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45.たまには雑談をしました。



翌日。サタン様の部屋付きということで側に立ってるわけですけど仕事無いんでしょうかこれ?

朝からサタン様が何か書類?にサインしてるのを眺めているだけだ。マリーさんも特に何も言わず立っているだけなんですけど本当何これ。

一応サタン様が休みたい時にお茶を入れたり、要るものがあったら用意するとかいう仕事内容で、それ以外はじっと待機、と聞いてはいたけど思いの外待機が長いというか、暇。

ぼーっとサタン様を見てるけども大変そうだなぁ。たまにリュカさんと何か話してからサインしてる。内容はよくわからないけど政治とかそういう系のことだと思う。よくわからんけど。

「……サク」

「は、はい!」

「……何か面白い話無いですか」

「は?」

「サタン様、少し休まれますか?」

「……そうします。喉が乾きました」

「ではお茶を入れて参ります。サクちゃん……」

「は、置いて行きなさい」

「…………」

マリーさんもリュカさんもサタン様を見る。私は……どうしたら……。困っているとマリーさんに「じゃあサクちゃんはサタン様のお相手しててね」と出て行ってしまった。それでいいんですか。思っているとサタン様がまた言った。

「で、何か面白い話無いですか」

「えぇ……無いです……」

「ではリュカ」

何だその無茶振り!と思ったらリュカさんが口を開く。あるの!?

「……先日、本を買いまして」

「はい」

「数日後掃除をしていたら同じ本が出てきました」

リュカさんでもそういうことあるんだ!?とびっくりしているとサタン様が「ちゃんと休んでいますか」と心配そうに言った。

「いえ、それが買った後に袋のまま置いてしまっておりまして。存在を忘れていたようです」

「……買ったことも忘れるものなのでしょうか?サク」

「な、何で私に聞くんですか……」

「本が好きなのでしょう?」

「まあ好きですけど……。……でも忘れたりとかはないですね……。買って帰ったらすぐ読むんで……」

ぽつぽつ言うとリュカさんに何ともいえない顔をされた。別に責めてはないですそんな顔しないでください……。

「と、まぁそんな話でもいいですから、

何か無いんですか。サク」

「えー…………」

何かあるっけか、と考えて本で思い出した話をする。

「……この間本屋行ったんですけど」

「はい」

「ちょっと高いところにあった本を無理矢理とろうと背伸びして手を伸ばしたらふくらはぎと肩とわき腹つりました」

「ふふっ」

サタン様が笑った。リュカさんは顔を背けているので表情がわからないけども多分笑ってる。でないと顔背けないだろうから。

「その後どうしたんですか?」

「諦めて近くの踏み台使いましたよ……。ぴきっていって本当ヤバかったです」

「背が低いと大変だな」

「…………」

若干バカにしたような口調で言われた。まぁ自覚はあるけども。160センチないもんなぁ。

「……というかリュカさんもサタン様も……マリーさんも背高いですよね」

順番としてはサタン様、リュカさん、マリーさんの順で高いけど、皆私より背が高い。そういえばファリもちょっと高かったな。悪魔は背が高いのかな羨ましい。

「私達が高いと言うよりサクが小さいのでは?」

「言わないでくださいよ……」

わかってますよぅと言えばサタン様が笑った。

「サタン様って身長どれくらいですか?」

「さて……190くらいだったかと」

「…………」

私より30センチ以上大きいのかこの人、人っていうか悪魔。

「リュカもそれくらいでしたね」

「私は185程度ですね。マリーが170程だったかと」

「皆大きい……」

ずるいと呟くとマリーさんがワゴンを押しながら戻って来た。

「お茶のご用意が出来ました」

「はい」

お茶を入れながらマリーさんが「何の話してらしたんですか?」と言った。

「身長ですね。サクが小さいと」

「皆さんが高いんですー。羨ましいです」

「高くてもいいことないわよ?」

「でも高いとこの本は取れますよね……」

「何があったの……」

「つりました……」

「ああ……」

色々察してもらえたらしい。「確かにそういう面ではいいのかもしれないわね」と苦笑された。

「小さくても特にいいこと無いですし……。子供扱いとかされやすいですしねー」

親戚のお姉ちゃんが二つくらいしか違わないのにめっちゃ抱っこしてきて鬱陶しかった覚えがありますと言うと皆微笑ましいものを見るような視線を向けてくる。リュカさんにすらそんな顔されると思わなくてびっくりしてますよちょっと!

ふとサタン様の視線が外れた。私の方を見ているけど私を見ているわけではない。どうかしたのだろうかと思っていると不意に笑みを深くして、マリーさんから受け取ったお茶を飲んだ。

「……さて、じゃあマリーの何か面白い話でも聞かせてもらいましょうか」

また無茶振りしようとしてるよと思ったのにマリーさんは「そうですねぇ」と呟く。あんの?皆何かそういう話ストックしてんの?

あまりに変な顔をしていたのだろうか、マリーさんに「どうかした?」と言われた。

「え、っと……」

まぁ素直に聞いても問題はないかと「話とか用意してるものなんですか?」と聞いてみた。

「多少はね。そういう話がある方が色々と便利だったりするから」

「へー……」

世間話的なあれかな。それなら色々ストックがある方がいいのかもしれない。メイドさんって大変だなぁ。

「それで、マリーは何か面白い話ありますか?」

「そうですねぇ。先日リュカに本を貰いました」

「…………」

「きっとうっかり同じ物を買っちゃったんだろうなって」

「マリー」

「合ってた?」

うふふと笑うマリーさん。けどそれさっき何か聞いたわと思っているとサタン様が「それはさっき聞きました」と言ってのけた。言っちゃったよ……。

「あらそうだったんですね。きっと楽しんでいただけるかと思いましたのに」

「……そういうのは自分から言うに限る」

「そうね。その方が傷も浅いものね」

自虐ネタみたいなものか。リュカさんも大変なんだな……。

「というわけである程度話を用意しておくといいわよ。コミュニケーションの為にもね」

「……はい」

って言ってもJKの日常なんかそんな面白い話は無いですよ、とこっそり思っておいた。


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