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43.街に着きました。


「何しに行くんですか?」

街へ向かう馬車の中で聞いてみた。がたがたと走る馬車の中は私とマリーさんとサタン様だけだ。サタン様の隣に何故か私が座って向かいにマリーさんが座っている。

「視察……のような」

「はぁ」

ようなって何だろう。思っているとマリーさんが言う。

「サタン様のお仕事にあるのよ。街や市井の様子を見るっていうのがね。だから……その一環というか……」

「な、何でそんな濁すんですか……」

「前回の視察は一週間程前でした」

「そんなちょくちょく行くんですか?」

「いいえ?」

「…………」

あ、わかったこの人出歩きたいだけだ。ていうか昨日『街は明日』とか言ったから無理矢理視察って体で出掛けてるんだ絶対。納得して二人の顔を見れば理解したかというような顔で私を見て笑っていた。

「……と、そういうわけです」

「な、成程……」

「なのであんまり難しく考えなくていいですよ。どんな世界か、見てみるのも悪くないと思います」

「……はい」

初めてお城から出るけどどんな感じなんだろう。ちょっと楽しみになってきた。



◆◆◆


馬車に揺られて着いた街は意外と近代的に見えた。イギリスの街並みのように見える。テレビとかでしか見たことないけど。

屋台が出てたり店先に商品が積んであったりして何となく楽しい。馬車から降りようとするとサタン様が行った。

「好きな所に行っていいですよ」

「え、いいんですかじゃあ行ってき……」

「待ちなさい。そういう意味ではないです」

「?」

「行きたい所には連れて行きますが単独行動は許しません」

「何でですか……」

「迷子になりたいと?」

「……嫌です」

「はい。そういうわけです」

「はーい」

しょうがないので大人しく従う。確かに迷子になったらどうしようもないな。道わからんし。

「それと、私の事はサタンと呼ばないように」

「ああ、はい。……んじゃ何て呼んだらいいですか?」

「何でもいいですよ」

「………………」

今の私は一応メイドだ。なら御主人様とか?主様とか?でも何か違う気もする。少し考えて「旦那様」と言ったら「……それでいいです」と言われた。嫌だっただろうか。

「……あれ、マリーさんはこういう時何て呼んでるんですか?」

「普段は偽名でお呼びするわ」

「え、じゃあ偽名でいいんじゃ……」

「サクが覚えられないと意味が無いので」

「私どんだけ低能に見られてるんですか?」

「忘れられそうですし」

「そんなあれじゃないですって」

何か偽名くれよ。異世界マンガとかで横文字にはそれなりに強いからさぁ、と思っているとサタン様が小声で言った。

「……貴女に、他の名で呼ばれるのはあまり嬉しくない」

「はい?」

今一つ聞き取れなかったので聞き返すがスルーされた。「じゃあ行きましょう」とサタン様が立ち上がる。

「話聞いてくださいよ……」

「嫌です」

この野郎。しかし言っても聞かないだろうしな、と諦めることにした。


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