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60.思惑がありました。

「何なのよあの小娘!!」

レヴィの手が花瓶を薙いだ。花瓶は重力に従い、床に落ち、割れる。がしゃんと響いた音にメイドも執事も身を竦めた。

「レヴィ様、どうか落ち着いて下さいまし」

「落ち着けるわけないでしょう!?折角サタン様がいらしてくださったと思えばあんな小娘に構ってあっという間にお帰りになるだなんて!!」

紅い爪を噛み、レヴィは忌々しげな表情を浮かべる。サタンの為に、と丁寧に整えられ、色を付けられた爪は無惨な状態になっていた。

「憎らしい……っ」

レヴィからしてみればただの小娘でしかない。見目麗しい令嬢でもなければ優美な貴婦人でもない。そんな小娘が、それもメイドが自分よりもサタンに愛されているというのがどうしても許せなかった。

「荒れてるねー」

「……誰!?」

現れたのは一人の男だった。男はへらへらと笑いながらレヴィに近寄って行く。

「貴方は……」

「扉開いてたから入って来ちゃった」

「……何をしに来たのかしら。貴方が来るとろくなことがないのよ」

「ひどい言い草だなぁ。折角いい話を持って来たのに」

「…………」

「勿論聞いてから考えてくれていいし、即決でなくていいよ」

「……聞くだけ聞くわ」

レヴィは腕を組みながら答える。聞くだけなら、と。メイドや執事達には部屋を出るよう視線だけで指図した。二人きりになった部屋で男は口火を切る。

「うん、あのサクちゃん。君が言うところの小娘だけど、僕は彼女が欲しい」

「…………」

「で、君はあの子が要らない。ならちょっと手伝ってよ。あの子をサタンと引き離すのを」

「……私に何のメリットが?」

「あの子がいなくなればサタンは悲しむよ。その隙に付け入ればいい」

「…………」

「それとも、そんな隙に付け入ってもサタンを落とせないのかな?」

「馬鹿にしないで!」

挑発するような男の言葉にレヴィは声を荒げた。それを見て男は笑みを浮かべる。

「じゃあ、協力してくれるよね?」

「……わかったわ」

「そうこなくっちゃ」

これであの子が手に入る、と男は手を叩いた。


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