自体は貰ってるんだし良い・・・のか?・・・まぁ主様は獣人種を見るのが好きみたいだし子供達が遊んでる姿は好物かもしれないよね・・・無理矢理納得しておこう・・・それに地球の競技に似た遊びがあったのも良かった、主様にもわかりやすいだろう。ただ主様の記憶から考えると子供の肉体能力が違い過ぎて驚く気もするが。ボールも非常に硬くて重い、まったく弾まないし。4kgぐらいだろうか?何が詰まっているのだろう?飛んできたボールを避ける熊獣人の女の子、受け止めて投げ返す狸獣人の男の子、高く上に投げて外野から内野にパスをする猫獣人の女の子、それを4m程ジャンプしてパスカットする羊獣人の男の子、そのまま空中で身体を横回転させこっちに投げてきたのでキャッチして投げ返す、HIT!
マクベス視点
顎を砕かれたルーミスを救護兵に預けてから供を1人だけ連れて屋台に戻り、先程無礼を働いてしまった詫びとして店主に金銭を渡しつつ彼女達を捜す、詫びを入れるべき本人達は休憩中との事なので匂いを辿って彼女達を捜す。
「ルーミスがやらかしてくれたおかげで冷静になれてよかったですな王子、王子も大概でしたよ」
「反省している」
幼少時からの付き合いである3つ年上の赤毛熊獣人ホフマンに言われ簡潔に答える。
昔はランズベルク・ホフマンだったが王家の者が名字を名乗れるのは 王(女王)・王(女王)の実子・王(女王)の兄弟の第1子 の範囲なので王が替われば名字が無くなる者が多数いるし、逆にまた名乗れるようになる者もいる。
「しかしルーミスをあっさり気絶させるとは、あの店員もなかなかやりますな」
「まぁ顎が砕けて歯が抜けた程度だ、2日もすれば完治する。そんな事よりもホフマンは気付かなかったのか?」
「何がです?王子とルーミスが一目惚れする程の店員がいたのは王子がやらかすまで気付きませんでしたが」
「それは本当に申し訳ないと思っているから置いておいてくれ。ルーミスがやらかすまでは俺も気付かなかったが・・・あの屋台は異常だ」
「まぁあんなとんでも級美人の店員が2人もいるのはたしかに異常ですね」
「それはそうだがそうではなく」
からかわれながらの会話に少し疲れ深呼吸してから言葉を続ける。
「匂いだ」
「良い匂いでしたね、俺も思いました」
「たしかに幸せな気分になる程心地よい匂いだったがそうではなくてだな」
「そこまでは言ってないんですが・・・」
「普通人によって匂いは違うものだ」
「? そうですね」
「個人でも違うが種族も違えば更に違う」
「当然ですね」
「だがあの屋台の者達は全員同じ匂いだった」
言われてホフマンは少し思い出すかのように首を動かす。
「た・・・しかに?言われてみれば匂いの種類が少なかった気がしますね・・・」
「止まれ、いたぞ、隠れろ」
鼻が利く獣人に対してだとまったく意味は無いがホフマンと壁の影に隠れながら公園を覗き込む、先程迷惑をかけてしまった天女達が子供達とボール遊びをしているのを見ながら言う。
「よく匂いを嗅ぎ分けてみろ」
「既にやりましたよ、たしかにまったく同じ匂いですね・・・有り得ないでしょこんな事」
「だが現実だ」
子供達と笑顔で遊んでいる天女は美しい、だが明らかに警戒すべき材料がある。危険人物として覚えておくべきなのだろう・・・だが美しい・・・・・・・・・・・・
「王子?王子?おいこら帰ってこいバカ」
頭をはたかれる
「む?いやすまん何か言ったか?」
「同じ匂いがするなんて怪しいのはたしかですけど、それと迷惑をかけた事に対して詫びを入れるのは別問題です、頭下げに行きますよ」
「む?そうだな、服に汚れは無いだろうか?」
「うっせーバカ早く行くぞ」
「む!バカは無いだろう!第一印象はとても大事なのだぞ!」
「とっくに最悪だから気にすんな、ほら!ゲームが一段落した今が丁度良いんだって!」
ホフマンに背中を押されながら天女の前まで行く。
・・・帰り道
多少ひかれながらだが謝罪は受け入れて貰えた。幸運な事に名前も聞けた。ルーミスにもさっきの人はパールという名前だと教えてやろう。
「王子?王子?」
「む?なんだ?というかいちいち呼びながら人の頭を叩くな」
人が気分良く歩いているというのにホフマンに頭をチョップされて振り向く。
「さっきっから何回も呼んでるのに気付かないからじゃないですか」
「む?そうだったのか?それはすまん。で?なんだ?」
「なんだ?じゃないですよ、匂いが同じなんて異常です。副官殿にはどう報告しますか?」
「リオンにはうまく報告しといてくれ」
「丸投げ!?別に良いですけど」
ホフマンの返事も聞かず、天女の声を頭の中でリピートしながら気分良く歩く。
ホフマン視点
浮かれながら歩く王子の背を見ながら考える。
この王子こんなにポンコツだったっけかなぁ・・・初恋とか一目惚れって端から見るとこんな感じなのか?・・・そういや本人から女性に近付いたの見た事無いなぁ・・・剣も槍も才能があって軍事の勉強も欠かさないから結構な人気者だったんだが・・・副官殿の教育に女性の扱い方がなかったんだろうなぁ・・・あの人結構な堅物系だし・・・なんだっけな?たしか不倫されて女性嫌いになったんだっけか?産まれるの楽しみにしてた子供が自分の子じゃないのが出産間近って時にわかって離婚したとか・・・ルーミスも嫁の浪費癖のせいで苦労してるし、実力で王子の側近まで成り上がった高給取りなのに借金苦ってどうなってんの?・・・今のってか叔父さんもだったが、ランズベルク王家を見ると嫁なんて貰うもんじゃねえって思うんだが・・・従兄弟はよくあんな評判悪いのを嫁にしたもんだよ・・・腹にいるのが本当にあいつの子か怪しいって噂まであるし・・・御家の為にするのが政略結婚だっていうのにそれを蔑ろにする女ばっかりで反吐が出るっつーのマジで・・・まぁ今回の王子の場合は政略関係無い訳だが・・・別人なのにまったく同じ匂い・・・それだけじゃない・・・こっちをずっと監視してるあの見た事無い鳥・・・あれもあの2人と同じ匂いだ・・・他にも1人・・・ここからじゃ見えないが壁の反対側にいる奴も同じ匂い・・・絶対に何か関係あるな・・・そういえば遠征中に壊した魔法陣から出てきてた妙なゴブリン共・・・あいつらはあいつらで同じ匂いだったな・・・あいつらは関係があるのか?・・・あの2人は怪しすぎるし王子にはすっぱりと諦めて貰わないとな・・・
溜め息をつきながら王子の後を付いていく。




