想定外に慌てる
破壊魔法カードで破壊出来なかった!完全に無駄撃ちした!しかも偵察梟が1羽やられた!どうする!?
とりあえず『券』に書き殴る
俺:破壊魔法カードが当らずに対象を破壊出来ないってどういう事ですか
神:? そりゃ普通攻撃されたら迎撃するか避けるか防御するか逃げるかするでしょ
極々当たり前の返信が来た・・・
俺:いやそりゃそうだけどそうじゃないんですよ!? なら今までのは何で当ってたんだって言う話にもなるし破壊魔法カードで破壊出来ないならカードの意味!多少解りづらい文章だったり能力に優先順位とかがあったとしてもテキストが絶対じゃないならカードゲームって成立しないんですよわかります!?
神:う~んまぁ何と言いますか・・・現在の状況が机上のゲームじゃない事は一応解りますよね。君の魔法カード攻撃は当然魔力を放っている訳なのでそれを察知されれば対策もされちゃう訳ですよ。それに距離が開けば開く程ラグも発生するしラグが長ければ長い程察知もされやすくなります。それに身体能力が上がる加護というのは単純に筋力や体力が上がるだけではなく、視力・聴力等の五感も上がるしトレーニング効率やエネルギー効率なんかも上がるし免疫抵抗力や繁殖力なんかも当然上がります、生物として上がると得をする部分の全てが一括で上がるんですから。その上がる中には魔力の感知能力や危機察知能力みたいな地球人の言う第六感的なものもあるのでそれで察知されると当然何かしらのアクションをされる訳ですよ。それに基本的には身体能力が上がる加護を望まれますけれど、君のように何かを媒介にして召喚や具現化をする能力を加護に選ぶ人もちょいちょいいますからねぇ。御伽噺の存在を本から呼び出したりとかね。長く生きてる種族にはそういうのを見た経験がある個体もいます。まぁカードゲームにも相手の魔法を打ち消すカードがあるじゃないですか、それだと思って割り切ればいいかと。
頭では解っていた事を書かれるがカードゲーマー的に納得出来ず眉間を揉む・・・
神:因みに彼は現魔王とは幼馴染で魔王が即位した時に五将星に就任しています。以前君が討伐したデュラハン君の倍以上は強くて君のカードで言ったら攻撃力と生命力は1400~1500といった所ですね。魔族としては珍しく幼い時から名付けをされていて、名前はヴィラルです。
1500・・・向こうには7万の兵士・・・それぞれが補正付きで現在9/9・・・カードゲーム的に考えれば数で押せるから普通にいける・・・だけどさっきの件もあるしガーゴイルの事を考えれば攻撃は衝撃波付きで範囲を一気に薙ぎ払えると考えた方がよさそうだ・・・呼び戻すか・・・
左斜め後ろを向き伝達さんに話しかける。
「伝達さん、ガーゴ」
「主様」
ん?と声のした左を向くと天騎士さんが跪いていた。
「どうしました?」
「どうか自分に闘わせて頂きたく」
「いやいや何言ってんの?敵の数値は1500って神様のお墨付き。それに対して君は補正付きでも現在16の18、勝ち目は0。それに君はいるだけで味方に補正が乗る重要ユニット、万が一にも失う訳にはいかないし、数字だけ考えれば勝てるユニットが既にいるし、軍は総司令官を殺せば完全に瓦解し壊走するなんてのは物語の中だけだ、敵の副司令や中級指揮官をまだ確認していない、今この場で君を出すメリットがまるで無い。」
「自分は騎士として具現化された存在です。騎士とは主君を護り、仲間を護り、民を護る者と認識しております。どうか、ここで仲間が闘うのを見るだけではなく、仲間を護らせて下さい。」
正直一考の価値すら無い事を言われて少し苛つき早口になった自分に対して、天騎士さんは静かにゆっくり言葉を紡いだ。
天騎士さんの言葉を最後まで聞き・・・はぁ~と長い溜め息をつく。
「まぁいいか・・・君はこのデッキで喚んだからやられても墓地に行く・・・墓地にあればヴラダムルの能力で呼び戻せる。敵軍は?」
「先程の主様の攻撃を警戒したのか動きを止めています、敵大将は1人で軍の前に出て先程の攻撃を待っているようです」
智将さんが答えるのを聞き伝達さんの後ろで待機しているメイザスの方へ身体を向ける。
「メイザス!お前にも出てもらうぞ!味方はいない!敵だらけの場だ!お前の能力が役に立つ!たとえ死んでも敵大将には絶対に攻撃を当てろ!」
メイザスが天に向かって咆哮する、転移さんの方を向く。
「偵察梟をもう1羽送ってますよね、メイザスを敵大将の直上に転移させて下さい。その後天騎士さんを味方の前へ、その後は兵士をどんどん送ってください」
「わかりました」
天騎士さんの方へ向き直る。
「メイザスの攻撃が終わったら君の思うように動きなさい、君の望み通りに送るんだ、文句は無いな」
「有り難う御座います」
軽く息を吐く・・・カードから具現化した存在・・・感情はほぼ無いと聞いているしカードの世界観から来てる設定とかの記憶も無いそうだがちょいちょい指示に従わないし自分の要求言ってくるな・・・さっきのメイザスにしてもなんか嬉しそうだったし・・・やっぱ少しはカードの設定が反映されるのかな・・・それとも俺がそういう風に出してるのか?・・・まぁそこらへんはいいか・・・
頭の中にユニットの被撃破音を聞きながら天騎士さんが転移するのを見届け送還さんの方を向く。
「送還さんはガーゴイルの一番強い個体をいつでも呼び戻せるように準備しておいて下さい」
「かしこまりました」
「戦場が見たいので偵察梟の視界をお願いします」
天騎士さんがやられた時にすぐヴラダムルの能力を使って復活出来るよう聖4と邪4のマナを出しておく。視界が二重になったので地面に座って目を閉じる。