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61.またレヴィさんが来ました。


あれからサタン様が過保護になった。何というのだろう、メイドとして行っても側に立って動かしてはもらえない。遊びや勉強しに行ったらふかふかのソファーに座らされ、部屋から出てはいけないと言われる。過保護っていうか……これ私何しに来てるんだろうか……。最早メイドとしての仕事は一切していない。いや元々そんなしてないけどもさ。

今日は一応メイドの日なので来ているけど何故か朝からサタン様とお茶をしていた。何で?

「サク?どうかしましたか?」

「いや……私何しに来てんだろうって……」

「……私の相手という仕事です」

「はぁ……」

どうなんですかそれ。けどマリーさんは勿論、ユベールさんも、リュカさんですら何もつっこまなくなった。諦めの境地である。

「不満ですか?」

「不満というか……これでいいのかな感が……」

「いいです」

「はぁ」

サタン様がいいって言うなら仕方ない。私が何か言っても聞かないもんなぁ。大人しく言うこと聞いとこ。

「そういえば明日から暫く休むんでしたね」

「ああ、はい。お盆なので」

「…………」

悪魔には馴染みが無いのだろうか、ちょっと不思議そうな顔をされた。

「せ、先祖供養的な……」

「……具体的に何をするんですか?」

「お墓の掃除して……お参りして……親戚集まって宴会ですかね」

「ほう……」

「子供は大体遊んでますけどね」

「そういうものですか」

「はい」

「……行かないといけないものですか?」

「そりゃ、まぁ。毎年行ってますしおばーちゃんとか親戚の子とか会いたいんで……」

「…………」

「夜は皆で花火とかして楽しいんです」

「……楽しそうですね」

若干恨みがましく聞こえたので慌てて「何かお土産買ってきますから!」と誤魔化した。お饅頭くらいなら駅なり空港なりで買える、はず。

「……期待しておきましょう」

「はい……」

変なプレッシャーだと思っているとメイドさんが一人駆け込んで来た。

「し、失礼します!」

「どうした」

何かを察したのかリュカさんがメイドさんと出て行く。

「何かあったんですかね」

「…………」

サタン様の顔が険しくなった。サタン様も何かを察知しているようで、無言になる。

「……サタン様?」

「……いえ、少し面倒が起きそうです」

そうサタン様が言ったのとほぼ同時だった。ばぁんと扉が開いて、入って来たのはレヴィさんだった。

「失礼しますわ、サタン様ぁご機嫌いかが?」

「…………」

猫撫で声というのだろう。鼻にかかったような甘ったるい声で言われ、サタン様から表情が消えた。めちゃくちゃに真顔で何故かこっちが不安になる。そういえばサタン様私といる時大体笑ってるよな。そう思うとレアかもしれない。

レヴィさんの後ろからリュカさんの顔が見えた。とても疲れているようで、また強行突破されたのだろうというのが簡単にわかった。

「……何か、御用ですか」

低い声でサタン様が言うと、「先日折角パーティーにお招きしたのに全くお話も出来ませんでしたもの。ですからこうして会いに

来たんですわ」とレヴィさんは返した。

「……すみませんが、今から予定がありますのでお引き取り願えますか」

「あら、どのような?」

「言う必要はありません」

「どうせ私を追い返す為の方便でしょう?」

「……だとしたら?こんな男、愛想を尽かしてもらえませんか」

「嫌ですわ。サタン様ったら。そんな事くらいで嫌いになるわけがないでしょう?」

ころころと笑いながら言われてサタン様が深い溜息を吐いた。嫌ってくれよとでも言いたげだったがレヴィさんは全く気にしていないようだった。

「ところでサタン様、私と出掛けてくださらない?」

「……何の為に?」

「決まってますわ。デートです」

「…………」

「今日付き合ってくださるなら、暫くお邪魔はしませんことよ?」

交換条件のように言われ、サタン様は暫し悩むような顔をした。そうして私の方を見る。

「……一緒に」

行きましょう、とかそういう言葉が続く筈だったのだろう。それを遮ったのは勿論レヴィさんだった。

「折角のデートなんですから、他の女を連れて行くなんて無粋な真似はよしてくださる?」

「…………」

そりゃそうだろう。というか正直一緒に行きたくはない。目の敵にされてるのがわかるので一緒に行ったらまた突き飛ばされたりしそうだ。……これがテンプレの悪役令嬢なのではと今更思ってしまった。

「わ、私はお留守番してますんで」

お二人で楽しんで来てくださいと続けるとレヴィさんがサタン様の腕を取った。

「ほら、この子もこう言ってますし行きましょ」

ぐいぐいとサタン様の腕を引っ張り、レヴィさんが扉の方に行く。サタン様が一瞬こちらを見て、何か言いたそうな顔をしたけれどそんな暇も無いままに出て行ってしまった。

「……それじゃあサクちゃん、何かお仕事する?」

「そうですね……」

サタン様いなくなったし、とマリーさんの後をついて行った。


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