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40.サタン様と歩いていました。


「……サタン様」

「……何ですか」

「城、遠くないですかちょっと」

「歩いたのは初めてですね」

「普段どうしてるんですか、って瞬間移動ですよね」

「はい」

「……すみません。私のせいで」

「別に気にしていませんよ。ついでに庭を見ておくのもよさそうなので」

「はぁ……」

とはいえさっきまで酔い潰れてた人だよな。大丈夫なんかな。

ちらちら見ているとサタン様が首を傾げる。

「どうかしましたか?」

「え、……い、いえ……」

「疲れましたか?」

「それはサタン様の方じゃないですか……?さっきまで潰れてたし」

「……問題ありません」

「本当ですか?」

「……少し休みますか」

「え」

言われて見れば東屋があった。止める間も無くサタン様はそっちに歩いて行く。

「休みましょう」

「はぁ……」

いいんだろうか。でもちょっと疲れてたので大人しく座った。どっちかっていうと精神的な疲れだったように思う。魔王城に戻って来て、安心した。

東屋にサタン様と隣り合わせで座る。穏やかな風が吹いて心地いい。落ち着くなと思っているとサタン様が言った。

「グミ食べますか?」

「え?あ、はい……。……いいんですか?」

サタン様にあげたものだからてっきり全部食べるかと思ったのにそうでもないらしい。サタン様は袋をこっちに向けている。

「構いませんよ」

「……じゃあ、いただきます」

あ、でもさっき私ベリアルのとこでケーキ食べたな。マカロンも。……まぁいっか。グミだし、とちまちま摘む。

「……あ、そういえば、人間って悪魔と結婚出来るんですか?」

「…………」

サタン様が固まった。そんな変な事聞いただろうか。「サタン様?」と顔を覗き込む。

「……っ、……何故、そのような事を聞くんですか?」

「や、さっきベリアル……様つけないといけませんかね」

「つけなくていいです」

「よっしゃ」

思わず言うとサタン様が笑った。そういえば沸点低かったこの人。じゃなくて魔王。

「それで?彼が何かしましたか」

「えーと、嫁にならないか的な事を言われまして」

すっとサタン様の表情が消える。そしてぽつりと「……ちょっと……燃やしてきます」と呟いた。

「何を!?」

「……あの辺……」

「怖い怖い落ち着いてくださいちょっと!」

慌ててサタン様を止める。……でもベリアルの領地とかならいいかもしれない……けどそんな独裁者も嫌だな……。

「あ、ああそうだ、やるなら私の知らないところでお願いします今は深呼吸しましょう深呼吸!」

必死に説得するとサタン様は深呼吸を数回した。落ち着いてくれたのか、ゆっくり大きく息を吐く。

「……はい。どうしたんですかその後」

「どうって……断りましたよ」

「そうですか」

「はい。サタン様が好きなんで」

「…………」

サタン様がまた固まった。私を凝視して、動かない。……私今何かとんでもないことを言ったかもしれない。

なので「って言ってもあれですよ、ベリアルより好きってだけですから、はい」と誤魔化す。この誤魔化し方でいいんだろうか……。

けどサタンは納得してくれたのか、「……そうですか」と笑う。その笑みがどことなく寂しそうに見えたのは気のせいだろうか。


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