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58.マリーさんに看てもらいました。


「お早いお帰りで……」

リュカさんが出迎えてくれたけれどサタン様に抱き抱えられたままの私を見て戸惑っていた。

「……何かありましたか」

「サクが怪我をしました」

「してないです」

「…………」

どっちだ、という視線が痛い。「ちょっとすりむいただけです……」と言うとサタン様が「それでも怪我は怪我です」と言う。

らちがあかないと思ったのかリュカさんは「マリーを呼んで参ります」と踵を返した。

そしてサタン様は私を抱えたまますたすた歩く。歩けるんだけどなぁ……。

「……さっきも思ったんですけどマリーさんって何かそういう……怪我とか看れるんですか?」

「治癒魔法が使えます」

「……サタン様は」

「……あまり、得意ではありません」

「ああ、そうなんですね。……ていうか別にそんな怪我でも……」

「一応、看てもらいなさい」

「はぁ……」

サタン様の部屋で待っているとマリーさんがやってきた。

「サクちゃん、怪我したって……!」

「ちょっとすりむいただけなんですけど……」

こんなんです、と掌を見せる。マリーさんは一瞬微妙な顔をしてサタン様の方を見た。

「足首も一応看てもらえますか」

「かしこまりました」

マリーさんが跪いて私の足を取る。

「痛むかしら」

「全然痛くないです。もう治ったみたいです」

何故かサタン様が心配そうに寄ってくる。「そんなにすぐ治りますか」と呟いた。

「一時的に痛かっただけみたいです。もう本当、何ともないですよ」

ほら、と立つ。ヒールはこけるので裸足で歩いて見せるとやっとサタン様は落ち着いたようだった。

「大丈夫そうね。そのすりむいたの、一応治す?」

「痛くも何ともないんでいいですよー」

元気です、と拳を握るとマリーさんも笑ってくれた。二人とも結構心配性だな。

「……あ、もう帰ってもいいですか?」

そういえば今日は時間が少し違ったからどうしても遅くなってしまっている。そろそろ晩ご飯が出来る頃なので帰らないとまずい。

「ええ、どうぞ。今日はありがとうございました」

「いえいえ。それじゃ」

着替える為にマリーさんの部屋に移動する。あ、靴置いて来ちゃったけど……まぁいいか。

さくっと着替えて、マリーさんにドレスを返した。

「サクちゃんのサイズだから持って帰ればいいんじゃないかしら」

「着る機会も何も無いんで……」

「そう?……とりあえず預かっておくわね」

「お願いします。それじゃ、また明日」

「ええ。お疲れ様」

にこ、と手を振るマリーさんにこちらも手を振り返して、元の世界に帰るのだった。



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