25.お守りは効果があるようでした。
また土曜日である。とても眠いと言いながら起きた。
眠い眠いと思いながら支度をして、手鏡を立てかける。スマホスタンド買って来ようと思って忘れてた……。今度学校帰りにでも寄ろう。
この間ベリアルが来た時のことを思い出し、防犯ブザーの用意も忘れていたと気付く。月曜絶対買いに行こう。でも流石に今日はベリアル来ないよねぇ。
どのみちあの十字架じゃサタンにすら効果無かったしな、と思ってふとお守りはどうなんだろうと気になった。初詣で買って貰った、オレンジ色のお守りをポケットに入れて、色の変わった姿見に手を差し込んだ。
◆◆◆
いつものように、サタンとマリーさん、それからリュカさんがいる部屋についた。
「おはようございます」
「…………」
挨拶をしたのにサタンが何も言わない。マリーさんもリュカさんも何となく嫌な顔をしている。
「あの……?」
「サク、何か変な物を持っていますか」
「えっ」
変な物って何だ。別にいつもと同じ、……あ、お守り?ポケットから出して、見せてみた。
「……これ……ですか?」
「それです。何ですかそれ」
「お守りです。近所の神社の」
「…………」
サタンが心底嫌そうな顔をする。これは効果あるのか!!やった。じゃあ持ってよう。と思ったらサタンが言った。
「……置いて来なさい」
「持ってたらダメですか?」
「嫌です」
「嫌……」
嫌って何だよと思っているとマリーさんも「それ、持たれてると近付きたくないわ……」と呟いた。
「そんなにダメですか!?」
「不快だ」
「え、うわごめんなさい……。ちょっと置いて来ます……」
リュカさんにまで言われてしまった。まさかの全員からの否定に申し訳なくなり、慌ててお守りを置きに戻る。
「お、置いて来ました……」
「はい。それでいいです」
「何故あんなものを持って来ようとしたんだ」
リュカさんが明らかに怒ってらした。そんなになると思わなくて焦る。
「いえ、あの、ベリアル来た時に何か効果出るかなと……」
「当分来ないようには言い含めたので今日は来ませんよ。ですが……そういうことなら…………いえ、やはりダメです。二度と持って来ないように」
「はい……すみませんでした……」
「わかればいいですよ」
ぽんぽん、とサタンが頭を撫でてくる。日本の神社のお守りがそんな効果あるなんて思わなかった。ちゃんと御祓いを受けているということなんだろう。
「それでは今日も頑張りなさいね」
「はい」
「行きましょサクちゃん」
「はい」




